好企画も吸引力のないドラマ NHK連続テレビ小説「わかば」


 NHK連続テレビ小説「わかば」は、1月17日で阪神・淡路大震災から10周年を迎えた節目の年の朝ドラだけに、大震災を題材とする時宜を得た企画だ。ヒロインを取り巻く演技派の俳優の演技は目を引くが、一つの「ドラマ」として見た場合、ヒロインに存在感や「華」がなく、ストーリー展開にも緊張感が薄い。好企画ながら、ドラマとしては吸引力のない作品と言わざるを得ない。

 ヒロイン高原若葉(原田夏希)は、震災後に母詩子(田中裕子)の実家の宮崎県に移り住み、地元の造園大学を卒業。「生まれ育った神戸を緑いっぱいにしたい」との思いから、再び神戸へ。現在、造園家を目指して奮闘中だ。

 阪神・淡路大震災で受けた「傷」と、再生に向けた前向きな活力。登場人物の双方の心理描写は、作り手には困難な作業に違いない。今作はそのバランスは保たれているようだが、ヒロインの成長記に主眼を置き、「大震災」というテーマに切り込もうとする作り手の意志は感じられない。中途半端なドラマ作りが、企画そのものの魅力を薄めてはいないか?

 オーディションで1913人の中から選ばれた原田。神戸へ戻ることを決意する序盤の若葉の心情や、震災で父(内藤剛志)を亡くした父への思いはきちんと演じ、総じて健闘しているようだ。明るい笑顔(丸顔!)、スレンダーな容姿などはフレッシュな印象。ただし、タレントとしては没個性で華やぎも今ひとつ。将来性は未知数だ。

 最近の朝ドラは、存在感の薄いヒロインを周囲のベテラン俳優が懸命にもり立てる構図が顕著な気がする。「わかば」も同様の構図だが、制作サイドがヒロインをヒロインとして扱っていない表れなのか。とはいえ、ベテランの演技だけを取り出せば出色の出来映えで、特に詩子や伯父役の西郷輝彦、祖母役の南田洋子ら、「宮崎組」の的確かつ安定感のある演技は、実に素晴らしい。

☆もう一言=福山雅治の主題歌も素晴らしい。この歌を毎日聴くことができるのは贅沢だ。

(2005年1月31日執筆)