“お祭り騒ぎ”薄く、競技を堪能 テレビ各局のアテネ五輪放送


 柔道、水泳などで日本人選手・チームのメダル獲得が相次いでいるアテネ五輪。競技の模様は深夜帯から未明にかけての放送が多いが、平均20%前後の視聴率を記録するなど、国民の関心の高さを物語っている。今回の五輪中継や関連番組は、テレビ局独自の“お祭り騒ぎ”の色合いが従来より薄く、テーマソングのインパクトも従来より弱い印象。“飾り”が薄い分だけ、競技の醍醐味を素直に味わうことができる気がする。

 五輪放送の“華”となる女性キャスターは、有働由美子(NHK)、柴田倫世(日本テレビ)、小倉弘子(TBS)、内田恭子(フジテレビ)、武内絵美(テレビ朝日)各アナウンサーをはじめ、スポーツ番組を長く担当したり、五輪放送の経験があったりする顔ぶればかり。そのせいか、はしゃぐ姿を見る機会が従来より少ない。明石家さんま、藤原紀香らタレント陣も、スポーツ好きか、キャスター経験があるかのいずれか。実況アナを含め、全般的には必然性が高い配置と言えそうだ。

 もっとも、これだけ日本人選手が活躍し、そしてスポーツ放送に慣れた布陣を敷きながら、名せりふや名解説が少ないのも寂しい話だ。記憶に残りそうなのは、男子体操で「栄光への架け橋だ!」と実況したNHKの刈屋富士雄アナウンサーくらいか。

 各局とも、出場選手の素顔に迫る企画やインタビューを数多く放送していたが、中でもユニークだったのはさんまによる卓球の福原愛選手のインタビュー。自分自身が目立ちつつ選手と向き合うのは、手法としては「変化球」なのだが、福原選手の素の感情がよく引き出されていた気がする。後にNHKの有働アナが福原選手にインタビューしていたが、こちらは正攻法。スポーツ放送におけるさんまの異質ぶり、そして話術の面白さを再認識した。

 今回、今ひとつ存在意義を感じられないのが久保純子だ。NHK紅白歌合戦の司会でコンビを組んだSMAPの中居正広とともに、TBS系の関連番組に出演中だが、売りだったアイドル路線の余韻はあるものの、個性はそれだけなのか? NHKの元アイドルアナも「明るさ」だけでは民放では埋没してしまうのでは。今後の巻き返しを期待したい。

(2004年8月25日執筆)