タワゴト その32

 
 ロックとは何ぞや?

音のことか、格好のことか、精神のことか、それとも存在自体のことをいうのか?

 例えば、「反抗期に反抗する」という行為について。
 「今日さぁ、何かぁ、だりぃし、先公、ちょーむかつくしぃ、トンズラすっか。
あー、自由ってどこにあんだべ」・・って、
俺はこんな奴、ロックとは認めん。
絶対認定しない。
なぜならロックは予定調和な行為では無いからだ。
 
 あれは、小学生の時だった。俺の学校では給食の時間、昼の放送が流れていた。各クラス
から選ばれた放送委員の連中が、当時のヒット曲をかけたり、なぞなぞをやったり、朗読したり
と、子供ながらに毎回趣向をこらして、食事をしている俺達に心地よいBGM・・・校内放送を流
してくれていた。
 
 そんなある日の校内放送は「ノド自慢大会」で、放送室に数人が集まって、思い思いにアカペ
ラで唄っていたのだ。「次は、Drスランプあられちゃんを歌います」とかね。微笑ましい昼のひと
ときであった。「くだらないな放送だな」と飽きかけたころ、

 突然、荒い鼻息がマイクを通して、アンプを通して、スピーカーを通じて、
学校中に響き渡った。

 「え、えっーと、○年○組、△※■☆でーす!」と男3人(たぶん)が自己紹介を始めた。
 「あぁ、こいつらが次を歌うのか。うるさそうだな・・・」と、クールな俺は牛乳のキャップをはず
し、パンを一切れ口に含んでから牛乳を飲み、放送を聴いていた。
 「それじゃ、一週間の歌、唄いまーす!」

 と、ロシア民謡の『月曜日は市場へ出かけ〜』のメロディーで、破壊的なアカペラ三重奏が始
まった!
 
 月曜日はゲンコツもらい〜
 火曜日は母ちゃんなぐり〜
 水曜日はスカートめくり〜
 木曜日は盲腸切られ〜
 金曜日はキンタマ蹴られ〜
 土曜日はドロドロうんこ〜
 日曜日はニンニク食って〜
 腹を壊して死んじゃった〜 
 
 彼らが唄い終わる直前に「何やってんだ〜!(怒)」という怒涛の
叫び声がスピーカーの後ろのほうから聴こえてきた。職員室から放送室まで走って1分というと
ころだろう。

ガダッ!ガダガタ!プヂッ!
 
その日の昼の放送は突然終了した。

 俺は、感動に打ち震えていた。当時はロック夜明け前。ロックを知らない子供であった。だ
が、うまく言葉に出来ないけれども、居ても立ってもいられないような衝動に駆られたのだ。
あの日の「一週間の歌(替え歌バージョン)」は最高のロックンロールだった。
そして、あの日が俺にとって初めてロックの衝動を感じた日だったのだろう。
 
 あれから25年が経つ。
 未だに「一週間の歌(替え歌バージョン)」を俺の頭から消し去ることは出来ない。

 
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