赤間の日記
12/1 水曜日
彼に話して…何かつかめるだろうか。
ボクは躊躇している。ためらっている。ためらう理由は………
知らない振りをしていた方がボクは幸せかもしれないから…
佐久間には関わりたくない…もういやだ……だけど、浅黄さんを放っておけるか
間違いなく……佐久間が連れていったのは浅黄さんだろう…。
考えれば不思議な点がいくらもあるが……今は浅黄さん以外、考えられない。
………ボクがなぜ浅黄さんをそうまでして助けたいか…自分でもよくわからないけど…
やっぱり…しないといけないと思っている。
ためらう理由は他にもある。聞いたとして、もし何も分からなかったら…。
気まずくなる。最悪、ここにいられなくなる。…いつまでもいられるとは思ってはいないが……。
どうすればいいのか…。困った。
12/2 木曜日
ついに聞いた……。
自分でもどうすればいいかまだ決まってはいなかったが聞かないでいると何も進まないから…。
手紙のことを話した時、彼は深いため息をついた。やってしまった…という顔だったと思う。
それからボクはいろいろ聞いた。
まず、何処に行ったか。
……は答えてくれなかった。まだ言えない…予想は付いている………それが返事だった。
どうして今まで話してくれなかったか。
ボクに深追いをさせないためと言っていた。
…ボクはそれ以上に娘である玲をボクから守るためだと思った。
ボクは玲を憎んでいる。殺したい。…できるものなら。だから言わなかったんだろうと思う。
浅黄さんについても聞いた。
彼女の状態。………聞かなくとも分かっていたけど、かなりまいっている様子だったようだ。
彼が玲の行き先を言わない限り、ボクは動けない。
手紙からして佐久間は戻ってこないだろう。ボクは浅黄さんを迎えにいかなければならない。
……正直なところ、今のボクは浅黄さんにあわせる顔がない。
まぁ………助けにいくんだから…ボクが退く必要もないとは思うんですが………。
さて…明日から何かしらの準備をしないと……。
12/3 金曜日
彼は新しいことは何も話してくれなかった。
ボクはどうしたらいいのか考えていた。
過去二回、…いやそれ以上の回数、玲に殴られたり蹴られたりしましたが
悲しくも情けなくもあることに…ボクは玲を倒すことはできない。
そこでそれなりに武器が必要だろう…と、いうことで刃物を用意した。
サバイバルナイフなどはボクが買えるような物でなくなっているのでそれなりの包丁などをさがした。
ふと思って、自分の家の倉庫も探してみた。鉈を見つけた。太い鋼の刃が頼りがいがありそうだった。
鉈を手にしたボクは、それだけで鼓動が激しくなってしまった。首のところが苦しい感じだった。
やっぱりボクは…こういうことには向いていないだろう。
頭は理解しても、体がついてこない。あの鼓動の激しさもそれだ。
……………
ボクが…玲を殺さなければならなくなったら………きっとなるんだろうけど………
その時にボクは殺せるだろうか…。
12/4 土曜日
今朝はずいぶん冷え込みました。最低気温が−1度までいったようでした。
雪は数日前に降ってつもり、その日のうちに消えてしまっていましたがもうすぐ本格的に降るでしょう。
今日も他になにか使えそうな物がないか、探しました。
と言っても、どこにいくのかもわからない状態。何を探せば良いやら………。
それからもう一度玲の部屋を見た。アルバムがあったので持ってきて見ていた。
この家がかなり裕福なわかる。ボクの家とはだいぶ違う。
……あいつはいつまでボクを待たせたままにして置くんだろう。
12/5 日曜日
ボクは彼に迫っていった。いつまでボクにいわないつもりなんだ!
無言……。何も言わない。
その午後、彼は出かけたまま、今の時間まで帰ってこない。
気になる………もしかしたら玲のところに行ってたりしないだろうか。
はっ…きっとまた当たってるんだろう…この予想も。
ここにももう長くはいられないのか…………。
12/6 月曜日
今日は一日、とりあえずは玲の家にいた。
彼が居ないのをいいことにボクは家の中を探しまくった。
何も見つからない!!!なっにも見つからない!!!
………これじゃあ…これじゃあ………。
でも……唯一見つかったものがあった。写真だ……ボクのじゃない。浅黄さんのだった。
はっ……俺って無力だな……。俺って……俺って………
12/7 火曜日
無気力なまま、ボクは家に戻った。数日前、この鉈を取りに来たが部屋までは戻らなかった。
なんとも……する事がない。
一応…頭にある考えとしては、学校の奴に脅してなんらかの情報を得られるかもしれない……。
危険すぎる。無理だ。でもそれでも……やらないともう後がない……。
……ふぅ、どうしたらいいんだ。
12/8 水曜日
赤間君。君がこの手紙を受け取るとき私は多分玲のところにいるだろう。
大人の私が行くんだからこれ以上の手はない。もしこれでだめだったら………。
赤間君。私はこの手紙を出してから二日以内に手紙をもう一度出す。
もしかしたら、それより先に帰っているかもしれない。
それでももし、手紙が届かず私も帰ってこなかったら…
全部忘れてくれ。何もかも全て………。念のため、この手紙は君の家にも私の家にも送る。
私のできる限りを…尽くすつもりだ。
最後に書いておくが、君は絶対に来てはならない。絶対にだ。
………おかしな話だが、彼がどこへ行ったのかも分からないのにいったい、どうやって行くのか。
彼はどうやら本当に玲のところへいったらしい。……生きて帰るんだろうか。
もし、帰ってこなかったら……本当にボクは彼の行き先を知ることはできない。
何か…手段はないのだろうか………。
12/9 木曜日
町に出てみた。本当は表に出るのすらいやだった。人に会いたくなかった……。
クラスの奴が良く溜まっているゲーセンや街角に回ってみた。
…知ってる奴らはいなかった。おかしい…いくらなんでもここまでいないはずはない。
知らない奴…といっても、学年で比較的有名な奴ならそこそこいたから……
うちのクラスの男達だけいなかった。
女子は多少はいたが……鉈で脅すわけにもいかないと思ったので止めた。
ん…………。どうにも……うまくいかない
12/10 金曜日
どうせ彼は帰ってこないだろう……。冷たいようだが冷静な考えだ。
今日も放課後になったと思われる時間に町のあちこちへ行ってみた。
クラスの奴をやっと数人見つけた。彼らはボクを見るとぎょっとした風で足早に姿を消した。
追いかけるにも距離があったのであきらめたが…ボクが怖い??
…佐久間の犠牲者の1人であるボクが怖いはずはない……どうしてだろう。
けど、もし怖がっているのなら……脅すには都合がいい。
………………気づけばボクも目覚めてきたな。
今思えば、ささやき続けた声が自分自身なら、あの考えはボク自身のもの。
…明日はやってみせよう。
12/11 土曜日
昼頃、気が付けば第二土曜だったのに気づいた。
ボクは出かけた。コートの中には鉈を隠して…町を歩いた。
いた。顔見知りの奴らが。だが人数が多かった。
しばらく見つからないように見ていると、数人が別れて1人だけになった奴が居た。
そいつの後を追い、裏の路地へはいったところでボクは後ろから呼び止めた。
名前はもうわからない奴は、ボクをみてかなり驚いていた。その理由はすぐ分かった。
「ゆ!ゆゆ!ゆるしてくれ!!
俺も…俺も本当は行きたかったんだけど親が親が…」
半分パニックになっていた。まだ鉈を見せていないのに。
だがこの反応は異常だ…きっと何か知っていると思ってボクは鎌を掛けてみた。
「自分が何をしたのか分かってるのか?」
奴は顔が引きつっていた…可哀想だが仕方ない。
「れれ……玲さんには…せっかく誘っていただいたけど…都合が悪かったんだ!」
あんまりうまくいかなかったので普通に聞いてみた。
「玲はどこに行くつもりだったか知ってるか?」
「え?……あぁ…別荘があるからそこにって…………
………………お前!玲さんの使いじゃなかったのか!?」
驚いた表情で奴は迫ってきた。
ボクが相手なら当然だとは思うけど、鉈をコートから出して見せたら奴は動かなくなった。
いけ…そう言うと、時々後ろを振り返りながら慌てて走っていった。
ボクもこれ以上居て、他の奴が集まってきても困ると思いさっさと帰った。
別荘。………別荘。ボクは玲の家中を探して、別荘に関わる物を探してみた。
アルバムにもそこでの写真はあったし、電話番号も見つけられた。
ただ…詳しい場所が分からない。まだ家の全部を探した訳じゃないからなんともいえないが……。
……もっと聞いておけばよかったか。
とにかく、もっと探さないと。
……だが気になることがある。玲と一緒に行ったのは…浅黄さんだけじゃない?
12/12 日曜日
見つかった…玲の部屋から見つかった。ゴミ箱の中だった。
玲も別荘の場所はよく分からなかったのだろうか、いろいろ地図などの写しの残りがあった。
……これでそろった。場所も特定できた。彼はもう…ダメだろう。手紙も来ない
しかし、玲以外にも相手がいるとなると……どうなるだろうか。
鉈だけじゃ……足りないか。でも場所から行くと…とてもじゃないが大きな物は持っていけない。
自転車にも積めない。
とりあえず鉈は研いでおいた。重くて研ぎにくく、かなり怖かった。
………出るか。
12/13 月曜日
今日はかなりの雪だ。
自転車に登山用リュック…。自転車は自慢の愛車だ。なんとかなる…と信じたい。
結構山奥の別荘だ。道からは外れているらしい。この雪だしな…。
出発です。この日記が更新されることは期待しないでください。
ボクが死んだとしても誰も悲しまないだろうというのが…なかなか面白い。
悪い意味の孤独だ。一昨日話したあいつ以来人と話せはしない。
…思い残すことはない。
さようなら。
終
---完結編有り---