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1999.10.06 ゼミ論文

「マルチメディア社会は何をもたらすのか」

 

まず今日の情報化社会の象徴ともいえるインターネットとデジタル技術について考察してみた。

1995年あたりから急激にインターネットが普及し、今も急速にのびつづけている。インターネット人口が爆発的に増加した背景には、高性能のパソコンの普及など様々な要素があるだろうが、そのなかのひとつに、テジタル技術とネットワーク技術により、さほどコストをかけることなくいろいろなデータをやりとりすることができることから、個人でも簡単に情報を世界中に発信することができるということが挙げられるだろう。現在では個人でもホームページをもつなど情報発信することができるが、この「コストがかからず」という点が大きいと思う。つまり、同じことをデジタル技術やネットワーク技術なしにやろうとすると、紙に印刷をし、製本し、流通させて、小売店で売るという多くの段階を経ねばならず、そのつどコストがかさんでしまう。インターネットなら、デジタルデータなのでまず紙という原料代がかからず、さらに印刷も必要なく、ネットワークなので物流させる必要もない。だから、個人レベルでの情報発信が可能になった。情報という特性上、その実物を流通させなくても、情報の内容だけが伝わればいいのであり、それがデジタル技術とネットワーク技術という技術と結びついて、コストがさほどかからず情報を流すことができたということが、インターネットなどだけでなくデジタル技術の大きな利点ではないだろうか。

このデジタル技術の利点はほかのところでも生かされている。

たとえば、SOHOに代表される個人の企業やベンチャー企業などがその例だろう。SOHOなどでは、ネットワークを使って仕事を進めることが中心で、コストが比較的かからないことから、個人やベンチャーでも運営していくことができる。

だが、一方で、こうしたデジタル技術ならではの利点は逆にやっかいな面も併せ持つ。たとえば、音楽業界では、現在の音楽CDは音をデジタルデータとして記録してあるため、パソコンのスペックの向上やネットワークの高速化が進むにつれ、簡単にコピーされ、著作権を侵害した海賊版がでまわるようになってしまった。今はMP3という圧縮技術によって圧縮・伸張をする必要があるが、いずれ光ファイバー網が敷かれるなど、通信の高速化がより進めば進むほど、こうしたコピーが簡単に大量に出回るようになってしまうだろう。音楽業界にとっては頭の痛い問題である。そもそも、CDが開発された頃には、コンピュータの処理能力は極めて遅く、このような時代が来るとは考えもつかず、現在のCDには違法コピー対策が全くとられていない。マルチメディア社会の急速な発展によって、音楽業界にとっては思わぬ問題が浮かび上がってしまった。

音楽業界だけでなく、デジタル化によって複製物が個人レベルで簡単に作れるようになったことで、著作権の保護だけでなく様々な問題が生まれてきた。

先ほどのLinuxについても、デジタルだからこそ製造や流通のコストがさほどかからず、ボランティアだけでOSを開発し流通させることができた訳だが、マイクロソフトなどのソフトメーカーにとっては、大きな驚異であり、こうした動きがこれから加速してくれば大きな問題になってくるだろう。ほかにも、新聞記事や雑誌の記事をインターネットで公開していこうという動きがあるが、無料で全部公開してしまうと、デジタルデータとして同じものが手に入るため、本業に支障が出る可能性もある。したがって見出しだけにしたり、古い記事だけに留めるなど苦心しているようだ。

しかし、そうした点を逆手にとって、音楽業界ではインターネットなどによる音楽配信の動きが出てきている。音楽CDはデジタルデータであるため、CDというパッケージメディアとして供給しなくても、オンラインでも、またCSデジタル放送などの電波というメディアを使っても同じものを送ることができる。したがってデジタルの利点を生かして、CSによる音楽配信や、インターネットによる配信により、将来的に販路を広げていこうとしている。しかし、現在の段階では、認証システムなどセキュリティーの問題があまり解決されてないことや、決済システムが煩雑なことなど課題が多く、インターネットによる音楽配信が本格化するのはまだ時間がかかりそうだ。さらに、インターネットは情報の洪水であり、所在が分かりにくい、ひとの目につきにくいということもうまくいかない要因のひとつではないだろうか。

さらに、音楽配信だけでなく、電子商取引が本格的に進めば、ビジネスも大きく変わってくるかもしれない。

このようにデジタル技術は凄まじい勢いで進展し、日々あらたな商品やサービスが生み出されている。しかし、このような急速な技術の進歩が十分に行かされない例もよく目につく。たとえば、ハソコンなんかでもCPUがすさまじい勢いで向上しても、結局一般にはメールとインターネットとWORDとExcelぐらいしか使われないので、どんどん技術が進歩しても、もてあましてしまうし、少々もったいない気もする。さらに、家電でも機能が多すぎるとかえって使いにくいというので、わざわざ機能を減らしている家電が増えているようだ。それもなんか惜しい気がする。

そのほかにも、IT関連の発展のスピードはドッグイヤーと呼ばれるほど凄まじく、新商品が次から次へと出てくる。しかし、商品開発のサイクルが早くて、どんどん新商品が出るため、あまり人々に認知されないまま消えていく商品が多いようで、なんとも歯がゆい。いつも日経産業新聞とかを見ていて感じることだが、せっかくいい商品なのにあまり知られずに他の新商品にかき消されて消えていってしまうことがとても多いように感じるのは、私だけであろうか。特に、マルチメディア関連のものは、今まで世の中に存在しないものだったり、一見しただけではわかりにくいような商品が多いため、もっと宣伝等に力を注いだ方がいいように思うのだが…。誰が見てももう知っているような、たとえばカレーだとか、そういう宣伝は、他の商品との差別化にだけ重点をおいてやればいいが、今までにないような新商品は、差別化の他にそれ自体どんなものかも宣伝せねばならず、カレーなどのそれ自体よく知られてるものの2倍以上は宣伝しなければならないように思う。例えばCSデジタル放送なんかもその例だと思う。数百チャンネルの衛星放送なんて今までにない全く新しいものなんだが、CSといってもピンとこない人が多いし、衛星というとNHKのBS衛星を思い浮かべてしまうひとが多いようで、もっともっと宣伝していかなくてはいけないなぁと思う。

これまで見てきたように、凄まじい勢いで技術が進歩し、様々な変化がおきている情報化社会の今後はどうなっていくのであろうか。技術の進歩はどこまで続くのであろうか。その答えは誰にも分からない。あのビル・ゲイツですら、無責任のようだが、情報化社会がどうなっていくか予想がつかないと言っている。ただひとつ、情報化社会という新しい時代が動きだしたということだけは、確実に言えるだろう。



<参考文献>

「ソニー自叙伝」(ソニー広報部編)

「図解・放送業界ハンドブック」(西 正著)

「東芝オン・デマンドへの挑戦」(岩淵明男著)

日経産業新聞・月刊ASCII ほか