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『インセプション』クリストファー=ノーラン監督 レオナルド=ディカプリオ、渡辺謙、マリオン=コティヤール
お題 惑星ソラリスの再来か
 『ダークナイト』でバットマンシリーズの最高傑作を撮ったクリストファー=ノーラン監督が「夢」をテーマにしてディカプリオ主演のものを企画している、という話を聞いたときには正直、不信感があった。
 しかし、杞憂も杞憂。映像のスケールもアクションも含めて、近年まれに見る凄い可能性を持った映画だった。
 まず、アイディアが凄い。夢の世界に潜入できるだけでなく、内容を操作できるというプロフェッショナル。さらに、夢の中の夢へと階層をたどっていけるという設定が秀逸だ。
 当然、夢と現実の境界もあいまいなので、夢を操る者たちはそれぞれが小物をアイテムにしている。それが物語のカギともなっている。
 主人公のディカプリオはプロ中のプロだが、このインセプション開発中に研究者であった妻を亡くしている。現実より夢の世界を選んだ自殺だったため「永久に」トラウマとして、そのイメージ(とダメージ)が残っており、それがまたカギにもなっている。
 これはまるでアンドレイ=タルコフスキー監督のSF『惑星ソラリス』ではないか。
 人間のイメージを実体化する海のある惑星ソラリスで、自殺した妻の実体化に悩まされる主人公。くりかえされる妻の復活に遂に主人公は……という展開も同じように思える。
 ソラリスも抱えていた哲学的テーマが、このインセプションにもある。
 アクションシーンも『ボーン・アイデンティティ』や『ボーン・スプレマシー』のようにカーアクションまで激しかったり、『007』シリーズばりに雪山での戦いが展開されたり、ノーラン監督の娯楽作品に対する嗜好も見て取れる。
 そんな、いろいろな意味でも、またもや映画史に残るようなものであった。
 退屈で難解だという評判だけに、惑わされてはいけない。

 関連:『バットマン・ビギン』
    『ダークナイト』
 

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