舞台の魅力にとりつかれたのは一体いつの頃だろうか…。映画やテレビとは違った「生の臨場感」が味わえる不思議な世界…。それは、役者たちがその日その時の瞬間にすべてをかけようと臨む意気込みを我々も肌で感じとることが出来る場でもある。
だからこそ、厳しい観かたをすれば、役者たちの怠惰な心や、その日の舞台に集中できないような迷いの心が存在すれば、すぐに我々観客にも伝わってくる。舞台を決して侮ってはならない…。それは、演じる者と観る者との、緊迫したバランスが独特の空気を生み出している場でもある。
役者の怠惰な心はすぐに舞台に反映される。見る側は単に娯楽の一環として舞台を観に来るのではない。日常をしばし忘れ、それぞれの世界のしがらみを忘れて、舞台の中に己を置き、己の人生の一端と舞台場に繰り広げられている場面とを、時折鋼索させながら、自らの「生」を再構成するために、わざわざ高い費用を支払ってまでも、その一時の異空間に身を置こうとするのである。
役者たちの、真剣な態度には惜しみなく拍手を送るが、そうでない舞台に遭遇すると、何とも言えない消化不良の嫌な感じのみが観客の中には残ってしまう。
新しい世紀に向かって更にこの舞台芸術が発展を遂げていくように、実際に舞台製作に携わっている多くの諸氏の、ますますの努力と成果を多いに期待したい。