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『アーティスト』
ミシェル=アザナヴィシウス監督 ジャン=デコジャルダン、ベレニス=ベジョ
お題 サイレントをアイディアだけでなく名作に
サイレントのスターだったが、トーキーになって悪声がばれて人気が落ちていった、ルドルフ=バレンティノがモデルであろう。ジョージ=バレンティンとい
う俳優が主人公だ。冒頭からはサイレントの「古き良き」風情を漂わせておいて、ヒロインであるペピーとの出会い(典型的なボーイ・ミーツ・ガール)まで一
気に見せる。
サイレントだと退屈になるかと思わせて、効果的に音も入れてあきさせない演出力は確かだ。
犬の演技も含め、たいしたものだった。
特に、ジョージの怪しいヒゲとお調子者丸出しの演技が気に入った。対象的に寡黙かつ頼りになる運転手も渋くて良い。『バットマン』しかり『ダイターン3』しかり、近いところでは『マリリン7日間の恋』まで、ギャルソンもしくは運転手はこうでなくちゃ。
スタジオ前でのシーンになにげなく座っている老人が、『時計仕掛けのオレンジ』(スタンリー=キューブリック監督の傑作!)主演マルコム=マクダウェル
だたり、いろいろなところにオマージュを捧げながらしっかりとラブストーリーになっている。群衆シーンも緻密に計算されたであろうし、階段シーンも監督の
演出力を語っている。
サイレントであるため使われないセリフを補う音楽の力も感じさせてくれた。
ハラハラドキドキな音楽を入れておいて、実は次のシーンが意外な展開だったり、スタッフは本当に見事な映画を作ったものだ。
また、サウンド以上に違和感がなかったのが、カラーがないモノクロだということだ。炎など大切なシーンでも充分に色を感じさせられた。
そして「フィルムの力」、過去を映し出すフィルムには感動する。ヴィム=ヴェンダースの『パリ・テキサス』でも家族を撮ったフィルムを見るシーンには涙が出た。この映画でも、いちばん効果的なシーンで使われる。やられた。
いろいろな感想にも、「シーン」という語の頻度が高いところにこの映画の本質がある。
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