
MAXIM●Mansun●MOURNING WIDOWS
METHODS OF MAYHEM●Mint Royale●THE MAD CAPSULE MARKETS
MAXIM / hell's
kitchen
全世界を強靭なビートの破壊力によって震撼させたダンスグループであるプロディジーの
フロントマンであるMAXIMが遂にソロデビューを果たした。こういったソロプロジェクトは大抵
本体の方と似通った音作りになってしまいがちだが、彼にはどうもその公式は当てはまらないようだ。
プロディジーの中でも彼はキースの二番手みたいな印象が私の中で強かったのだが、彼は単なる
MCでなく秀逸なプロデューサーだったのだ。そして全く彼独自の強烈なオリジナリティーを
発揮しているのだ。改めてプロディジーというグループの層の厚さを実感してしまった。
HIPHOP、ハウス、ブレイクビ−ツ、ロックなどの音楽的要素が全て均一にごちゃ混ぜにされ
彼特有のクールなダークさがその全てを一気に飲み込んだようなサウンド。どんなに太陽が
ギラギラと地を照りつけようと、鳥の鳴き声がそよ風に乗って運ばれてこようとも、そんな心地良い
肌触りはこのサウンドによって全て暗闇に覆い尽くされ、辺りには薄気味悪い冷気が漂い始めるであろう。
まさに異次元空間から放たれた音塊。しかしただ暗いわけではなく、そこには洗練されたクールさが
感じられる。四方八方に飛び散って行くダークさを上手くそのクールさがきっちりと収束させている。
またサウンド上にのっかかる突き刺さるようなMAXIMのMCも決して忘れてはならない。
シングル曲であるスカンクアナンシーのVoスキンとの衝撃の共演作B、巨大な悪魔が召喚されるような
インストものD、リアムとの共作であるドラムンベースとR&Bを合体させたようなE、異常なまでに
ダークに包まれたHIPHOP曲F、エフェクトをかけたMAXIMの声が響き渡るI、スニーカー・
ピンプスとのコラボレートにより更にサウンドの世界観を増幅させたK。どんなに個性の強い
アーティストでも独自のマキシム・ワールドの世界に上手く取り入る事が出来るところは非常に驚くに値する
ことだと思ったが、一番驚くべき事は彼のサウンドクリエイターとしての力量であろう。
Mansun / Little kix
前作のプログレ志向の難解なメロディーが特徴的だった混乱したアルバム”SIX”から2年の時が
経ち、遂に待望の新作が姿を現した。今作はサウンド、歌詞ともにストレートな表現に向かい、過去、
現在、未来のどの時代においても違和感無く鳴っている不朽のロックサウンドに仕上がっている。
この上なく美しく洗練された楽曲群はどこを切っても聖水が流れ出そうなほど瑞々しさを保っている。
プロデューサーにXTC、ポリス、フィル・コリンズなどを手掛けたヒュ−・パジャムを起用しており、
その事実からは流行に乗っていないクラシカルな表現を目指した事が伺えるのではないでしょうか。
シンセやストリングスを多用したスケール感のある音が、マンサン本来の美しいメロディーラインと上手く
溶け込み合い、今まで味わった事のない壮麗な世界に身を委ねる事ができる。この音はロックの最終形態
なのか?それとも大衆性を身につけた一種のポップソングなのか?どうやらそんな事はどうでも良い
ようです。誰もがこの美しいメロディーラインに心奪われるという事実は明らかですから。そして特筆
すべきはポールのソングライティングの変化です。抽象的な表現よりもストレートで素直に自己を肉迫
した箇所が多くなり、真っ向に”愛”というものに対峙した”LOVE IS・・・”なんかはその事が最も如実
に現れた曲だと思います。
ハープのような清らかな美しいイントロから始まる流麗なロックナンバーA、サビでのポールのファルセット
ボイスが際立っているしっとりとしたB、時折絡むピアノの流れ落ちるような音がどこまでも煌びやかな
世界を映し出すラブソングD、ストリングスが無限の広がりを見せるE、”来世まで全てを捨てるな”と
ポールが謳歌する極上のバラードG、泣きのメロディーで”サヨナラ”を告げるJ。UK出身のバンドであり
ながらもUK独特の音の癖が全く感じられない強烈なオリジナリティーを持った彼等は間違いなくUKで
最も輝いているバンドであろう。
MOURNING WIDOWS /
FURNISHED SOULS FOR RENT
80年代栄えていたハードロックは90年代に入りグランジ・オルタナティヴの風潮に押され
そして、現在はヘヴィ・ロックの時代へ突入した。そのハードロック全盛期に活躍したバンド
エクストリームの元ギタリストであるヌーノ・ベッテンコートのソロ二作目となる作品が、彼中心の
強力トリオ、モーニング・ウィドウズ名義で出された。彼自身が今最も表現したい新感覚の音が
アルバム全体を占め、「ヘヴィネス」と「ファンクネス」の二つのサウンドテーマを上手く融合させる事が
今作のテーマとなっているらしい。正に最近のヘヴィ・ロックに対するアンチテーゼというか、流行
音へと完全に傾倒していない頑固さが逆に新しいサウンドを映し出している。
重厚感たっぷりでヘヴィな音を放出しながらも、適度の疾走感とボーカルの清涼感で全体を爽やかに
包み込み、ヘヴィ・ロック特有のねちっこい重さはすっきりと解毒されている。これぞベテランがなせる
職人の技では。古きを知って新しくを知るような試みでしょう。
グランジ風の殺伐としたムードにボーカルのエモ−ショナルなボイスが遥か遠方まで突き抜けるB、
巨大なジープでだだっ広い荒野を砂煙を撒き散らしながら突き進むようなどっしりと重きを感じながらも
軽やかに流れるナンバーC、最もアグレッシヴで爽快な低音グルーヴのG、メタリックでハードコアな
サウンド展開からサビで一気に青空まで突き抜けるボーカルが好印象のI、最近もろに重い音楽を
聴けなくなったので、こういったアプローチの仕方は私にとって魅了されるものです。
METHODS OF MAYHEM
元モトリークルーのトミー・リーのニューバンドが突如として出現した。その音は現存の最新
の音を鳴らしつつも、その意向は既に未来へと向かっていることが伺える。その雑食性は凄まじく
クリスタル・メソッドをプロデューサーとして迎えることによって更にサウンドの強度を増している。
もう何だかわからないけどカッコイイの一言に尽きるとは正にこのアルバムの事を指すのだろう。
ゲスト陣が恐ろしいほど豪華で、そのメンツはミクスマスター・マイク、フレッド・ダースト、スヌープ・ドッグ
UーGOD、リル・キム、キッド・ロックなどほとんどサントラのような状態でありさすがこの辺はアメリカ
らしい。もう一体どの声がこのバンドのボーカルの声か分からない。いや、もう既にそんな問題は
どうだって良い。このアルバムのカッコ良さはもう保証済みなのだから。
Mint
Royale / on the ropes
あのファットボーイ・スリムことノーマン・クックが一目を置いている新生ダンスユニット、
ミント・ロワイヤルのデビュー作となるのが今回のアルバム。常に最高のテンションで徹頭徹尾
パーティー・ミュージックである。実際このアルバムがずっとパーティーで流れると本当に
クールダウンする間がないくらい自然と私達の体を揺り動かしそうである。
とにかく楽しいものなら何でも混ぜ込んでしまえの宝石箱のようなアルバム。
こんな不況の寒い時代だからこそこんな楽天的なビートが心地良いのだろうか。これからどう成長していくかが楽しみである。
THE MAD CAPSULE MARKETS /
OSC−DIS
日本を代表するコア系バンドと言えばこのMADをはずす訳にはいかない。
昔のビジュアル系の音と比べるとここまで遂に進化してしまったかと思わず驚嘆してしまう。
常に時代の最先端のロックをお届けしてくれるバンドである。前作よりもデジタル・ハードコアの
デジタルの部分が増し音が豊富になった。それでもハードでタフなMADサウンドは強靭に
我々のこめかみをえぐる様に刺激する。日本ロック界の隠れキャラ的存在。
私はD・Aが売れるよりもこいつらにもっと売れて欲しかったのに・・・。