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『カールじいさんの空飛ぶ家』
お題 日本の「国民文学」ジブリとは大違いのピクサー
 題名だけで、アットホームなほのぼのアニメを期待してはいけない。
 ピクサーはもっとよく考えていた。
 近頃ヒット連発のスタジオ・ジブリのアニメは「国民文学」だという意見を聞いたことがある。どういうことかは理解しにくかったが、石原千秋『国語教科書の思想』などを読んで、それがわかってきた。
 戦争に都合のいい小国民を育てるための文学、自然はいい、家族はいい、ふるさとは、そして日本は……というテーマの文学だ。
 それって、スタジオ・ジブリのアニメそのままではないか。
 都市に人口が集中しているのに、田舎で自然、そして古き良き日本という構図。
 さらに『千と千尋の神隠し』あたりからの説教臭さ。
 アメリカはピクサーの、このアニメは田舎でなく開発の進む都市で、子どもができなかったうえに、妻を亡くしたカールじいさんが主役。
 ジブリとは全く違うアプローチだ。
 新たな仲間も、お父さんがいない少年。それも、事情を特に説明しないところが良い。
 あとは、空飛ぶ家が着地してからの展開が、本当の「冒険」になっている、
 幼なじみだったおばあさんの夢だった、パラダイスの滝へ着いてからがむしろ面白いのだ。
 幼い二人が共に憧れていた英雄の現在の姿や、その人物との絡み具合が予想を裏切り続け、しかし冒険は盛り上がる。
 よく練ってある。
 細かい突っ込みは「犬」に対しても、いくらでもできるのだが、その必要はない。
 頑固で他人を拒否していたじいさんが、空飛ぶ家を失うが、他人を受け入れることを知り、また違った人生を生きるという物語が大切なのだ。
 ディズニーの力だけでなく、ピクサーの力をまたまた感じさせるアニメだった。

 見たのは3D版だった。「飛び出す」というより奥行きがかなりある映像は、料金プラス300円でも損はない体験だった。

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