RECOLLECTION OF 13 YEARS 


新風舎刊 「22歳の地図(ダイアリー)」−−吉村 毅 著 より
ISBN:4-88306-723-8
発行年月:1996/05

(関西弁バージョンはこちらからリンク)

(こっちは博多バージョンです)


March 1984


僕のまわりにいる人々の僕に対する忠告は

たいていの忠告がそうであるように

最もリスクの少ない生き方を奨励するものだった。

僕はそのいくつかの忠告に少なからず影響を受け

今日の僕と、明日からの人生がある。


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「何もできないうちに卒業するなんて、18歳のときには想像していたなかった」


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卒業式。語学のクラスの仲間と原宿の「キーウエストクラブ」に行く。

Discoパーティで16年間の学生生活をしめくくった。

Discoチャート No.1だった、ボーイズ・タウン・ギャングの「君の瞳に恋してる」

ギブソン・ブラザーズの「恋のチックタック」...。

そのあと、テニスサークルの女のコを呼んで、

「ラジャコート」、「トキオ」、「クレオパラッツィ」と

朝までお決まりコースのプレイスポットめぐりをした。


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僕には自信があった。しかし、

巨大ない、ガリバーみたいなやつが

目前に立ちはだかっていることに初めて気づいた。

こいつに勝てるか?

大きすぎて今までその相手が見えなかったらしい。


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「男は孤独でなければやさしくなれない」

「やさしすぎることは、ときにはあまさになる」


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April 1984


大学時代の遊び仲間と六本木で一杯。

早朝4:00原宿で一人になり、

表参道、青山通りをとおって渋谷駅に出る。

まだ夜は明けていない。

入社してわずか2週間。

学生時代に見た六本木の街と、

今見る六本木ではネオンサインの色が違って見える。


「もう戻れない」


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「気を許してはいけない。笑顔は戦術でしかない」


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闘って勝つよりも人を大切にしたいと思う

しかしそれは、人の逃げ道なんだろう。

どちらが正しいなんてことは、

――ありえない。


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「やりたいことをやるのとメシを食うことは別だ」

と思うようになってしまった。

たしかに、なってしまった。

人は自分を正当化していく。


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名画座で『イージーライダー』を観た。

――自由を論じ叫んでいても
   本当に自由な奴を見ると、恐がる。

まったくそのとおり。


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May 1984


5月になった。

「会社は結果で人を評価する。――望むところだ」


「キツネ狩りにゆくなら気をつけてお行きよ
〜きみと駆けたきみの仲間は、
ねえ、きみの弓で倒れてたりするから」
(中島みゆき「キツネ狩りの歌」より)


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『おまえの企画は学生のおもいつき』

――このセリフ聞きあきたよ。

『一軍に入りたいならゼロから出なおせ! プロ野球と同じだ』

――言いたいことよくわかるよ。

でもね。

ゼロから、普通のフォーム覚え直したら、

普通の人になってしまうかもしれないじゃないか。


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会社とはなんてかたよっていて、

 なんてかたよった人間が多くて、 

 かつ、正しいんだろう


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June 1984


“ギブ・アンド・テイク“これが社会の原則らしい。

いつのまにか、友人に対してもギブ・アンド・テイクを要求するようになる。

例えば、相互にとり有用な情報の交換、といった具合に。

もらうものなければ与えない。

だから、ギブ・アンド・テイクできない相手とはつきあわない。

もらうものがなさそうな人には近づかない。

それがあたりまえのことらしい。

良い意味でも「利用しあう」のが人づきあいか。

...やっぱり「一人」だ。


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ギブ・アンド・テイク、

 利用するか、されるか、

  やるか、やられるか、

  ――ずるい奴は強い

社会人は金を稼いでいる。

だまし合いのつらさを知っている。

それで?

それがどうした。

それが貴いことか。

人をだませると偉いのか。

人を裏切ったり裏切られたりすると一人前なのか。

そう考えている人を

...僕は軽蔑する。


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大人は求める何かを得るために

超えねばならない壁の厚さを知っている。

また、彼らにとっては、求めるものを得たとしても、

それが一瞬にして消えるような性質のものではなく、

その得たもの、あるいは得たことによって発生する何らかのメリットが、

恒久性なり連続性を持っていないと価値がない。

それが「生活」、なのだ。


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人間はできる限り、やりたいことをやって

生きたほうが幸せではないかという気がする。

最低限の忍耐は必要だろうが、

忍耐と、それにともない生じる「小さな幸せ」だけで一生終わるなんて

僕には考えられない。


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July 1984


人格以上に、その人に付随する「手かせ足かせ」が信用の基礎になる。

結婚していたり、家があったり、子供がいたり――。

相手の足もとを見る。

足かせがある。

安心する。


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「足かせ」を生きていくための武器にするために、

自らはめる人が多いらしい。

No!!だ。


「足かせ」のある者どおしの共同被害者意識が

仕事のつながりを強くすることがあるのではないか?


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『1年なり、3年の忍耐が後の人生の勝利につながる』

『地道に働いて3年、信用を得る』


『会社を2年未満でやめるとキャリアに傷がつく』


『長い先の見通しを考えて働け』


なんてくだらない世の中。

みんな歳の功だけで仕事している。


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August 1984


「大人の世界は一歩距離をおいてみれば

 茶番劇。みんな必死の覚悟で

 茶番劇を演じるアクター。

 ――あやつり人形」


学生生活はまさにホイチョイの『見栄講座』の世界だった。

今、「大人の見栄講座」。そのもの。


*『見栄講座〜ミーハーのための戦略と展開〜馬場康夫著(小学館)』
1980年代に流行したホイチョイプロダクションの作品。テニス・スキー・ダイビングなどのアソビで、いかに中身がなくてもいいかっこして女の子にモテるかを解説した、シニカル&アイロニカルなマニュアル本。



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ひらきなおったときの僕の見解

○現代社会に自由はありえない

○忍耐は幸福の基本

○手かせ足かせは人間の弱さゆえに最低限必要な束縛


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管理されているが、保護もされている。

それが今の社会体制。

たとえば戸籍。

婚姻届で性関係が管理されたとしても、

それによって、社会保障や数々の恩恵が得られる。

生活の保障をしてもらってる。サラリーマンも同様。

管理と保護。

飼い犬は安泰だな。


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「言葉」が金のため、処世のために流通する。

真実を語る言葉は金にならない。

表面化されない。

何のための言葉?

何のためのコミュニケーション?

言葉とコミュニケーションの商業手段化が

人の心を追いつめてゆく。


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人間の価値は会社の名前で決まる

 無名の広告プロダクション 営業 22歳

 社会の底辺はいつくばって生きるしかない。

 気が狂いそうだ。


営業は人をだます勝負。男の仕事として誇れないと思う


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人間そのものが汚すぎる。

 社会体制の問題じゃない


負け犬どうし、傷口なめあうような

 みっともないまねだけは したくないんだ


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大企業の社員のまわりには、やたらと人が集まる

与えるものが多い立場の人間に群がるハイエナ。

業務上のコネクション作り、

そして、情報収集のために。


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相互理解が恋愛を生む。

 だから、生きる技を身につける以前の

 僕を知っている女性しか愛せない


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仕事なんてカラオケみたいなもの。

唄っている本人だけいい気持ち。

まわりの人は内心さめている。

順番を待つ人はただじれったいだけ。

ピーナツかじりながらじっと待つ。

あいのて入れながらね。

マイクが自分に回ってくると、

アホクサイと思っていた人もついついノッちゃって、

「もう一曲――」

なーんてね。

やみつきになっちゃうんだ。


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September 1984


「人間関係だけで仕事やるのなら、

 仕事なんてやりません」

「仕事のかけひきだけが人間関係なら、

 人間関係なんていりません」


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あきらめてしまった人たちが低レベルの価値基準を作った。

あきらめてしまったことを無意識のうちにごまかして。

労働意欲を支える価値観。

しくまれた共同幻想。

子供のころ、「一流のセールスマンになりたい」

なんて夢を持ったことがあるか。


大きくなったらトンネル掘る人になりたい

これは自然な発想。


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横浜駅のホームで高校の同級生の女のコとばったり出合った。

デパートの経理部に勤めているという。

彼女はこんな話をした。

「私はお茶を入れるのが好きなの。

 自分の仕事が忙しいとよけいに

 意地になってお茶を入れちゃうの」

「なぜ?」、と僕。

「私の入れたお茶を飲んでいる人を
 
 見るとうれしくなるから」

「.....! そうか。」


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世のため人のためになるような仕事をしたいと思っても、

その目的に到るまでの過程は多かれ、少なかれ

不純な行為を犯さねばならないことが予想される。


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「一人前の社会人って

  鬼か公務員だ」


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みんな みんな

殴り合いながら

切り合いながら

刺し合いながら 生きている。

「許せ」と心に念じながら。

みんな

血まみれ。


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半年や1年でマスターできる仕事を、

5年、10年かけて覚えていく。

たとえばすし職人。

たとえばCFディレクター

世の中のしくみ。


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近頃の僕はやる気喪失。

与えられた仕事だけをそつなくこなし、

それ以外の時間は、てきとうにさぼるようになった。

不思議なことに社内での僕の評判は良くなりつつある。


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歳が若いというのは大きなハンデだ。

20歳代ではなかなか一人前のビジネスマンとしての扱いを受けられない。

30歳をこえたら アホでもそれなりの扱いを受け、

それなりの仕事をしきるようになる。

30歳まで待つのか――。

30歳になったら仕事が楽しくなるのかもしれない。

あと7年もある。


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October 1984


新入社員が5月病を乗り切るのがこの季節だという。

彼らはどのような自己変革により社会に順応し、目標設定を行ったのか?

企業の価値体系を受け入れたのか?

無気力になったのか?


僕の友人達は前者が8割、後者2割。

僕はたぶん後者に近い。


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おまえもそのうち笑えなくなる

と言われた。

何を言いたいのかはわかる。

でも、僕は思う。

苦しくなればなるほど、

汚さに巻きこまれるほど

笑いたくなる機会は増えるだろう。


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他人を裏切ってもかまわないと

思っているやつは、

きっと他人から裏切られる。



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他人(ひと)の喜びを自分の喜びとして

どこまでとらえることができるか。

他人に喜んでもらうのが人の喜びだと思う。


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お互いずるいもん同士、
 
 表だけでもまるく収めましょうよ

仕事をする人が目指すべきは、

自分の利用価値をどこまで高めるか。

仕事の人間関係は利用し合う関係。

はっきり、わりきらなくてはいけない。


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仕事で人と会っているとき

「こいつとは仕事以外の場で知り合いたかった」

と思うことがよくある。


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己は結果で勝負して

  他人の過程は大切にしてやる


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「ウソ」の海。

「真実」のとび石。

……。


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今や 老後、夫婦で最低でも、4,000万円必要だという。

老後のために生まれたわけじゃないんだけど。


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判断能力を持たない学生が、

就職先を自分で決定する。

そして、その決定はとり返しがつかない。

そんな終身雇用制度は納得しかねる。


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大学生の頃、マリンヨットクラブに所属している友人が

「メジャーじゃなきゃ、やっぱりダメなんだ。ダメなんだよ」

と言った。

思い出して「なるほど」,と思う。


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November 1984


大きな大山。

小さな小山。

子供の頃は大きな大山ばかり見つめていた。

自分が大きくなって

大人になると、小さな小山のてっぺんばかり見つめだし、

ついには大山の存在さえ忘れてしまう。


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瞳の輝きがなくなるのは

夢がなくなるから



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植村直己夫人は、

「主人はひとの10倍生きました」

と語ったという。


*植村直己――冒険家。


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みんながおまえをつぶそうとしているし、

 俺もおまえをつぶそうとしている

 ――と彼は言った。


勝手にしたら。


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企業と社員の関係は

男に対する女の関係に似ている。

自分に力があれば

独立性が保たれる。


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見栄っぱりの女と結婚しないほうがよい。

という考え方は、

つまり、亭主が見栄をはらせてやれるだけの経済力を持たない、

ということ。

金があれば幸せになれるのかもしれない。


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営業部N先輩の営業トーク。

「○○さん、たよりにしてますから。

 よりかかりはしませんけどね。

 よりかかりはしませんが

 ○○さんはたよりにしてますよ」

うまいな――。


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頭の中で考えているときには

何の価値もないことが、

実際やってみると

新しい何かが見つかることがある。


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一流の打者は自分のストライクゾーンを持つ。

同様に人も善悪の判断基準を持つべきである。

くさい球はファウルする。


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人は自分にうしろめたさがあると

他人を説得するパワーがそがれる。

だから、普通の悪党はかえって底がみえすいてしまい成功しにくい。

が、悪を犯しているにもかかわらず、ずうずうしく自分を正義の味方だと

思いこめる人間は強い。


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本当に観念的に通念上の「善」だけでビジネスできるか?

難しいと思う。

ビジネスの世界では一般の社会通念と

ある程度、善・悪の判断基準のライン異なるという気がする。

商習慣の中では通念上の「悪」でも、必要悪として許容される部分がある。

商人として商習慣のルールをギリギリ越えないところまで「悪」?を駆使する。

それがビジネスマンだ。


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December 1984


学生の世界とはもう別世界。

うらやましいとも

くやしいとも

思わない。


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「負けたことを誇る

 人間にだけはなるまい」


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街の風景は刻々と変化し

物理的にも原形をとどめなくなってしまっていく。

そんな流転の中でも

僕と過去の共通体験を持つ人々だけは

僕に対して変わらないでいてくれる。


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May 1985


学生? 正しいよ。

 でも、正しいからって通用しない。

 あまいよ。

 通用しないものに価値ないさ


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5月26日、六本木のDisco「ナバーナ」が閉店した。

ホール&オーツ「マン・イーター」

ウェザー・ガールズ「ハレルヤ・ハリケーン」

トロピカルドリンク。

レイヤードのJJ.Girl。

この店で僕は生きた。

「ファイナル・ナバーナ」と印刷されたパーティチケットを手に

僕より5歳は歳下の世代が集う。

「昔、栄華をきわめた、時代おくれのDiscoが閉店する」から。

彼らは西麻布の常連らしい。


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自分の意思に反して

やらなければならない「悪」が多すぎる。

――できるか。



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事はできるだけたくさんの人に、メリットがある方向に運ぶのがセオリー。

でも、すべての人にメリットがあることなんて

ないんだ.....。


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生きることの悲しさを知った人たちが街にあふれ
 
 生きることの悲しさを知った人たちを、傷つけている


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自分に「何もできない」ことがわかっても、

漠然とした虚しさがあるだけで

むかしのように追いつめられた気持ちになることはなくなった。

目先の充実を求めて生きている。


今までひきずってきた 数々の夢、意地、

もういつのまにか遠くに

おいてきてしまっている。


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「何もできない」ことに慣れてしまえば

 大人になれる。

「何もできない」ことに慣れてしまえば

 楽になれる。

……慣れてしまえば。



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僕は東京がきらいだ。

かけひきの匂い。

策略の予感。

おびえながら生きる人々。

そんなことにも無感心になってしまった人々。


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November 1995


ボーイズ・タウン・ギャングの「君の瞳に恋してる」のイントロの瞬間!

Discoの表情は一変する。

あの季節をともに駆け抜けた。

最後に君と会ったのは、

1989、夏、渋谷。

君は25歳だった。


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Can't take my eyes-off you.



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1996に書いたあとがき


「時代と刺し違えたい」そんな気持ちがあのころにありました。

今もその気持ちは変わっていません。だから本にしました。

ぼくは今、34歳です。22歳の僕に戻ってペンを走らせました。

「22歳の僕 VS 34歳の僕」、どちらが正しいのでしょう?

よくわかりません。

少なくともこの二人は、お互いを良く理解しています。

そして考え方の違いをいつでも熱く闘わせることができる

親友でもあります。

だから「22歳の僕」は、これからも今の僕といっしょに成長していってくれます。


          1996年1月  Takeshi,Yoshimura.


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