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『空気人形』是枝裕和監督 ペ=ドゥナ、ARATA、板尾創路
お題 えげつない女優の使い方だがそれがけなげ
「都会」とそこに住むさまざまな孤独をかかえた人々がテーマだ。
一人暮らしの老人、拒食症の若い女性、元恋人を亡くしたビデオ屋の店員など。
主役の空気人形は、まさにダッチワイフであり、板尾創路が亜鉛汁ファミレスの店員に買われて、夜の布団を共にしたり一緒に入浴させられたりしている。
ある日、心を身ってしまった人形は、着せられていたメイド服のままで街へ出て、そのうちご主人様が仕事の間にビデオ屋で働くようになる。
心を持ってからすぐの描写が巧みで、生を得て知恵がつきはじめた子供のように、人形はどんどんと知識を増やし、新たな疑問を増やしていく。
監督の演出も力が入っており、『グエムル』の主演、韓国の女優であるペ=ドゥナに本当に入れ込んで細部にわたって指示を与えていることがよくわかる。
本当に、いたいけで、けなげなのだ。
また、人形が「生身の体」のようになるシーンにはSFXが使われるが、それ以外のシーンはほとんどが吹き替えなしだ。
不自然に裸、特に乳首をかくす演出が定番なのに、この映画ではそのまま見せる。
あたりまえだが驚いた。
そして、ARATAの前で空気が漏れてしまい、そのあと息を吹き込んでもらうシーンはきわめてエロティックだ。
まさに交歓、空気人形の切なそうで、かつ歓喜に溢れる表情がいやらしく、美しい。
ラストは衝撃的だが、都市伝説のようなおとぎ話(寓話)のような雰囲気を持たせる。
ビデオ屋の主人(『時効警察』の課長、若松了)が語るマニアックな映画のうんちくも楽しい。
『時効警察』つながりでは、オダギリ・ジョー演じる人形師が、自らの出生を探して訪れた空気人形に、「生まれてきてよかったこともあるだろ」的なことを語るシーンが良い。
「人形」でなく「人」の親、慈愛を感じさせる場面であった。
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