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おとなの絵本
作者プロフィール
センチメンタルな旅

胸に見せる肋骨の波うち
寒い乳首を立てる岸
おまえの細すぎる体は
ねじれやすくて
たとえば
臍を中心にして
どこへでも

生活の困窮
たとえば
首を伸ばし脚を吊るして
胴で結ぶ
そういった行いの後の
おまえの配置
ぼくは分からなくなる

髪はゆるやかに肩甲骨を誘い
化粧は唇に血の色をのせる
耳たぶの包帯を毎日取り替え
鼻はあることに嬉しく
目は見ることに疲れやすい

シーツの四隅に
君をきっちり配り
読み進める
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君は音読される
生きるのだ
君といっしょに生きるのだ
そう言葉にするのだ

今日も君を殴り蹴り
浴槽に突き落とし
また新しいワンピースを
だめにする

君を車窓に映し
とうざかる体温
君の在り処を抱きすくめ
涙を求める
嫌々でもふたりなら旅だ

君の唇が動き
言葉になろうとする何かしら
意味よりは君の
声が好きだ
君の涙が好きだ
なぜ泣くのだ
後ろからでも
僕である事にかわりはない
君の嗚咽はスピードを落とし
景色を深める

君の腕を
ハンドルの様にまわし
交通に乗る夜明け近く
僕は君へ
君は僕へ
センチメンタルな旅