ことりの読書案内


ことり的必読本

★初級篇★

●「葉っぱのフレディー」:レオ・バスカーリア著

大木の葉としてこの世に生を受けたフレディーの短い人生を通して、
人生とは何か、生きるとは何かを強く訴えかける作品。
絵本なので、簡略な言葉でつづられている分、読み手に深く考えさせる余地を残している。


●「次郎物語」:下村湖人著

次郎の成長と、それを取り巻く魅力的な人々の物語。
私はこの物語に出てくる「朝倉先生」に魅了され、一時は教師を目指した。
教育に携わる人には、朝倉先生をぜひ知っていただきたい。


●「兎の目」:灰谷健次郎著

高度成長期の日本の工業地域を舞台に、新米女教師小谷先生を中心に繰り広げられる
「教育の現場」を描いた話。
個々のキャラクターが魅力的で、中でも塵外処理場の近くに住み、小谷先生のクラスの問題児鉄三を育てる、バク爺さんが素晴らしい。


●「星の王子様」:サン=テグジュペリ著

「大切なものは、目に見えないんだよ」という台詞があまりにも有名なこの作品。
他にも名言が多く、読むたびに新しい発見がある。
王子様の純粋な心が感動を呼ぶ。


●「グスコーブドリの伝記」:宮沢賢治著

「グスコーブドリ〜」と詩「雨にも負けず」は、宮沢賢治作品の一つのテーマでもある「自己犠牲」の精神が非常に強くて、
心揺さぶられる。



★中級篇★

●「スプートニクの恋人」:村上春樹著

同性愛者のすみれと、彼女を愛する僕、すみれの愛する洗練された女性ミュウの物語。
夢、孤独、愛など、忙しい毎日の中で忘れてしまった感覚を呼び覚ましてくれる秀作。


●「日はまた昇る」:アーネスト・ヘミングウェイ著

霧立ち込めるパリと灼熱のスペインを舞台にした、大人の恋愛物語。
愛し合っているのにいっしょになれない、心に傷を負った二人の男女の感情の動きが面白い。


●「欲望という名の電車」:テネシー・ウィリアムズ著

「欲望」という名の電車に乗って「極楽」という町にやってきた、心が壊れそうになっている中年女性、ブランチ。
ブランチと妹の夫スタンリーの関係性、妹ステラの位置付けなど、
いくようにも解釈できる優れた戯曲。


●「ゴリオ爺さん」:バルザック著

人間の愚かな部分や優れた部分を極端に併せ持つ登場人物が良い。
私個人は青年ラスティニャックが、「出世すること」に翻弄されるのが、自分とかぶって好きだ。


●「若きウェルテルの悩み」:ゲーテ著

多分に感情的な青年、ウェルテルと美しい人妻ロッテ、ロッテの夫で誠実だが現実主義者のアルベルトが織り成す、愛の悲劇。
ウェルテルは非常に愚かで、ロッテはどこかずるいところもあるのだが、
若い故のエネルギーがよく表れた秀作である。


●「海と毒薬」:遠藤周作著

太平洋戦争中実際に行われた「生体解剖」を題材に、人間の良心を問う力作。
薄い本で、文章もうまく読みやすいが、内容はものすごく濃くて、重い。


●飼育 他:大江健三郎著

新潮文庫の短編集より。この中の作品はどれも素晴らしい。
これらの作品には戦時下、あるいは戦後混乱期の人間のパワーがみなぎっており、
臭い立つようだと、私は思う。


●斜陽:太宰治著

没落貴族の家族の生き方を描いた作品。
主人公かず子が、非常に強い心で自らのなかの「革命」を成し遂げるところがすごい。


●草の花:福永武彦著

研ぎ澄まされた理知ゆえに、恋に破れ、不治の病にかかり自殺行為のような手術を受け死んでいく男、汐見の半生を描く。
汐見のキャラクターに惹かれる人多数。


●忘却の河:福永武彦著

福永氏の文章のうまさを端的に表す作品。
半壊している家族のそれぞれの生き方を描く。


●グリーン・マイル:スティーブン・キング著

無実の罪を着せられ死刑囚となった特殊な癒しの力を持つ黒人の大男コーフィーと、看守の心の交流を描いた感動作。
映画にもなった。


●レ・ミゼラブル:ヴィクトル・ユゴー著

道徳の教科書にもよくのっている「司教様が脱獄犯のバルジャンに銀の燭台を渡す」シーンはあまりにも有名。
だがこの本のすばらしいところは、革命時のパリの雰囲気を克明に表し、
その中でうごめく人間を非常に魅力的に描いているところだと思う。


●オイディプス王:ソフォクレス著

「ギリシャ悲劇の最高傑作」と謳われる理由がよくわかる、骨太にして普遍的な「人間の運命の残酷さ」を描いた力作。
ストーリの力強さにぐいぐい引き込まれてゆく。