THE OFFSPRING●The Wallflowers●THE WEBB BROTHERS
ORANGE PEELS●ARMAND VAN HELDEN●ELLIOTT SMITH
THE OFFSPRING / CONSPIRACY OF ONE
”パンク”って何だろう?反骨精神ムキだしの野郎が奏でる少々演奏が下手でもまかり通る
音楽、または精神そのもの。どうも最近はパンク自体がメロディックでありポップソングの1つでも
あるのでハードな面はあまり見えてこなくなった。ランシドのようにハードでアナーキーさを押し出す
バンドも居るが、比較的売れてるバンドはポップネスを加えたメロディー中心のものが多くなっている。
今ではほぼパンクの領域からはみ出してしまったグリーンデイなんかが挙げられるだろう。そして、
大体同じ時期に登場したこのオフスプリングもかなりの影響力を与えたに違いない。
”アハ〜、アハ〜”が超印象的なプリティー・フライが含まれていた前作”Americana”がバカがつくほど
売れてしまった彼らだが、またしても売れることが保証されるような素敵なアルバムを完成させてくれました。
そういえば発売前には全曲を無料でダウンロードできる非常にレコード会社泣かせの計画を立てたりして
いましたが(実現はしなかったけど)、そんなリスナー本位のスタイルがこのアルバムからもとても感じられる。
相変わらずのハード&スピーディーなオフスプ節は健在。もうこのスタイルは長年やってるせいか絶大なる
安定感があり、イントロからそれが分かると安心して聴ける。突き抜けるようなスピード感とハイトーンボイス
が混ざり合って疾走する楽曲はいつ聴いても何故か新鮮で飽きが来ない。潔いメロディーラインが我々の
ツボを何度もストレートにピンポイントで刺激してくれるような感覚である。しかしだ、アルバム全曲が全く同じ様な
スタイルで進んで行ったら退屈さを憶えてしまう。そこで色々やってくれるサービス精神旺盛なところがまた
彼らの良いとこ。聴くところによるとライブではゲストのバックストリートボーイズですと言い放ち、彼らに似せた
ダッチワイフを持ってきてボコボコにシバきあげるようなパフォーマンスをしてくれたようです。まあこれは余談ですが。
アルバムの楽曲で言うとプリティー・フライ系のノリであるシングル曲”ORIGINAL PRANKSTER”はなんと
レッドマンも登場。オフスプ流ヘヴィロック?みたいな”LIVING IN CHAOS”。エモーショナルなUSロック
風のラブソング”DENIAL、REVISITED”。ニルバーナみたいな乾いたギター音を鳴らしたロックナンバー
”VULTURES”。その他は大体例のオフスプ節に入るものだが、一曲一曲のテーマがハッキリしているので
どれも同じ曲だと思われるものが無い。CDの中身を見れば分かるが一曲ずつにイラストが書かれている。また、音だけ
聴いてるとキャッチーでノリ重視な面があるが、実は結構シリアスな歌詞を歌ったりしている。更におまけとして
パソコンでライブ映像が見れるし。ほんと彼らのアルバムほど付加価値のあるアルバムはないでしょうね。
私は心から彼らのファンと言いたい!今度こそライブへ!
The Wallflowers / Breach
現在の音楽は昔に比べ様々なニュージャンルへと派生している。機械から生まれる音を
ビートとして重ねていき一つの曲とするテクノ。サンプリングにより新しいサウンドを生み出し
それをバックにしゃべるようなボーカルを乗せるヒップホップ。随分と幅の広いエンターテイメントに
なったものだ。でもやはり基本は歴史の長いメロディーに歌詞を乗せて歌う”歌”というものだと思う。
ちゃんとサビが存在し一曲の流れがハッキリしているものである。
メジャー2作目となる約4年振りのウォールフラワーズの新譜は(新譜にかかわらず)”歌”というもの
に限りなく近い曲を作るバンドである。自動的に付きまとう父ボブ・ディランとの比較。そんな
しがらみなど微塵も感じさせないほど余裕のあるゆったりした少し大人びたアルバムです。
まあキャリア的にも10年以上やってるしもうメディアも父の事を取り上げたりはしないと思いますが。
でもヘヴィロック全盛期のアメリカにおいてここまでスタンダードで王道なアメリカンロックを奏でるのは
非常に勇気のいる事だろう。ヘタするとダサい音楽と捉えかねない。目立ったアレンジも特にないですし。
父の影を見て育った彼にはそういった音楽は胡散臭く見えてしまうのか。だって本物を直に感じてますから。
もうほぼベテランの域に入ってるような円熟な渋みのあるジェイコブのボーカルに味のあるバンドサウンド
がスッキリはまる。無理のない音というか、全くと言って良いほど派手さはないですがまったりした
ミディアムテンポが心温まる。特にギターの音が特徴的とかキーボードのアレンジが目立つというのがなくて
どの音も均一的で有機的に働き絶妙のバランス感覚を保っている。キーボードの音や木琴の音が華やかで
POPな感じのするC、アコースティックでしっとりしたF、アコギとストリングスが絡み合う切ないナンバーG、
爽やかで心地良い疾走感でサビではエルビス・コステロが参加しているアップテンポのH。
毎日聴くほどバカみたいにはまるアルバムではないですが、ふとした時に突然聴くとかなり心揺さ振られそうです。
THE WEBB BROTHERS / MAROON
父親がアーティストであるという環境から息子も音楽をやりだすパターンは結構ある。
ジョン・レノンの息子であるジュリアンとショーン、ボブ・ディランの息子であるWALLFLOWERS
のジェイコブ、ドン・チェリーの息子であるイーグル・アイ・チェリー(ちなみに姉のネナ・チェリーも
シンガーとして活躍している)等が挙げられる。そして、このウェッブ・ブラザーズも作曲家である
ジミ−・ウェッブを父に持っている。そんな彼らのセカンドアルバムが今作である。
前作が低予算で制作されながらイギリスのプレス等で評価されメジャーデビューに至る。
どうせ親の七光りだろうと思いのあなた。このアルバムを聴けばこういった評価も実力で勝ち取った
ものだと実感せざるを得ないでしょう。なんとも言えない甘くノスタルジーなメロディーが次々に
放たれ、目をつぶればまるで昔のモノクロの映画がスクリーンから永遠と流れるような感覚に
襲われるでしょう。現在のエレクトロニクスと70年代の音楽が上手く調和した新型のサイケサウンドが
ゆったりと溶けこむように流れ出す。更には情熱的で豊潤なボーカルが奇跡的なほど感動的な
コーラスワークをみせる。この辺はさすが兄弟!息の合わし方が他のバンドとは訳が違う。
怪しげなイントロから一転してどこかメランコリーで、ポール・ウェラーやオーシャン・カラー・シーン
を想起させるようなド渋な曲@、コカインのことを歌った幻想的世界のB、アルバムの中で一番
POPで爽やかなフレッシュナンバーC、サビでの壮大感が感動的なE、気だるくのんびりとした
サウンドが真夏のかんかん照りの太陽を思わせるH、お得意の超ノスタルジックサウンドI、
イントロでストリングスが入りダイナミックさを加えたスローテンポのナンバーJ、正に最後の曲に
ふさわしくそのまま深い眠りにつきそうな異様に心地良いN。このアルバムを聴いて確信できることがある。
それは素晴らしいメロディーは何年たっても色褪せる事はないということだ。きっと彼らもそれを伝えたい
のだと思う。だからこそ音楽っていつまでも求められるアートなんでしょうね。
ORANGE PEELS / SO FAR
今年は人生最後の夏休みである。若さを持て余し思いっきり遊ぶのも、家で腐るほど
ゴロゴロ出来るのも働けば大幅にそういった時間は削減されてしまう。夏休みもなければ
”青春”というものを実感する事もなくなってしまうんだろうなあ。ああ、悲しや。でも、そんな中
友達の実家へ遊びに行った際に軽トラの荷台にみんなで箱乗りした瞬間は私に”青春”
というものを実感させてくれた貴重な体験であった。体に浴びる風はとっても気持ち良かったし。
いつまでも青春を追いかけるバンド、オレンジピールズの約3年振りのセカンドアルバムが
このアルバムである。ギターポップファンなら誰もが知ってるレーベル、ミンティ・フレッシュから
デビューしたサンフランシスコ出身の4人組バンド。このバンドの音はなによりもORANGE PEELS
というバンド名が最も分かりやすく表している。まず太陽の光をいっぱいに浴びたもぎたての
オレンジを思い浮かべて欲しい。瑞々しいほどのフレッシュさ、果実を口に入れた時のなんとも
言えない甘酸っぱさ。それこそが正に彼等を特徴づけるギターポップサウンド。甘酸っぱい
メロディにギラギラ照りつける太陽の光のようなギター音で、特に凝ったアレンジもなく良い意味で
力の抜けたゆったりした曲が多い。歌詞はほぼ全部男女関係について触れたもので、非常に
切なくてヘナへナしてます。現在はアメリカで新しい契約先を探しているらしいのですが、
私としては是非また次のアルバムを何年後かに作っていつまでも”青春”を追いかけて欲しいです。
軽トラの荷台で浴びた心地良い風のようなサウンドは都会人の疲れた心をほぐしてくれるでしょう。
(こんな事言いながら私の家は実際のところ大阪でも結構田舎なのね。ははは)
ARMAND VAN HELDEN /
KILLING PURITANS
前回のアルバムの曲”U Don't
Know Me”をイギリスのナショナルチャートで1位を獲得した
キング・オブ・ハウス、アーマンド・ヴァン・ヘルデンのニューアルバムがドロップされた。
ハウスという打ち込みの音楽でここまでバラエティーに富み一曲一曲の存在感が確立している
アルバムは珍しいであろう。どんな腰の重い野郎でもこのトラック群を聴けば自然と体も反応を見せるに
違いありません。前作以上に我々のフラストレーションを細かく分解してくれるでしょう。一昔前のハードロック
ナンバーをサンプルした(スコ−ピオンズをネタに使ってるらしい)ロック風トラックのA、タイトに打ち込まれる
ドラミングと絡ませるブレイク・ビートのB、ウルトラ・ファンキーなトラックにコモンのラップをフューチャーさせたD
一見ミスマッチに感じるがこれがピッタリ。何もかも畳み込んでしまいそうな勢いのある痛快なナンバーで随所に
現れるスクラッチも絶妙なタイミングのE、どこか危険な香り漂うパーティーチューンにジャングル・ブラザーズ風の
ラップを展開させたダンサブルなナンバーのG、民族系の音をふんだんに盛り込んだ原始的なビートH
時空を歪め、我々を異空間へ解き放つようなミステリアスでデンジャラスなナンバーは前回のアルバムでも
フューチャーされているタケイサが起用されているI。どう?聴きたくなったでしょう。それではお近くのCDショップへ!
ELLIOTT SMITH / FIGURE 8
現代を生きる吟遊詩人エリオット・スミスの5作目となる新作。前作「XO」からの評判の良さ
から一度聴いてみたいと思い、今作を思いきって購入してみたんだが、一番驚いた事がボーカルの
声があまりにも美しく甘美で透き通った声の持ち主だということだった。私は見た目から(主に顔を見て)
ブルース系を歌いそうなしゃがれた声の持ち主と勝手な判断をしてしまっていたので、まずそこで一発
カウンターを食らってしまった。やはり見た目で人を判断してはいけないですな。こういった事が無意識に
差別というものを形成してしまうんだろうなと少し自分自身反省してみた。(そこまで思わなくて良いか。)
そして、この声を思う存分発揮させている静謐な雰囲気漂うサウンドも素晴らしく、極力派手さを抑え、
無駄を省いたアレンジを施し、派手になり過ぎず地味にもなり過ぎない絶妙のバランスを保っている。
パリの街をイメージして作った7曲目なんかは正にイメージ通りやなと思わせるほどであり、この人は
イメージを曲としてきっちり形にする事が出来る力量もしくは才能を持った人だと感じた。こりゃ評判の良さも頷けるな。