第2章ー2

ラスタ用語の巻〜


 

レゲエとロック・ステディの違いうんぬんの時に出てきた言葉、
 「ガンジャ」と「バビロン」。実はこれらは2つともラスタ思想の
 流れで使われる言葉じゃ。
 この2つの言葉にとどまらず、レゲエとラスタ思想は密接に結び
 ついておるのでおじゃる。
 ここでは代表的なラスタ用語を思いつくママに紹介するぞ。

「ガンジャ」
「バビロン」
「ドレッドヘア」
「ジャマイカの宗教」
「ラスタファリ」
「ジャー」
「ハイレ・セラシエ」
「ラスタファリアニズム」
「ラスタファリアン」
「ラスタマン、ラスタウーマン」
「ラスタ」
「ラスタ・カラー」
「エチオピア国歌」
「ブラック・スターライナー(またはスターライン)」
「ザイオン(シオン)」



  「ガンジャ」・・・「大麻」「マリファナ」のことじゃ。
 「ハーブ」「グラス」「ウィード」などと呼ばれることもある。
  ラスタファリアニズムにおいて、ガンジャは聖なる草と位置付けられ、
 聖なる儀式においてはもちろんのこと、日常でも吸飲することを
 奨励されるのじゃ。
 私が使った「ガンジャ的」とはすなわち、ガンジャの吸飲により
 引き起こされる意識の解放や、そういう状態に一番響いてくる
 ダブ・サウンド、これらが音楽に反映されたことを指すのじゃよ。

 「バビロン」・・・聖書に出てくる一般的な言葉じゃ。
 悪徳と邪悪なものが栄える都市の代名詞。
 ラスタ的解釈では、白人が黒人から搾取し続ける社会システム
 のことになる。西洋中心の資本主義とも置きかえられるのじゃ。
 一部の白人による支配、またその支配者に金で買われて体制側の
 犬になっている黒人たちもバビロン的であるとみなされるのじゃ。
 ラスタにとっては、ジャマイカもバビロンそのものとなるんじゃよ。

 「ドレッドヘア」・・・正確には「ドレッドロックス」という。
 “dread”=恐ろしい、“locks”=房状の髪の毛、である。
 アフリカ系人種の髪の毛は縮れている→髪を長くすると絡まる
 →櫛を入れないで置くと房状になる、という極めて自然な過程で
 あの髪型は生まれるのじゃな。
 よく誤解されているようのが、髪を洗わないとああなる、というのが
 あるが、ラスタのドレッドについては大間違い。彼らはよく髪を洗う。
 ちなみに絡まらないように長い髪に櫛を入れて出来るのがアフロヘア。
 ドレッドロックスは、アフリカの戦士の髪型を真似たものという説も
 あるが、ラスタの教義に照らし合わせれば、それは聖書の教えと
 いうことになるんじゃ。曰く、
 「頭髪や髯に刃物を当ててはいけない。体を傷つけてはいけない。」
 しかし、実際には反体制の意志表示であるという要素も大きい。
 (ヒッピーの長髪みたいなものじゃな)
 ラスタでありながら髪をドレッドにしていない人もいる、ということが
 逆説的にそれを証明している。[TOP]


 

「ジャマイカの人はみなドレッドか?」
 もともとは数少ないラスタの人達だけがドレッドにしていた。
 ラスタ人口が増えると、その分ドレッドも増えた。
 ボブ・マーレーがラスタでドレッドだったため、世界中で
 “ジャマイカ=レゲエ=ドレッド”という認識になった。
 観光客はドレッドを期待する。
 ラスタじゃないけどドレッドにした方が客が来る、という土産物屋の
 お兄ちゃんが髪を伸ばす。
 こういった構図により、ラスタ人口以上にドレッド人口が多いのは
 事実だが、どちらかというとドレッドじゃない人のほうが多いんじゃよ。



 ジャマイカの宗教」・・・意外にキリスト教が多数なんじゃ。
 ラスタはあくまでもカルト宗教であって、ジャマイカの国教でも
 なんでもないのじゃ。
ジャマイカ人は全員レゲエ好きで、ドレッドにしていて
 ラスタである、というのはもちろん間違い。ただ、観光客に向けて
 あたかもそうであるような演出をすることは多々あるのじゃ。
 レゲエ・ミュージシャンはラスタ率が若干高いと思われるが、
 それでも全員ではない。ジミー・クリフはイスラム教徒だし、
 ジュディ・モワットはキリスト教に再改宗したんじゃ。[TOP]


 「ラスタファリ」「ジャー」「ハイレ・セラシエ」
 1930年にエチオピア皇帝の座についた人物がラス・タファリじゃ
 彼は即位に際してハイレ・セラシエと名乗ることになったんじゃよ。
 ジャーというのは「神」と同義語。よく唱えられる「ジャー・
 ラスタファーライ」という言葉は「神であるセラシエ皇帝」ということじゃ。
 ジャーの語源は「絶対神エホバ(Jehovah)」から来ているんじゃよ。
 英語圏の歌でよく使われる「God」「Lord」「Jesus」と同じように
 レゲエの歌詞では頻繁に登場。ボブ・マーレー「KEEP ON MOVING」でも、
 60年代には「Lord I gotta keep on moving」だった歌い出しが70年代には
 「Jah I gotta keep on moving」に替わっていたりするんじゃ。

 とにかくジャーというのは重要な言葉のため、「Jamaica」を「Jahmaica」
 「soldier」を「soul-jah」などど表記したりすることもあるんじゃ。
 わが日本も「Jahpan」である、ということでなんだかリスペクトされたり
 もするんじゃ。
 ラスタの間では「I」という言葉が重要だからじゃ。彼らは例えば「You and I」
 という言い方をしないのじゃ。また「We」という言葉も使わない。代わりに使うのが
 「I and I」じゃ。これは“人類みな兄弟”にやや近い概念とでも言えば
 いいか、自己と他者に明確な区別を設けない姿勢からくるものじゃ。
 だから、“愛に満ち溢れた状態”を「One Love」と表現するのじゃ。
 また、ハイレ・セラシエ“T世”であることから、Tを「I」と読みかえて、
 「セラシエ・アイ」さらに「セラシアイ」と呼ぶのが最もポピュラー。
 そうすると、「ジャー・ラスタファーライ、セラシアイ」と韻を踏めるじゃろ?。

 ちなみに、エチオピア皇帝のことを「ニガス(Negus)」という。
 Ras Michael The Sons of Negus というグループ名はラス・マイケルと
 皇帝の息子達、という意味になる。
 また、セラシエは「King of Kings」「Lion of Judah」という称号も
 持っており、故にこれらの言葉がちょくちょくレゲエの歌詞に出てくる。
 よくレゲエ・レコードのジャケットにライオンが登場するのも、ルーツは
 ここにある。[TOP]

 「ラスタファリアニズム」=ラスタ思想のこと。[TOP]

 「ラスタファリアン」=ラスタファリアニズムを信じ、ラスタの生活を実践する人。[TOP]

 「ラスタマン、ラスタウーマン」
  =本来ラスタファリアンと同義語だが、現在は拡大解釈され、
 ジャマイカ人、ドレッドの人、レゲエっぽい人、赤黄緑の人、
 などなど、気軽に呼ばれてしまう。[TOP]

 「ラスタ」
 上記3つの言葉すべての代わりに使われるのじゃ。

 このように、ラスタという言葉はかなりカジュアルになってきている。
 が、しかし、あくまでも一宗教の大切な言葉である、ということを
 忘れない方がいいのじゃ。
 よくファッションで「ラースタファーライ」などとジャマイカ人に向かって
 言っている日本人がいたりするが、いかがなものかの〜?。
 ジャマイカ人も慣れっこになっているので問題は起こらないが、
 個人的意見では、「リスペクト」や「ワン・ラヴ」の方がリアリティが
 あっていいと思うのじゃが・・・。
 ジャマイカ人にいきなり「南無阿弥陀仏」とか言われてもうれしくない
 じゃろ? 面白いけど。[TOP]

 「ラスタ・カラー」
 おなじみ赤・(正式には黄色ではない)・緑の3色。
 よく勘違いされるのが、ジャマイカの国旗から来てるんでしょ?
 というものじゃ。
 ジャマイカの国旗は黒・金(黄)・緑。ラスタ・カラーとは違うぞ。
 ラスタの3色はエチオピアを始めとする、アフリカの国の旗でよく
 使われている3色がルーツになっているんじゃ。
 英語で言うと「Red Gold Green」。歌詞によく出てくる言葉じゃ。
 カルチャー・クラブ「カーマは気まぐれ」にさえ出てくる。[TOP]

 「エチオピア国歌」
 レゲエでよく歌われているエチオピア国歌。
 これはUNIAが制定した「万国エチオピア人国歌」というもの。
 エチオピアの国歌ではない。[TOP]

 「ブラック・スターライナー(またはスターライン)」
 ガーヴェイが設立した船舶会社「ブラック・スター・ライン」の船。
 “異郷の地”に連れ去られた黒人をエチオピアに還してくれる船、
 ということで期待されていた。計画は実行されなかったが、“救済”
 の象徴として「ZION TRAIN」とともによく歌詞に出てくる。
 アメリカのヒップホップ・グループ、ブラン・ヌビアンにも
 「ブラック・スター・ライン」という曲がある。[TOP]

 「ザイオン(シオン)」
 聖書に出てくる聖なる山。プロミスト・ランド
 バビロンのような悪がはびこる場所と正反対の地。
 「ザイオン・トレイン」はザイオンに連れて行ってくれる汽車。
 999みたいなもの。
 ローリン・ヒルの息子クンの名前もザイオンという。彼にとってみれば
 ボブ・マーレーは実のおじいちゃんだから納得。[TOP]

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