ウォルドとグリードをめぐる二、三の問題
「ファントム・メナス」の公開前の、映像に写っていたローディアン(種属名)の少年(役名ウォルド)。このウォルドがグリードではないかという噂が流れた。グリードとは、NHのカンティーナのシーンで、ジャバ・ザ・ハットの賞金首となったハン・ソロを殺そうとするが、返り討ちにあいハン・ソロに殺されてしまうエイリアンである。私もウォルドがグリードではないか、当初予想していたが、実際はその想像を大きく超える、複雑なドラマが展開していた。
しかし、映画「ファントム・メナス」では、その絶妙な描写がカットされた。
まず、注意しなければいけないセリフは、ポッド・レースの前日のクワイ=ゴンとアナキンの母シミ・スカイウォーカーとの会話の中に出てくる。クワイ=ゴンは「息子さんを誇るといい。彼は何の報酬も考えていない。」と言うと、シミは「あの子は欲というものを知りません。あの子には・・・」と答える(訳は「スクリーン・プレイ」から)。
このシミのセリフは、英語では
"He knows nothing of greed."
と言っている。
グリードとは「貪欲、欲張り」という意味である。字幕では「あの子は無欲です。」(私の記憶なので不確かだが、無欲という言葉を使っていたのは間違いない。)小説では、「ありの子は貪欲ではありません。」と訳されている。直訳的な小説の訳が、原義を最も良く伝えているのではないか。しかし、このシーンを注意して聞くと、何か不自然である。というのは「あの子の心は純粋です。」とか「あの子はまっすぐな子です。」というセリフなら、前後のつながりからわかるのだが、いきなり「貪欲(グリード)ではない」という言いまわしは、極端なのである。これは、敢えて「グリード」という言葉を、使うべくして使ったとしか思えない。
そして、スター・ウォーズ・ユニバースで「グリード」という言葉を聞けば、それはハン・ソロに殺されたローディアンのグリードを指すのが当然と思われる。
そのような、嫌疑を持って映画を見ていくが、ウォルドのセリフは何箇所かあるのと、ポットジ・レースに優勝して、アナキンと抱き合うウォルドのシーンくらいしか、ローディアンは登場しておらず、肩透かしをくらう。しかし、小説と「スクリーン・プレイ」を読むと、そこには興味深いエピソードが書かれている。
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図1 ウォルド
アナキンの友人である、ローディアンの少年

図2 グリード
ハン・ソロを殺そうとするが、返り討ちに会う(NHのカンティーナのシーン)。
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