半年ごとに好きな映画をピックアップしています。
2002.07-12
ロリータ/8人の女たち/突入せよ!「あさま山荘」事件/ジョンQ/アバウト・ア・ボーイ/ズーランダー
2002.01-06
トム・ジョーンズ/クレしん オトナ帝国の逆襲/ポイント・ブランク/ヴィドゲンシュタイン/キューティ・ブロンド/アイ・アム・サム
2001.07-12
アメリ/シュレック/ウォーター・ボーイズ/GO/おいしい生活/夫婦善哉
2001.01-06
スターリングラード/ベティ・サイズモア/ダンサー・イン・ザ・ダーク/マレーナ/シリアル・ラヴァー/ディボーシング・ジャック/東京マダムと大阪夫人
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〜2002年7〜12月に見た映画〜
遅まきながら、9月にDVDデッキを購入。ハマった。
いちばんはじめに手に入れたソフトは「幕末太陽傳」。実はデッキを購入するずっと前、去年、購入していた。在庫切れ間近品薄との噂をキャッチしたからだ。
ところが。である。この晩秋、日活からリニューアル販売されているではないの! パッケージも特典も、最新版のほうが明らかに見るからにヨイ。く、くやし〜〜。
ナンタラバージョン、カンタラエディションなどDVDソフトのワナに何度もハマリながら、コメンタリーという新しい映画の楽しみ方を知った半年。つーことは、劇場用新作をあんまり見ていない半年だったりもする。
ちなみに2002年前半に見た映画はコチラ。
年間を通してみると、「スパイダーマン」「青い春」「OUT」「ウェイキング・ライフ」「東京キッド」「オースティン・パワーズ・デラックス」(←冒頭15分限定)なんかも面白かった。て。キリない。
LOLITA/1961/イギリス/原作+脚本:ウラジミール・ナボコフ 監督: スタンリー・キューブリック/出演: ジェームズ・メイソン スー・リオン シェリー・ウィンタース ピーター・セラーズ
■怖いオンナ部門■キューブリックの人を見る目はすごい de 賞――-――ロリータ
恋ごころは不条理だ。という話。
もともと「面白い」とは聞いていたのだ、初期のキューブリック。でもね、アレでしょ。ロリータでしょ。美少女モノでしょ。どうせオヤジの妄想炸裂でしょ。なんて、ずっと疑ってかかっていた。
見てやっとわかったぞ。
偏見でした。はい。人間の、オトコとオンナの映画でした。
考えてみれば、キューブリックの描くオンナには、いつも息がとまったものだ。夫婦喧嘩の話(アイズ・ワイド・シャット)にしても、なんちゃって貴族の話(バリー・リンドン)にしても、カウボーイの兵隊さんの話(フルメタル・ジャケット)ですら、出てくるオンナが怖かった。
凶暴なキバを色香に隠してオトコを屈服させる生き物。
そういうトコ、あるかもしれない。オンナったら。
個人的に目が離せなかったのは、実は美少女ロリータのオッカサン(シェリー・ウィンタース)だった。彼女が、これまた強烈なオンナ。その無神経さ、ふてぶてしさ、独占欲の強さ。自分のオンナ的ヤな部分を拡大して見せてもらってるような感じの人。たしかに根性は悪いが、彼女の主張はかなり真っ当である。自分と同年齢の独身のオッチャンに恋をするだけだから。たぶん出てくる人のなかで、唯一、フツーの嗜好の持ち主。しかしそんな彼女の健全性は、ものの見事に打ち砕かれていく。それがね、面白い。せつない。
考えてみれば、この映画って登場人物全員が片思いしている。いい年のオヤジも、コ生意気な娘も、それぞれの思いが一方通行の空回り。
恋愛とは、健全とか不健全とか、正常とか異常とか、努力とか精進とか、そういうのとは無関係の、むくわれない感情。今さら、そんな当たり前のこと学んだり。めずらしく真っ当な映画の見方してしまいました私。ま。ここらへんは原作の力もあるだろうな。
8WOMEN/2002/フランス/監督+脚本: フランソワ・オゾン/出演: ダニエル・ダリュー カトリーヌ・ドヌーヴ イザベル・ユペール エマニュエル・ベアール ファニー・アルダン ヴィルジニー・ルドワイヤン リュディヴィーヌ・サニエ フィルミーヌ・リシャール
■怖すぎるオンナ部門■女だから女優? 女優だから女? たぶん両方 de 賞――――――――――――――――――――――――――――8人の女たち
文字どおり8人の女たちの話。このタイトルがすべてを物語る。
いちおストーリーもあるし歌も踊りも楽しいけれど、やっぱり見どころは、彼女たちの演技。というよりか、彼女たち自身。イジワルで、ズルくて、エゴくて、美しい、10代から80代までの女たち。すっぴんメイドのベアール(39歳)。隣の女。じゃなくて、妖艶な謎の女アルダン(53歳)。そして、毛皮で舞い踊る人妻ドヌーヴ(59歳)。フランスの女は、年を重ねるほど百花繚乱。ああ。フランス行きて〜。
インテリア、ファッション、音楽。スタイリッシュでビビットな舞台装置を上回る、女たちの存在感。女だから女優と呼ばれるのか? 女優だから女になるのか? とにかく。濃いぞ濃いぞ。濃すぎるぞ。
こんなオンナたちが生息する館に入ったら、どんなオトコだって死にたくなっちゃう(え?)
と、勝手にストーリーをねつ造してしまうくらいイマジネーションに満ちた映画。
それはそうと。クラシックハリウッドをおフレンチな味つけでパロディしたオゾン監督。これって実は、ゴダールの手法なのでは? 21世紀のゴダール狙ってる? もしかして?
2002/東映/原作:佐々淳行 監督+脚本: 原田眞人/出演:役所広司 宇崎竜童 伊武雅刀
■働くオトコ部門■鬼の手をもっているのはステキなこと de 賞――――――――――――突入せよ!「あさま山荘」事件 THE CHOICE OF HERCULES
今、1日おきに見ているDVDがコレ。実話を元にした人質救出作戦の舞台裏。
いろいろな見方ができる作品だが、私は警察という組織のバックステージものとして楽しんだ。「アメリカの夜」「雨に唄えば」「蒲田行進曲」「ラヂオの時間」などなど一連の芸能界バックストーリーと同じく、ひとつのコトを成しとげるまでの人びとの思いが描かれているから。
あるいは。
ニッポンのなかにガイジンさんが飛び込んだらどーなるか、という話でもある。
「人質も犯人も含め、人を殺さない」
まず、この大前提が、どう考えたってユニークだ。銃器使用を簡単に許されないこの国の体質はいまだに論争を呼んでいるけど、本作を見ると、これって明らかにニッポンの発想なんだと実感する。
ライフルを豪快にぶっ放してコトがすんだら、そりゃあかっこいいけどね。石を投げたり、水をまいたり、ペランペランのうすい楯に隠れながらへっぴり腰でにじり寄ったり。この国の警察は、“非常時”にすらダサい作戦を繰り返す。
だいたいフランスでやんごとなき姫君をギロチンの刃にかけていた時代、この国では無血で江戸城を明け渡したのではなかったか。ゴキトクである。いい悪いではなく、日本人て、そういう癖(へき)があるんだろうなぁ。この癖、私は、嫌いじゃあない。(現実問題としてではなく)思想として、美しいとさえ思う。
その証拠に、機動隊員たち――影の主役――は、とことん地道ながら、無類に輝いている。無名の機動隊員を演じる荒川良々のホッペがかわいい(←それは本編とはカンケーない)。いやしかし。このリンゴのホッペこそ、長野県警のリアリズム。ニッポン男子、ここにあり。
そんなニッポン的世界に飛び込んでいくのが、ガイジンさんであるところの主人公(役所広司)。いや正確には、世界の難事件を目の当たりにした洋行帰り。和製FBIを作れと命じられている“ガイジンさんのメンタリティをもった日本人”である。
洋行帰りのキャラクターには、ひとつの典型がある。合理的で、スマートで、ダンディで、会話に意味不明のカタカナをさしはさみ、ハートがない―――つまり、ヤなヤツ。
この主人公は、ちょっと違う。たしかにスマートで合理的だけど、孤高のヒーロー「木枯らし紋次郎」のテーマソングを口ずさみながら、本気丸出しで難事件に挑む。「鬼の手と仏の心」をもちたいと願うオトコだ。
1972年、実際にあさま山荘事件がおこったとき、テレビは10日間この山荘を写しつづけ瞬間視聴率は90%に迫った。ワールド・カップ以上の国民的関心事だ。若い世代の多くは人質をとってたてこもった犯人側に肩入れしたらしい(と、他人事なのは、二足歩行はしていたものの個人的記憶がないため)。
この時、監督・原田眞人24歳、ロンドン在住。プロデューサー・鍋島嘉夫18歳、その直後フランスの大学へ留学。
事件からかけ離れた場所(=価値観)で暮らした人間が作ったから、本作は面白い。当時の世相(=思想)に巻き込まれた過去を抱く作り手だったら、おセンチで見てられない作品になった可能性は大きい。
そもそも70年代に日本人が海外渡航するというのは、どういうことなのか? 帰国後、排他的な人びとからどんな目で見られたか? 同じ日本人からどんな誤解と妬みと逆差別を受け、はらわたが煮えたか? 原作者と監督とプロデューサー、3人が似たような体験をしているワケだ。だからこそ、こんな新しい主人公が生まれた。
たぶん、ニッポンの皆さんの多くはたそがれ清兵衛みたいなタイプが好きなんでしょう。それはそれでよくわかる(←ナニゲで2回見た人)。日本アカデミー賞の評価もきっとそうだろう。
私は、鬼の手をもった日本人も同じくらい好きです。
JOHN Q/2002/アメリカ/監督:ニック・カサヴェテス/出演: デンゼル・ワシントン ロバート・デュヴァル ジェームズ・ウッズ
■お父さん部門■人を信じてる de賞―――――――ジョンQ−最後の決断−
子どもの命を助けるために、病院にたてこもる話。
その後、予定調和だとか、うそ臭いとか映画の文法からはみ出しているなんて声と、デンゼルとともに大泣きしたという声。半分ずつ聞いた。
私はね、やっぱ好きです、コレ。病院にたてこもるという映画的しかけと人間を信じてる感じがするとこが。
素材としては社会批判だから。映画というパブリックな娯楽場に出すには難しい問題をはらんでいる。きっと映画化までには紆余曲折あったんだと思う。もともと脚本は10年前くらいにできてたらしいし。きっと何回も書き直ししたんだろうな。ラストも改ざんされたんだろうな。なんて想像すると、映画化できただけでもめっけもんなんじゃないかな、と。まあ。映画見る時に、そんなことまで考えちゃ(考えさせちゃ)いかんのですがね。
あとね。病院に立てこもった主人公(デンゼル・ワシントン)の友達がテレビに語るシーンが好き。彼の人柄を尋ねられた友達は語る。
「あいつは、ほんとはイイヤツだぜ〜」。
このナニゲないひと言で“病院にたてこもった極悪人”というレッテルが、主人公を取り巻く状況が、変わっていく。
この瞬間、ボロボロっときてしまった私。友情て、いいな〜とか。思っちゃって(アホまる出し)。
ABOUT A BOY/2002/アメリカ/原作:ニック・ホーンビィ 監督+脚本:クリスイツ ポール・ワイツ/出演:ヒュー・グラント ニコラス・ホルト レイチェル・ワイズ
■ダメ男部門■思わず絶句させられる de 賞―――――――アバウト・ア・ボーイ
ダメオトコの話。
この映画が好きって認めてしまうのは、なんか悔しい。女として負けを認めてしまうようで。そんなこと言うと、この手のオトコを助長させるだけなんじゃないか、と。
でもやっぱり目が離せないのは、ナンなんだろう。惚れているのか? 原作者ホーンビィに。あ〜〜やだやだやだ。私ったら。
本作でいちばんショッキング(?)だったのは、ヒロイン(レイチェル・ワイズ)の話を聞いているときの主人公(ヒュー・グラント)のナレーションだ。
ヒロインは語る。仕事の話、将来の夢。真面目に語る。熱く語る。もとも質問を投げたのは彼のほうだし、ひたすらニコニコしながらうなずいてるから、彼女だって調子にのってしゃべる喋る。と、そんな時、男の内面の声が聞こえてくる。
「僕は彼女の話なんて聞いてなかった。早くこの唇にキスしたいと思った」
あ゛っ(絶句)。
人に喋らせるだけ喋らせておいて、話聞いていないとは。しかもそんなこと考えているとは―――私、このシチュエーション知ってる(爆)。たしか実生活で――(爆)。
オトコの本音、もう知りたくない(涙)。
けど、知りたい(どっちなんだ)。
と、まあ。
映画のなかの出来事を我がコトのように実感(懊悩?)してしまう。それがホーンビィのマジック。
まいったまいった。
ZOOLANDER/2001/アメリカ/製作+監督+脚本+出演:ベン・スティラー/出演:ベン・スティラー オーウェン・ウィルソン クリスティーン・テイラー
■偏愛部門■バカ映画バカ de 賞―――――――――――――ズーランダー
以前にも書いたので、とくに加えることもないな。つーか。もう、語るな私。あははっ。
むかーし、デ・ニーロが来日した時、とんねるずの番組で「役者バカ」って文字を書道させられていたもんだが(爆)。思うに、スティラーは「映画バカ」なんじゃないかな、と。この人の監督作見てると、昔の映画のコネタがこそこそ出てくるから。これって「映画バカが作ったバカ映画」じゃないのか。なんだか、ややこしいが。
(20021229)
〜2002年1月〜6月に見た映画〜
なんかムチャクチャだよな、こうやって並べると。
手当たり次第の半年だったっつーことか。新作よりも再上映やビデオ作品が多いってことは、ヒキコモリ期だったのか? それとも期待を上回る新作に出会えなかったということか? ううむ。
このほか見た直後より評価があがったのは、『アザース』と『マルホランド・ドライブ』。紹介ページでこっそり★を追加するなどという姑息なことをしています。
TOM JONES/1963/イギリス/製作+監督:トニー・リチャードソン/出演:アルバート・フィニー スザンナ・ヨークほか
エッチじゃないお色気映画――――――トム・ジョーンズの華麗な冒険
好色一代男 イン 英国。女たちの間を飛び回るドンファンの話であるにも関わらず、いわゆるハダカ映像はひとつも出てこない。そのくせ、狩りのシーンの生々しさ、食事シーンの官能性。なんじゃこりゃあ。
全編を通した能天気ノリと、合間の間接表現によるお色気ぶり。そのギャップ。真面目なんだかふざけてるんだかわかんないよ〜。より物語性をかもし出すための“嘘のつき方”、唐突に訪れるハッピーエンドも強引でスゴすぎる。
監督さんは『長距離ランナーの孤独』とか『ホテル・ニューハンプシャー』とかヘンテコな映画ばっか撮っていた人。ヘンテコというか軽いタッチのヘンタイ? 上質なエログロ映画監督。賞賛込めて、そう呼ばせてほしい。
ところでトム・ジョーンズという名前、イングランドにおける世ノ介みたいなもの? どうなの? そこらへん。
2001/東宝/監督+脚本:原恵一/声の出演:矢島晶子 ならはしみき ほか
これぞ真の男泣き映画―クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
て、遅くてすいません。今どき見て泣いてます。2001年度の超ウラ話題作だから今さら感もありますが、『千と千尋』が金熊賞なら本作に金猫賞(?)くらいさし上げたってバチは当たらんだろう。なんてことをひと言申し上げたかったので。
30代サラリーマン、郊外に30年ローンのマイホーム、妻子とイヌ一匹を養う――父ちゃん。かっくいい。
それにしても『クレしん』の悪役は、いつも魅力的すぎる。
GROSSE POINTE BLANK/1997/アメリカ/ 監督:ジョージ・アーミテイジ/音楽:ジョー・ストラマー/出演(+製作+脚本):ジョン・キューザック ミニー・ドライヴァー ダン・エイクロイドほか
トッポくてアッタカい映画―――――――――――――――――ポイント・ブランク
そ、そりゃあ好きですよ、ジョン・キューサック。ひそかにダン・エイクロイドフリークだったりもするし。ああそうさ。好きさ好きさ大好きさ(←居直り)。
その上、全篇オフビートですからね。カンドーしたりせつなくなったり考え込まされたり――間違っても、そんな気持ちにはならないスよ。でもね、私的にはその“つかえない感じ”こそがツボ。
カッコつけだけで中身のないキザな映画、ベタベタしすぎて泣かせようとする意図が見え見えな映画は数々あれど、ふざけてるくせに安心感も漂わせているのが本作の奇跡。
「楽しい」だけの映画じゃ、いけませんか?
WITTGENSTEIN/1993/イギリス+日本/監督+脚本デレク・ジャーマン/出演:クランシー・チャセーカール・ジョンソン ほか
目からウロコ映画――――――――――――――――――ヴィトゲンシュタイン
私はこの作品以降、しばらく映画が見られなかった。いや見ていたんだけれども、何を見てもかすんでしまっていた。
監督のデレク・ジャーマンて、イギリス人で、ゲイで、映画監督ってだけじゃなく美術家で、詩人で、つまりはゲージツ家で、ケン・ラッセルの映画で美術を担当したり、ペット・ショップボーイズのツアーのディレクターしたりしてね、最後にはエイズで死んじゃった人。
アヴァンギャルドとかエキセントリックとか、そういったわけのわからないカタカナで形容されることも多い。アップリンク系といえば、より伝わるか?
たとえばね。
クレイジー・キャッツ(ビートルズ)のなかで誰が好き? と、彼に尋ねるとするでしょ(だから、たとえば、の話)。きっと彼は、谷啓(ジョージ・ハリスン)を選ぶと思う。いちばん目立つ人ではなく、玄人好みの通人を愛する。そーいうタイプ。
マイノリティに惹かれてしまう自分。風変わりなものばかり見つめてしまう自分。そういう好き嫌いの感覚って、意志や環境もあるけど生まれもった遺伝子の力によるところが大きい。
「前衛は常に孤独だ」と言ったのは、ダリだっけ? たいていの人は孤独をおそれる。だから、人とは違う感覚をもっていたとしても大多数に歩調をあわせ自分を押し殺してしまうことも多い。けど、この人は、自らのDNAがもたらした痛みと喜びから逃げることなく向き合った。映画などの表現の場を借りて、ていねいにその心情を描き続けた。
この、カミングアウトしまくり人生はナンだ? 勇者。そう思う。
しかし(いい年して)デレク・ジャーマンなんかにはまっている自分は恥ずかしい。シモキタあたりで大喜びで古着とか買い込んでる美大生みたいで。
Legally blond/2001/アメリカ/監督:ロバート・ルケティック/出演:リーズ・ウィザースプーン ルーク・ウィルソンほか
女泣き笑い映画―――――――――――――――――――キューティ・ブロンド
あんまヒットしなかったんですか? これ。
私のなかでは、21世紀最初の“これが女の生きる道”映画としてサンゼンと輝いております。見るだけで、元気になったです、私は。
I AM SAM/2001/アメリカ/製作+監督+脚本:ジェシー・ネルソン/出演:ショーン・ペン ミシェル・ファイファー ほか
正統派泣き映画――――――――――――――――――――アイ・アム・サム
うまい映画。いろんな意味で。
うまさのわけその1。2回見て、2回とも同じシーンで泣いたから。これって緻密なシーンの積み上げがあってこそ。情感に訴えるようにみせかけて、コーゾーはかなり論理的なのではないか、と。
わけその2。ドキュメント風手ぶれ映像の連打。目線(カメラ)がもーぐるぐる動き回るのよ。サムがおむつ買う。それだけのシーンで鳥の目(フカン)になったり、猫の目(ローアングル)になったり。スーパーでオムツ探してるだけなのに、アクション見てるみたいにハラハラドキドキしちゃう。まるでクリストファー・ドイルか、子どものアクロバットみたいだ。いや、いい意味で。
わけその3。やっぱビートルズですかね。この監督さん、デビュー作『コリーナ、コリーナ』では、ルイ・アームストロングを小道具として使っている。ビートルズにアームストロング。誰でも知ってる、ある意味キャッチーなサウンドをパッケージを変えて新鮮に見せる手法を心得ているんだ。つーか、あのアビーロードもどきの絵。あれ見せられたら――ね〜。
そうそう。本作は、日本ではそこそこヒットしているのに、アメリカではあんまり評判呼ばなかったみたいです。残念。なんで? 『キューティ・ブロンド』とはマ逆の現象。
(20020708)
〜2001年7−12月に見た映画〜
て、胸を張れるほど、2001年後半は映画見れてないワタクシだったりもするわけですが。
ま。キャラ中心に簡単に振り返ってみましょうか。
Ameri/2001/フランス/監督+脚本:ジャン=ピエール・ジュネ 出演:オドレイ・トトゥマチュー・カソヴィッツ ヨランド・モロー ほか
不器用ってナンですか?―――――――――――――――――――――アメリ
不器用ってナンですか?な話。
見た直後より、数日たってから、じわじわとその良さを実感した、ケウな映画。
主人公アメリ、見るからにかわいい新人の女の子(オドレイ・トトゥ)が演じてますが、もともとの設定ではかなりなブサイクキャラだったらしい。個人的にはブサイクちゃんのほうがリアルだし、そんな作品を見たかった気もするけど。ただ初期設定のままだったとすると、これだけの大ヒットにはつながらなかったのかもしれない。うーん。むずかしいとこだ。アメリはね、『ロッキー』におけるうつむき加減のヒロイン・エイドリアン、『フィッシャー・キング』で箸を上手に操れないリディアなんかの流れを組むキャラですよ。彼女たちが脇に回らざるを得なかったのはブサイクだったからなのか?(役者さんが、ではなくキャラ設定としてね)――エイドリアンやリディアに惚れ込んでいる私としては、美醜に関する残酷でわかりやすい人心の反応を実感してしまうです。はい。
SHREK/2001/アメリカ/監督:アンドリュー・アダムソンほか/声の出演:マイク・マイヤーズ エディ・マーフィ キャメロン・ディアス ジョン・リスゴーほか
ブサイクってナンですか?――――――――――――――――――シュレック
ブサイクってナンですか?な話。
おとぎ話パロディであるからして、おとぎ話の元ネタを知ればしるほど楽しめる。で、笑える。
こちらは堂々たるブサイクくんが主役。なんたって怪物ですから。「ブサイクなのは悪いことなのか?」なんて琴線にも触れています。私はね、そこがものすごく好きだったりするんだけど。このオチが嫌いな人、意外にも多かったことにびっくり。意外とマニア向き作品なのかも。
2001/東宝/監督+脚本:矢口 史靖/出演:妻夫木 聡 玉木 宏 三浦 哲郎 ほか
青春です。――――――――――――――――――――ウォーター・ボーイズ
青春です。な話。
このフツーっぽさ、泣けたなぁ。青春とは、トホホな日常の積み重ねである。いやまじで。
本作で映画デビューを果たした主役の妻夫木 聡さん、ブレイクしてますねー。この人の実年齢、私は知りませんが、映画のなかでどんどん顔が変わってくのがすごかった。本作で初オメモジだから、とーぜんこちらは顔を知らない。最初のうちは顔の輪郭とか特徴がはっきりしなくてその他大勢の人々との区別さえつかなかった。それが物語が進むにつれてドンドン彼ひとりが引き立ってくる。成長していく過程がスクリーンにうつってるわけです。フツーの少年の観察日記、ドキュメントとしても一見の価値アリ。
2001/東映/監督:行定勲/出演:窪塚洋介 柴咲コウほか
青春でした。――――――――――――――――――――――――――GO
青春だった。な話。
『ウォーター・ボーイズ』のフツーっぽさとは対極にある若き日々。いろんな意味でガツンとやられましたわ。この監督さん、旨いっす。
こちらはもともとかっちょよくて、スミマセン。な、窪塚さんが主人公ですからね。もちろん彼もステキですが、私的には父親を演じた山崎努が妙に心にひっかかる。ボクサーで朝鮮人で、家族を愛してて息子をぶん殴る男です。コキタナイ海での父と息子の語らいシーン、深夜の公園での父と息子の殴り合いシーン。とかね。黒澤映画とかでの山崎さんはギラギラしてる印象が強かったけど、本作ではいい感じにアブラが抜けていた。炭火で焼いた干物みたいな旨味。
Small time crooks/2000/アメリカ/監督+脚本:ウディ・アレン/出演:ウディ・アレン トレーシー・ウルマンほか
夫婦ってナンですか?その1。――――――――――――――――おいしい生活
夫婦ってナンですか? その1。
こういう映画をね、サラッと作れる人なんだ。と、ウディ・アレンという人の本領を今更ながら知る。
ミートスパゲティをたいらげヴエルサーチで装うウディ・アレン。その似合わなさ加減が可笑しくてタマランです、はい。セルフイメージを逆手にとって作り上げたキャラクター。そこがね、やっぱスゴイかも。監督として、というより、人間としてね。
1955/東宝/監督:豊田四郎/出演: 森繁久彌 淡島千景ほか
夫婦ってナンですか?その2。―――――――――――――――――夫婦善哉
夫婦ってナンですか? その2。
モリシゲ×淡島千影による、なかなか夫婦になれない夫婦モノ。まったくもうまったくもう(と、2回繰り返したくなるくらい)個人的思い入れにより、誰がナンと言っても今年度ベストワン。
劇中の男女は、とても他人ゴトとは思えないほど生々しく、切ない。モリシゲも千影ちゃんもキャラクターが乗り移っているんだな。ヒョウイっすよ、ヒョウイ。
どーでもいいけど、ポマードで七三に髪を固めた眼鏡姿の若き日のモリシゲは、大阪商人の成金に扮してコントしていた頃の(ダウンタウンの)浜ちゃんにうりふたつ。
この時期の私、娯楽ってナンだろう、と改めて考えていた時期なんですね。
こうやって作品をラインナップしてみると、思いきりその路線になっていることが丸みえです。笑える。
(20011231)
〜2001年1−6月に見た映画〜
2001年1〜6月に見た映画で印象に残っているものをピックアップしてみました。
“見たことのない面白さ”っていう表現がありますけど、面白いと感じる時って、何か新しい匂いがただよいませんか?
というわけで、それぞれの作品の(私なりに)“新しかった”とこを付け加えました。
ENEMY AT THE GATES/2001/アメリカ・ドイツ・イギリス・アイルランド/監督:ジャン=ジャック・アノー/出演: ジュード・ロウ ジョセフ・ファインズほか
男vs男―――――――――――――――――――――スターリンングラード
指先真っ黒な労働者階級のジュード・ロウ。
『オスカー・ワイルド』で片眉を吊り上げながら「けっ。この平民風情が――」と、はき捨てた男と同一人物とは思えない。
NURSE BETTY/2000/アメリカ/監督:ニール・ラビュート 出演:モーガン・フリーマン レニー・ゼルウィガーほか
女のしあわせはケセラ・セラ―――――――――――――――ベティ・サイズモア
イっちゃってる、レニー・ゼルヴィガー。
誰もが潜在的に求めていた彼女のハマリ役。この役、彼女しかできないス。カンヌで賞をとった脚本の緻密さにもびっくり。
DANCER IN THE DARK/2000/ デンマーク/監督: ラース・フォン・トリアー/出演:ビョーク カトリーヌ・ドヌーヴほか
「虚」と「実」の倒錯(交錯)ワールド―――――――――ダンサー・イン・ザ・ダーク
「虚実皮膜」という概念をこれほど見事に映像化した作品を私は知らない。
21世紀型ミュージカルブームに火もつけたし。
Malena/2000/イタリア、アメリカ/監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 出演:モニカ・ベルッチ ジュゼッペ・スルファーロほか
初恋、かくありたい―――――――――――――――――――――マレーナ』
ひとことも語らないヒロイン。
主人公である少年の目を通して描かれる彼女の生き様。言葉を発せず心を伝える、その技に。
SERIAL LOVER/1998/フランス/監督:ジェームズ・ユット 出演:ミシェル・ラロック アルベール・デュポンテル エリーズ・ティエルローイ ミシェル・ヴュイエルモーズ ジヌディーヌ・スアレムほか
フレンチ発ひと殺しコメディ――――――――――――――――シリアル・ラヴァー
笑える人殺しモノ。セルフ・パロディの妙。
フレンチムービーといえば気取るだけが取り柄という(かたくなな)イメージを、あっけらかんと逆手にとられた。
Divorcing Jack/1998/イギリス(北アイルランド)/監督:デヴィッド・キャフリー 出演:デヴィッド・シューリス レイチェル・グリフィス ほか
お笑いハードボイルド―――――――――――――-――ディボーシング・ジャック
お笑い×ハードボイルドな語り口、人の殺し方、悪役キャラなど発見多し。個人的には、デヴィット・シューリスというマイアイドル(?)を発掘した記念すべき作品(バカ)。
1953/松竹/監督: 川島雄三/出演:三橋達也 月丘夢路ほか
かるい。はやい。うまい。和製スクリューボール。――――-―東京マダムと大阪夫人
かるい。はやい。うまい。
まるで吉野屋の牛丼のような映画のつくりに。でも薄利多売じゃないぞ。ウエルメード、ハンドメイドです。
相変わらず偏ったラインナップで、あいすみません。ははは。
あなたにとって、新しかった作品てなんでしょうか?
(010705)
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