人間くささ、最後まで貫く 「はみだし刑事情熱系 最終章」
柴田恭兵が型破りな刑事を熱演する「はみだし刑事情熱系」が、6月30日放送分で8年の歴史に幕を閉じた。刑事物の魅力である謎解き以上に、私生活を含めた主人公の高見兵吾の生きざま、彼を取り巻く人物の描写に力点が置かれていた「はみでか」。いつも革ジャン姿で、正義感が非常に強い警視庁刑事は、彼の、そしてシリーズの魅力である「人間くささ」を最後まで色濃く漂わせていた。
最終回は、兵吾と40年近く失踪していた父(中村嘉葎雄)との葛藤と親子関係の再生、元妻玲子(風吹ジュン)との復縁、一人娘みゆき(木内晶子)との信頼関係などが凝縮されていた。これまでにレギュラー出演したキャストの顔が最後に出てきたが、最終回特有の感傷より、柴田主演で人間ドラマを作るというスタンスが徹底的に貫かれていたようだ。
その柴田。1980年代の「あぶない刑事」シリーズで演じたきざな刑事役のインパクトが強すぎたせいか、以降、スタイリッシュなイメージが固まっていた気がする。そんな中、40代で出会った兵吾は、離婚経験があり、思春期の娘との関係に戸惑い、刑事仲間や犯人に真正面からぶつかっていくという、実に人間味のあるキャラクター。軽快な身のこなしで従来のイメージを保ちつつ、似つかわしくない役で新境地に挑んだ柴田は、俳優として新たな表情を見せてくれた。
振り返れば、人間高見兵吾を描くというドラマのテーストは不変だった「はみでか」。2時間サスペンスの人気シリーズに近い存在というか、「渡る世間は鬼ばかり」ばりというか、「いつもそこいある安心感」が感じられる作品だった。大半の連続ドラマが、「人間」を描写することに背を向け続ける現状の中、決まった時間に同じ風合いの人間ドラマを堪能できる「はみでか」は貴重な存在だったのに…。写真集まで製作された人気作の終了は残念だ。
7月からは同じ放送枠で「はぐれ刑事純情派」が始まるが、こちらはシリーズ第17弾。安浦刑事役の藤田まことは現在71歳。普通なら、とっくに定年退職しているはずではないか! こちらも終焉の足音が近づいている気がするのだが、「いつもそこにある安心感」をまた失うのかと思うと、気が気でならない。
(2004年7月4日執筆)