一樹の影の下

作者:collective mind

今、福岡空港を旅立とうとしていた。飛行機の後方の車輪が地上から離れた時、

たくさんの思い出が頭の中をかすめていった。

アメリカ留学とかとんでもない事をほざいた日は大学受験の集会があった高校3年生のある日の午後。

野球をつづけられないという現実を見せられ、勉強はまったくしなかった。

はっきりいって将来について考えてなかった。

当然、入る大学のあてもなく迎えたこの集会。

「早く終われよ。」といらいらしながら渡された書類に目を通していた。

最後のページに米国三大学という字が目に入った時、"これだ!"と思った。

アメリカへのあこがれは日米野球の時に始まった。

平和台球場であった日米野球をテレビで子供の頃の思い出として残っている。

日本の選手が子供に見えるほどレベルの差はあって、それでいて楽しそうに野球をしていた。

不格好なフォームから投げる速球は160km/hに近く、打てそうになかった。

ピッチャー願望の強かった小学生時代、小学校の図書館の野球に関する本を読破した。

ただし他のジャンルの本、特に勉強に関係する本は読まなかった、触れなかった。

野球ができなくなった時、ユニフォームを脱がずに家に帰った。

どんなに抵抗してもだめなのは分かっているが、時間が戻ってほしいと思った。

未練だらけである。未練だらけだからグローブもアメリカに持って行った。


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