新鮮味なし、目立つ局側の「守勢」 秋の連続ドラマ評
民放の秋の連続ドラマが10月から一斉にスタート。出演俳優も内容も相変わらず新味はなく、視聴意欲がそそられる作品はごくわずか。今季は、過去に一定の視聴率を獲得した作品のシリーズ物が数多く並んでいるが、テレビマンの制作能力が一段と低下している気がしてならない。ただの「守勢」からは、何も生まれないのではないか?
シリーズ物としては、「ナースマンがゆく」(日本テレビ系)や「ホットマン2」(TBS系)、「3年B組金八先生」(同)、「大奥〜第一章〜」(フジテレビ系)などの作品が並ぶ。この中でも意欲的なのは「大奥」か。女の情念を好んで描く昼の帯ドラマの世界観を、時代劇として表現しているのが興味深い。春日局(松下由樹)とお江与(高島礼子)のバトルは、なかなか壮絶だった。そして、「金八先生」も、軽度の発達障害がある生徒との交流、使用が低年齢化するドラッグの問題を取り上げ、内容の厚み、安定感は抜群だ。
今季、先のストーリー展開が最も気になるのは、「ラストクリスマス」(フジテレビ系)。「東京ラブストーリー」などの大多亮プロデューサーの作品だけに、1990年代前半の「トレンディードラマ」と同じ“におい”がして、新鮮味はない。しかし、織田裕二と矢田亜希子を軸に描かれる人間模様は多層的。キャストの魅力が際立つ、シンプルなラブストーリーと言うようか。
俳優としての魅力に気付かされたのが、「めだか」のミムラだ。力みがないキャラクターに、素のままと思わせる演技。1年前の月9「ビギナー」より、表現力が格段に増している。フジテレビのオーディションで選ばれた彼女だが、そろそろ他局のドラマでも見てみたい。
明暗が分かれたのは、「黒革の手帳」(テレビ朝日系)の米倉涼子と、「マザー&ラヴァー」(フジテレビ系)の坂口憲二。一時の勢いが薄れつつある2人だが、“はまり役”の銀座のママになり切って視聴者に強烈なインパクトを与える米倉に対し、表面的な演技に終始する「いつも通り」の坂口。俳優が新境地を開くには、作品の選択眼と、演技者としての「覚悟」が重要なようだ。
(2004年10月30日執筆)