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練馬から練馬
光が丘のくらがり
後ろから十五の君の
しなる腕に 首を巻かれ
言葉が途切れてくるその顎を
反転し
やはり求めるところへ
間違った答えを
埋めてしまいたくなる
君のうた声が途切れながら
高まってゆく時
君の母親がピアノ教師であったことを
思い出す
君の重心へ まっすぐ
挿入される言葉や指先を
君が身を固く震えながら
拒むとき
私の言葉はさらに
回り込み
君をいつか
なだめてしまう
教室の外でも
君を学習することが
日課になる
雨に打たれた
公園を見下ろす高層の
踊り場
君が教科書を枕にして
自らを
めくり 体温ほどに暖かく
濡れてゆくとき
学習は進み
教科書は間もなく
七色のアンダーラインで
絵本となるだろう
光が丘のくらがり むかし
飛行機が飛び立つほどの
広さの
そこ ここに
くらがりは 在り
晴れやかな笑顔の人々が
誘われてゆく
互いの体温を確かめるように
ゆっくり体を離すと
君の中心線から溢れてしまう
私自身を
ひとつところに
まとめたくなる
光が丘のひろがり
視線は泳ぎ
君との距離を測って
練馬から練馬
何度過ぎても君の前だ
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