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今年も頭を悩ませてくれた外国語映画部門。
如何に悩んだかは、ベストテンの次点を見ていただければ分かるかと…。
それはさておき、2002年の傾向として、ハリウッド映画の衰退がいえるか
と思います。やはり、映画はCGの見せ掛けだけではなく、ストーリーやテ
イストが全てであると考えます。そういう視点で選んでいった次第です。
2002年の作品賞の戴冠を授かったのは、『バーバー』であります。
何だアメリカ映画じゃんって思われるかもしれませんが、アメリカでもイン
ディーズ畑のコーエン兄弟の描いた一大傑作なのです。平凡な理髪店で
働いてきた男。ちょっとした夢を実現しようという選択をしたばかりに、奈落の
底に突き落とされていく展開がシュールでもあり、リアルであった。人生賛
歌ではなく、人生悲喜交々というテイストも可笑しさがありました。
主演男優賞は、その『バーバー』と『チョコレート』のビリー・ボブ・ソーントン。
両作品共に孤独さ、哀愁を背負う物静かな男を見事に演じきっていました。
語る演技というより、仕草・雰囲気だけで圧倒的な威圧感がありました。
主演女優賞は、シャーロット・ゲンスブールに。『まぼろし』では、愛すべき夫
を突如失った妻の狼狽ぶり、現実を飲み込めない姿、そして何よりも、夫の
幻影を追い求め、彼を愛し続ける直向さは演技を超えた演技でした。「あなた
軽いのよ」というセリフ。とてもとてもインパクトがありました。
助演男優賞は、ダニエル・デイ・ルイス。5年ぶりの復活を遂げた『ギャング・
オブ・ニューヨーク』。ネイティブ・アメリカンの排他的で破滅的、残虐さをも兼
ね備えている男の力強さをヒシヒシ感じさせてくれる名演技。彼の復活は非
常に嬉しく思います。早くも次回作が気になります。
助演女優賞は、ケイト・ブランシェット。『バンディッツ』では2人の男を手玉に
り翻弄する姿。『耳に残るは君の歌声』では、上昇志向の強い高飛車な女と
両極端な役柄を演じ分けたカメレオンぶりは凄い。
監督賞は、フランスの気鋭フランシス・オゾン。彼のキャリアの到達点ともいえ
るのが『まぼろし』。どちらか言うとキワモノ系の監督と言われてたのだが、オ
ーソドックスなドラマでありながら、困惑する1人の女性の姿を丹念に描き切っ
た腕前はさすが。また、『8人の女たち』の遊び心溢れる映画も撮りながらも、
彼のキワモノの視点は忘れていないところも素晴らしい。
脚本と音楽の2部門を獲った『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』。
自分の片割れを追い求める自分探しの物語をロックミュージックで彩り、また
辛らつながらも希望へと着地させたオリジナリティ溢れる脚本が見事。
撮影賞は、カラー画像の色を落としてわざわざモノクロにし、その白黒の世界が
主人公の哀愁と相俟った奥行きのあるものとなったのは目を見張りました。
衣装賞は、8人のフランス人女優達をキャラクターに相応しい服の数々で彩り、
観ている私たちをも楽しませてくれた『8人の女たち』のに。
SFX賞は、CGと映像の見事な融合でファンタジーな世界感を見事に表現した
『ロード・オブ・ザ・リング』に対して。次回作以降もとても期待がかかります。
そして、優秀邦題賞は『天国の口、終わりの楽園』に。映画全体のストーリー展
開を的確に捉えたタイトルであった。原題のままというのが多い中、邦題タイトル
でのリリースに期待したい。
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