|
黄金の夏
この十年
互いの甲羅干しに
余念のないふたりだ
木々は咲きながら紅葉し
流れ
私たちは砂漠のような海に
金銀を求めた
聞いたかもしれない
波の音
砂の音
おまえの言葉
彼女には思想がないし
ぼくには理由がない
空に晴天は続き
砂は運ばれてくる
彼女に水道を引いたのは
ぼくです
パラソルは沈み
風は投げられ
足跡は消える
君の背中の
ローションの湿地へ
ひと泳ぎのからだを
倒し
強く乳房を握りしめる
ぼくの飛沫が
君の喉元をかすめる
君は指先に 風を飼い
流砂を集め
尖塔を揺らす
君は
満ち
海は
引き
僕は
さらわれる
ここは夏と呼ばれる島なのだ
この十年
互いの肌を競い
水分を補い
何度か君を
水際で洗った大洋の夕刻
君の頬のカーブに
照りかえるそれは
記憶された黄金の夏
|