マドロミ199908
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祈り

あたしは時々すごく簡単なことをまちがえるから

どうか必ずやってくる夕闇にまどろんでしまわぬよう
どうか必ずやってくる夜の深さに見失ってしまわぬよう

あたしの立つこの場所がどうかほんものでありますよう
あたしがあたしに背いていませんよう


記憶

「ああ あのころまださむかった
まだ赤いセーターきてたね
入り口で記念写真とってもらった
動物もさむそうでまるくなってて
よわそうで
がっかりして
みんなで
檻にはいって
吠えるまねしたよね」

「あの部屋にかえったよね
あの部屋のベッドは
よこになると
窓からちょうど空が見えて
すごくよかった

つめたそうでかたそうでたかい青空

動物達みたいに
まるくなって
いっしょにねむった」

しずかな
冬の
動物達の
記憶


ぬかるみ

しずかに歩いてきたよ 足音をたてぬようドロがはねぬよう 
だれかがあたしの名前を呼んでいるような気がする だけどう
まくきこえないからふりむけない もしちがっていたら それは
 とても 恥ずかしいから しずかに歩いてきたよ ぬかるみ
にはまらぬよう 雨に濡れぬよう だれかがあたしの名前を呼
んでいるような気がする だけどうまくきこえないからふりむけ
ない もしちがっていたら それは とても 恥ずかしいから 
それはとても恥ずかしいから 呼ばれてもないのにふりむい
てしまったら それは ほんとに 恥ずかしいから それは と
ても恥ずかしくて 哀しいから




月が出ていた
あたしの言葉で
アナタはわらった

そんなふうに
覚えている

あたしたちは美しかった

汗をかいてても

月のしたで
手と手を
頬と頬を
そんなかんじで

あたしたちは美しかった