赤間の日記−完結編−
赤間が目を覚ましたのは日付が変わった頃だった。
あぁ……明るい。ドアを開けて……どうなったんだ?部屋の中は明るく、赤間は目がくらんでしまった。
目に手を当てようとしたが手は縛られている。手は動かなかった。足も同じだった。
くらんだ目がようやく慣れてくると人影が見えてきた。人影は赤間が目を覚ましたのに気づいたようだ。
赤間が仰向けに寝かされている側により顔をのぞき込んできた。
その顔は浅黄だった。なんとか見える浅黄の目には憐れみが感じられた。気のせいだろうか。笑っているようだ。
「浅黄さ………」
何とか体を起こそうとしたとき、頭に痛みが走った。顔が歪み小さな呻き声があがった。
浅黄はなにもいわないまま、階段を上り二階へ消えていった。
何の感情もないかのその行動に赤間は呆然とした。だがその行動も納得した。
赤間が捕まった今、もはや従わなければならないものがある。佐久間に逆らえばどうなるかわからない。
そう考えれば納得がいく。
……殺されるな…………
その事実は見えていた。だが実感はわかなかった。赤間は浅黄が佐久間を連れてくるまで待っていなければならなかった。
微笑みを崩さないまま二階へ上った浅黄は佐久間の部屋へと向かった。
通路の奥が佐久間の部屋だ。扉の前まで行くと中からすすり泣きと声が聞こえた。
「……さん………お母さん…………」
ドアノブに手をかける寸前だった浅黄は目を見開いた。手が止まり、ノブの直前で震える。
中からはすすり泣きと何か呟く声が聞こえる。浅黄は微笑みではなくクスッと笑うとしっかりとノックをした。
「………はい。」
返事が聞こえた。扉を開けると机に座りイスだけこちらに向けている玲がいた。
「…起きたのね」
聞こえたすすり泣きが嘘のような表情を見せて玲が言った。
髪を掻き上げ立ち上がると赤間がいる下へと向かっていった。浅黄は後ろからついていった。
後ろから見つめる玲の姿は何か影が薄いようなきがする。
浅黄は気の毒な赤間の行く末を案じた。………来なければよかったのに。
上から足音がする…………玲が来た…………。
沈黙が続いていた。だんだんと響いてくる足音がそれを破り、再び赤間に緊張の糸がはりめぐった。
目に映るのは逆さまのギャラリー。視界ぎりぎりにその端が見える。二つの足音が近づく。
緊張の中震えが止まらない。……………殺される。
そう思ったとき、ギャラリーに白いドレスが見えた。顔はこっちを見ている。
その顔は優しい微笑みだった。
……あの微笑みが………こわいのよ………