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深夜放送が挑戦的であったのは今は昔の話である。バブルマネーが24時間タイムテーブルを潤していた頃。各局には充実のラインナップが勢ぞろいし、江戸時代で言えば元禄のように文化が爛熟した。(例えばオールナイトフジ〜カノッサの屈辱〜イカすバンド天国)功罪で言えば、バブルの「功」の一面であった。
その面影なき今、一石を投じる話題の番組がこの春からオンエアーされている。それが、シザーズリーグ、一言で言えば、料理の鉄人の「美容師」版である。御覧になっていない方の為に付け加えるなら、これは、パクリではなく、あえて第2弾的な作りになっているものである。
長い平成不況の中にあっても、元気な業界、というものがあり、そのひとつが東京のトップへアメイク業界だ。経済が停滞していても、人は自分への投資には金をかけているそうである。食しかり、そして美容しかり、である。しばらく前から東京でも特に原宿界隈のサロンの人気が注目されており、大規模にヘアメイクショーなどが開催されていた(らしい)が、まさにその渦中のヘアサロンが集まってリーグ戦で対抗しようというものだ。
企画として、これはアリだと思う。本物を求める視聴者が多くなっている中、プロフェッショナルの技を、しかも現在の日本でトップのものを見たいと願う人が多いはずである。また、深夜の視聴者層の多くを占める10代から20代の嗜好性にぴたりとオーバーラップしているのも強みである。また、公開録画の観覧者が全員若い女性で(写真で選考されているらしい)モデルも審査投票も彼女達の手に委ねられるのだが、女性視聴者はファッション誌を見るような感覚で、また男性視聴者でもこの素人女性達が画面に映っているのを見るだけで相当いいものである。(なんだーっ!結局そこかーっ!!でも、作っている側も計算していると思うよ、たぶん)
ただ、気になる部分もあるので一応記しておくと、1、司会が石井ビューティー(米米のカールスモーキー)であること。ダサい。なぜこの人が?2、会場のセット、リプレイやワイプの処理、テロップがショボくていけない。3、勝敗を通して美容師たちの人間模様を描こうとしているのは解るが、中途半端で描ききれていないので、画面をいくらモノクロでスローにしても格好わるい。4、ナレーションの台詞が陳腐。(料理の鉄人はもう少し練れていると思う)
パッと見、こんな文句もありますが、見る価値はあるのではないかと思います。
一方、今一つきらめきのないのが「社会の窓」(でしたよね?)である。極めて大まかく御説明すると、企画は週間プレイボーイや宝島、アサヒ芸能などの「ネタもの」投稿ページのテレビ版である。具体的には、ふかわりょうの「君んち、割り箸も洗うの?」みたいなネタを視聴者から募集してスタジオでその言葉についてああだ、こうだと議論する、というものである。
感想は、「ううむ、これをテレビでやる意味あるの?」というところか。実体を伴わない机上の空論を楽しむような企画は、なにか「今」の空気にマッチしないようなムードがあり、少し気持ち悪くなってしまうのだ。こういう企画がいかにも好きそうな司会のいとうせいこうといい、出演者もどこかバブルの遺産的「におい」があってどうしても全部見る気がしないのである。そのうえそのネタ自体それほど笑えないのも致命的である。
こうしてフジテレビの深夜番組ふたつを並べてみたのだが、これらを制作する作家、スタッフの多くはたぶんバブル期の深夜テレビカルチャーを支えた顔ぶれではないかと思う。そのメンバーがこうして今、明暗を分けているというのも興味深い事実である。
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