人物設定や物語はレトロか? 月9「プライド」
SMAPの木村拓哉主演の連続ドラマ「プライド」(脚本野島伸司、フジテレビ系)がスタートして、1カ月が過ぎた。視聴率は20%台と高水準で推移しているが、数字に見合った魅力は、なぜか薄い。その作風は、「恋愛」「青春」などを通じて人間を描く、1990年代前半のトレンディードラマそのもの。それだけに、ドラマの設定や物語、登場人物のキャラクターなどが、2004年の今を反映していない気がする。
ドラマで描かれるのは、主人公里中ハル(木村)のアイスホッケーチームに対する情熱、堀田(坂口憲二)らチームメートとの友情、ハルと、思いを寄せる男性を待ち続ける亜樹(竹内結子)との恋模様など。「東京ラブストーリー」などを手掛けた大多亮プロデューサーの9年ぶりの作品だけに、スポーツ、ゲームで始まる恋、木村が多用する「maybe」という一つの決めぜりふ、主題歌(クイーン)などと、トレンディードラマばりの細かい仕掛けが、作品中にちりばめられている。
木村の演技は今回も、「いつも通り」で、表現手法はワンパターン。与えられた役柄の人物像に厚みがないのは不運だが、「木村の出演作」というだけで視聴者を引きつける底力は、さすがだ。
作品としては、トレンディードラマの“焼き直し”ということ以上に、男優と女優のバランスの悪さが問題点だろう。存在感が極めて大きい木村に対し、没個性の竹内では、はっきり言って役不足。陰のある雰囲気だけでは、「古きよき時代の女」にも見えない。中越典子、MEGUMIは、言うまでもなく小粒。若手女優の人材不足を如実に物語る顔触れと言えそうだ。
振り返れば、トレンディードラマ草創期は、作り手の創意工夫の精神が、作品にしっかりと宿っていた。そのまっただ中で活躍した大多プロデューサーだが、現場復帰第1作「プライド」では、失敗を回避しようとする「リスクヘッジ」のスタンスが際立っている(視聴率男である木村の起用、昔取った杵柄的な作風の採用など)。視聴率的に失敗が許されない立場ではあろうが、石橋を叩き過ぎると、低迷する「月9」の真の再生にはつながらないのでは? ドラマの新潮流を生み出してくれることを、期待したい。
(2004年2月11日執筆)