- 1.ステンドグラスって、何?
- この答えは簡単でいて実に答えにくい質問です。
ステンドグラス自体は紀元前からの非常に長い歴史を持ちますが、皆さんが思い浮かべるのは、カトリック教会の赤や青の荘厳な光を投げかける
ステンドグラスの窓ではないでしょうか。
…まずは歴史のお勉強(我慢してお付き合いください)
1.ステンドグラスって何?
a.トラディショナル
b.ティファニィ)
c.ティファニィランプ
d.ステンドグラスの可能性
2.Terrarium"GreenBOX"
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- a. トラディショナル(Leaded Came)
- 教会の窓を造るには、先ず下絵にあわせ、青いガラスや赤いガラスを切ってから、そのガラスを溝の付いた鉛製の桟(Leaded Came)に差込んで、
ガラス同士を繋ぎ合わせます。
なぜ鉛製の桟を使うかというと、鉛は柔らかくいろいろな形のガラスに合わせて曲げることができるからです。また、鉛桟と鉛桟の接点はハンダで、簡単に
しかもしっかりと止めることができます。
ガラスと桟 (以下「ケイム」と呼びます) はパテで止めます。これで、防水効果とケイムの補強ができます。
しかし、ケイムはそんなに強くはありませんので、教会の巨大なガラス窓 を一枚のパネルで作ることはできません。一枚のパネルはせいぜい1メートル四
方くらいが限度でしょう。
よく見ると、どんな大きな窓でも何枚もの小さなステンドグラスのパネルを石や金属の枠で支えて作ってあるのが分るでしょう。
この技法のステンドグラスは12世紀中庸にパリに建設されたサン・ドニ修道院内陣を嚆矢とするといわれています。その後、中世キリスト教会で、
神=光=ステンドグラスとして、カンタベリー大聖堂や、ノートルダム大聖堂が作られました。これらはまさにステンドグラスのために作られたといっても
過言ではありません。
ステンドグラスは、初めは神性の顕現として赤や青のガラスを組み合わせて、神秘的な構成で作られましたが、白ガラスの上に色ガラスの粉末で聖人
像や物語等の絵を書いて焼き付ける技術が開発され、次第に写実的なガラス絵となって、絵画と変わりがなくなり、神秘性や個性を失ってゆきます。
最後には、中世の古臭い因習の象徴として、捨て去るべきものとまでみなされるようになってしまいました。
このように、ステンドグラスの歴史はヨーロッパに於いて、中世では神に等しいものとして隆盛を極め、中世の崩壊とともに衰退しました。
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1.ステンドグラスって何?
a.トラディショナル
b.ティファニィ)
c.ティファニィランプ
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- b. ティファニィ(Louis Comfort Tiffany 1843-1933)
- 教会の窓に使われた伝統的なステンドグラスは、内部から見ると、床には赤や青の光が模様を描き、窓を見上げると光を透して美しい神秘的なシン
ボルが燦と輝いていますが、建物外から窓を見るとガラスはただ真っ黒に見えます。
皆さんは、海外の旅先で、部屋に飾られた美しいステンドグラス製のランプを見ることが多いと思います。
教会の窓ガラスが、外から光を入れる明かり窓として、透過光を利用するのにたいして、ランプは室内で使われるのですから、真っ黒なだけでは詰
まりません。
これらのランプシェードは昼間、あかりを灯さなくても、インテリアとして映えるように、反射光の色彩ガラスで作られています。
このタイプのランプは、ティファニィという人が考案しました。
ティファニィのランプの考案を契機に、彼自身の意図に拘わらず、ステンドグラスを建築物の一部品から開放し、絵画や彫刻と同様に独立した分野の芸術
・工芸として生まれ変わらせました。
さて、ティファニィは、ニューヨークの5番街のあの有名な宝飾店、ティファニィ商会の創立者の長男として生まれましたが、家業を継がずに画家になりました。
最初はパリで勉強しましたが、その後、ペルシャなどを訪れ、東洋の神秘的工芸に触発され、装飾芸術に目覚めました。
父親譲りの商才で、インテリア会社を興し、工房を創立して、当時は新興国だったアメリカの装飾芸術家の最高峰、アールヌーヴォーの旗手となりました。
彼は1882年、ホワイトハウスの改修を請け負ったほどの成功を収めました。
彼は装飾芸術家としてガラスに注目し、ガラス工房を築きます。その工房で、オパルセント・ウィンドウ・ガラス(1881年特許)を開発しました。一枚のガラスに
オパールのように複数の色が見られる半透明の彩色ガラスでした。
このガラス(商品名ファブリルグラス)で、ティファニィ・ウィンドウと呼ばれるステンドグラスの窓を作り、沢山の教会や大邸宅に取り付けました。
まだ当時の米国は、南北戦争(1861-65)後の建築ブームだったのです。
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1.ステンドグラスって何?
a.トラディショナル
b.ティファニィ)
c.ティファニィランプ
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- c. ティファニィランプ( Copper Foil Work )
- ティファニィ・ウィンドウを作ると、沢山の屑ガラスが出ました。この屑ガラスの処理に困っていたティファニィは、これを再利用してアールヌーヴォー様式の
ランプシェードを作り、1895年に大衆向けに販売したところ、爆発的に売れました。
ランプシェードをティファニィは芸術性の低いくだらないものと考えていたようですが、彼自身の評価と異なり、このランプシェードこそ、ステンドグラスの可能性を
無限に広げるきっかけとなったのです。
前にも触れたように、ケイムはガラスを溝に差込み、パテで止めているだけなので、立体的な曲面を自由に造るにはとても難しく、構造的にも問題があります。
この伝統的ケイムによる手法に代えて、ティファニィは銅箔に粘着剤を塗布したテープ(Cooper Foil)を使って、ガラス片をこれで縁取りし、ガラスに巻かれた銅テープ
と銅テープをハンダ付けすることで、自由にガラスピースを繋げることに成功しました。
ガラスの全周に銅テープを巻いて、全体をハンダを盛り付けるので、大変丈夫な枠ができ、構造上の問題点も解決しました。
この発明はステンドグラスにとって決定的なものでした。厚いガラスや薄いガラスも、玉のようなガラスも、大小に拘わらず、またガラス同士どんな角度にも、繋げることが
可能になったのです。
屑ガラスは当然小さなものですから、曲面を使うアールヌーヴォーのデザインで、窓などに比べて小型の立体的なランプシェードはうってつけの題材であり、
細かいガラスピースを丈夫で自由に繋げて、モザイクを作ることを可能にしたのが Copper Foil でした。
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- d.ステンドグラスの可能性
- 1900年ジャポニズムが風靡したパリ万国博覧会で、彼の開発したファブリルグラスはグランプリを獲得し、窓やランプ等は世界的に好評を博しました。ティファニィ・
ウィンドウは次々と製作され教会や邸宅に納入され、一方ステンドグラスのランプは多くの家庭の居間に置かれたのです。
しかし、第一次世界大戦が終わると突然時代遅れとなり、ティファニィのランプは屋根裏部屋に行き、アールデコのモダニズムがもてはやされ、1960年代までステンドグラス
は見捨てられたのです。
1980年代には、わが国でもカッパフォイルを使ったランプやパネルが作られるようになりましたが、やはり日本ではステンドグラスというと、伝統的なヨーロッパスタイルの窓
を思い浮かべるのが普通のようです。
現在、再び自然を基調とした美が支持されています。人にやさしい癒しのグッヅが求められています。
アトリエヴィトロでは”Copper Foil Work”を中心に、創造的装飾小物をはじめ、いろいろな物作りに挑戦してゆきたいと思っています。
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