“おきまり”の心地良さ NHK連続ドラマ「もっと恋セヨ乙女」


 「ワンパターン」とは、どこかネガティブな意味合いがあり、作品批評の際は批判的な文脈で使うことが多い言葉だ。ところが、“おきまり”のパターンが心地良く感じられるドラマも確実に存在する。失恋を繰り返すヒロインの恋模様を描くNHK総合の夜の連続ドラマ「もっと恋セヨ乙女」は、まさにそんな一作だ。

 「もっと―」は、2002年夏に放送された「恋セヨ乙女」の続編で、作者は「ちゅらさん」の岡田恵和。ヒロイン天野幸子(真中瞳)は、東京・西新宿の米屋の長女で、おつまみメーカーの研究開発室に勤務する明るい女性。さまざまなタイプの男性に心をときめかせるが、失恋に終わってばかり。だけど、相手を思いやる優しさ、失恋を受け入れる強さ、次の恋を期待する前向きな心を持つ幸子は、非常にすてきなキャラクターだ。

 “いい男”と出会い、恋をして、やがて恋が終わる―という基本構図。奈々子(佐藤藍子)、比奈子(酒井若菜)と幸子の3人で繰り広げられる「サロン」(自宅のたまり場)でのおしゃべり(群像劇が得意な岡田らしい描写)。失恋後は公園でブランコに乗って涙を流し、父(小野武彦)のギョウザを食べる―という数々の「定型」を繰り返すドラマの構成は、至って単純なのだが、幸子の恋に視聴者の意識を集中させるには高い効果を上げている。

 年下の男性、演歌歌手、路上詩人…と、幸子の恋の相手は今回もさまざま。真中にヒーローものの“コスプレ”をさせたり、出演者にオーバーな演技をさせたりしているのは、作り手が今作を「ライト感覚のコメディ」ととらえればこそ。「視聴者をリラックスさせよう」というコンセプトにもぶれがなく、肩ひじ張らない“緩さ”がドラマの魅力として際立っている。

 残念だったのは、「食」(特におつまみ開発)のエピソードが前作と比べて減ったこと。そして、制作のタイミングが遅れたこと。前作が放送された02年、真中は“旬”の女優だったが、低視聴率で打ち切られた「メッセージ」(日本テレビ系)以降、今ひとつ勢いがない状態が続く。「好評」ならば、2年も空いた理由は何? 「夜ドラ」に話題作が少なくなった今、「ネタ切れか?」という意地悪な思いが頭をよぎる…。

(2004年6月14日執筆)