意義あるリメーク、役と俳優の個性がマッチ 「白い巨塔」


 山崎豊子の同名小説が原作の連続ドラマ「白い巨塔」(フジテレビ系)が、放送開始以来、根強い人気を集めている。25年前にもドラマ化された題材ではあるが、医療過誤が続発する現代に、この作品をリメークする意義は大きい。多彩なキャラクターを演じるのは、役どころとマッチした、個性豊かな俳優たち。ヒットするべくしてヒットした作品と言えるだろう。

 前半部(昨年10月〜12月)は、国立浪速大学第一外科の財前助教授(唐沢寿明)の教授昇進をめぐる人間模様がメインに描かれた。現在の柱は、教授となった財前を被告とする医療過誤訴訟にまつわる人間ドラマ。彼と、原告側の関口弁護士(上川隆也)、原告への協力を決めた前教授の東(石坂浩二)らの対決が盛り上がりを見せ、物語はいよいよ佳境に入りつつある。

 「噴門ガン」という前作とは異なり、食道ガンの権威として設定された財前。田宮二郎のイメージが強烈な役であるだけに、演じる唐沢は当初、かなりのプレッシャーがあったと想像される。そんな中でも、権力欲に駆られながらも、人間味を感じさせる難役を演じ切る表現力は、実に素晴らしい。財前とは対照的な里見役の江口洋介が、「無色透明」の演技をしていることも、唐沢の存在感を効果的に引き立たせているようだ。

 名誉や権力への欲望、嫉妬心、猜疑心、そして正義や優しい心…。ドラマが切り取っているのは、人間の内面だ。加えて、大学医学部という組織で生きる登場人物の立ち居振る舞いは、実社会で組織に属する人々の心をとらえるはず。視聴者が求めながらも、テレビマンに軽視され続けてきた「人間を見詰める」という視点が、このドラマにはしっかり根付いている。

 最も印象深い登場人物は、里見だろうか。不器用ではあるが、良心に従い、“正しい行い”を続ける姿に、心から共感を覚える。矢田亜希子ふんする東教授の娘佐枝子も、その純粋な心に魅力を感じる。財前の義父(西田敏行)も、ギラギラしていてユニークなキャラクターだ。キャスティング上のミスマッチは、財前の愛人役の黒木瞳くらいだった。

(2004年2月29日執筆)