日記




2004年3月1日

ケンブリッジに行ってきました。前回はバスで行きましたが、今回はロンドンのキングスクロス駅から電車で行きました。

切符を買い、ホームは11番線であることを確かめる。目の前には8番線までしかない。キングスクロスでありえないホームを探しちゃうなんて、私の行き先はホグワーツ?! 魔法を習いたいわね。ちょっと嬉しいです。

表示をよく見ると、11番線は奥のほうに進むように書いてある。矢印にそって歩くと、途中に93/4番線が!! 感動のあまり立ち止まっていると、子供がその壁に突進し、ぶつかって倒れてくれました。ありがとう。オネーサンは嬉しいよ。
私も壁を押し、93/4番線に入ろうとする。もちろん証拠写真も撮る。

しかしそこには入れなかったので、自分がマグルであったことにややがっかりしつつ、ケンブリッジ行きの電車に乗る。


前日の雪にもかかわらず、電車は時間どおりに出発し、何のトラブルもなく到着。ブリティッシュレイルにしては上出来。

相変わらず美しいカレッジ群だったのですが、歩けば歩くほど素敵な眺めを発見し、心底満足した旅行だったのですが、街中の小道の煉瓦造りの家などはもしかしてブリュージュよりも良いかもしれない、とまで思ったのですが、本日ご報告することはそんなことではないのです。

今回泊まったのは、友人が先月に使用し、なかなか良いとの評価を下したホテルなので、とても楽しみにしていました。そして、実に良いホテルでした。親切な受付け(なかなかありえない!)、美味しい朝食(ケーキが3種類あったので制覇! もうケーキバイキング状態)、かわいらしい部屋、広いベッド、あったかいお湯が出る使いやすいシャワー、完璧だわよ。

しかし期待を裏切らないのがイギリスなのです。

手を洗おうと洗面台に行きました。左に水、右にお湯がありました。が、珍しいことに、出水口は一つでした。このホテルなら、マトモにお湯が使えそうね、と軽い気持ちで蛇口をひねりました。そして信じがたい事実を発見したのです。
一つの水道の、左半分から水が出てきたのです。

驚きのあまり、蛇口を閉めました。一呼吸おいて、今度は右のお湯をひねってみました。

右半分からお湯が出てきました。

意外な事実に言葉を失いつつ、水も出してみました。

液体は2本になりました。

真ん中には空間があり、決して互いに交わろうとはしませんでした。
これまで、1本の水の左右で劇的に温度が違うことはあったのですが、このような水道は初めてでした。


仕方がないのでそのまま手を洗ったのですが、左手はしもやけになりそうなくらい冷たいし、右手は火傷寸前に熱い。

よっぽど受話器をとりあげて日本に電話しようかと思ったわよ。この衝撃を今すぐ誰かに受け止めて欲しかったわ。
真夜中の電話でたたきおこされて、大事態かと思ったら変な水道のことだったりしたら、夫がかわいそうかとおもって思いとどまったわよ。アタシってなんて冷静でセルフコントロールのできる人なんでしょう。ふっ。


ケンブリッジの建築は間違いなく格好良く、気分を昂揚させるもので、実に見ごたえがあったのですが、思い出の半分をこの水道にもっていかれた気がします。




2004年3月2日

昨日の分ではいくらなんでもケンブリッジ行きの記録にはならないので、補足。

フィッツウィリアム美術館…2004年6月1日まで工事中のため休館(昨年9月時点では、今ごろにはとっくに再開しているようなことを書いてあったのに)

ケンブリッジ民族博物館…こちらも修理中のため休館中。

キングスカレッジ…相変わらずカッコイイ礼拝堂。中庭は観光客も自由に入れる。表門や礼拝堂がゴシックなのに対し、校舎はルネサンス様式。この二つが隣り合っても違和感がないのはどうしてだろう? ケム川方面から見ると、この2つの建物が隣り合い、他にさえぎるものがないので、横に広がるルネサンス、縦に伸びてゆくゴシックが確認できます。
ちなみに、イギリスのゴシックは、飾りをつける部分と、飾りをつけず垂直線を強調する部分との対比が鮮やかでリズミカルです。この対比がイギリスのゴシックの魅力の一つであると思います。
しかしまぁ、どちらを見ても完璧で、イギリス人は視覚的美の感覚が非常に発達しているのに対し、そのぶん味覚が発達していないとしか思えない。


トリニティカレッジ…観光客に開放されているのだけれど、扉は自分であけなくてはならないので、入れないと思っていた人もいたみたい。2番目の中庭(ケム川に近いほうの中庭)はケンブリッジでは珍しく、完璧なまでにルネサンス様式の建物で、自分がイギリスにいることを忘れそう。ローマみたいだわん。
学生用の大ホールは食堂で、鍵穴からのぞいたところ、ハリーポッターの世界そのままに長テーブルで食事をするようになっていました。たまにならともかく、毎回の食事をあんなふうにとったら気分的に疲れそう。なお、ラム肉のプレート1ポンド50ペンスとのこと。だいたい300円ですね。学食とはいえ安いですね。


セント・ジョーンズカレッジ…嘆きの橋があるカレッジ。校舎は、これはなんという様式なのだろう、イギリスに多い形だと思うが、ハンプトンコートパレスに似ていなくもない。横に広がる校舎の中央に門が切ってある。その門の両脇に八角形の柱がついている。


ジーザスカレッジ…礼拝堂の天井装飾はウィリアムモリスによるもの。前回は修復中で見られなかったので、今度こそと出かける。礼拝堂の前まで行くと、コーラスが聞こえる。高音と低音と混ざり具合が最高。声の伸びも最高。思わず立ち止まって聞きほれてしまった。練習中は入れないからそのまま帰ろうとしたら、オジサンがやってきて、後もう少しで終わるからもうちょっと待ってくれという。本当にきれいなコーラス。近代的なホールより教会のほうが音楽ってきれいに聞こえると思う。
練習が終わった様子で、ざわざわと音がして、コーラスの女声と男声が出てくるのかと思ったら…少年合唱団だったのでした。え、あの歌キミたちが歌っていたの?! めちゃくちゃきれいだったんだけれど…たぶん10歳になるかならないかの少年たちで、サッカーボールを抱えながら飛び出して行きました。リーダーを努める20歳ぐらいの男性もいたようですが、メインは明らかに少年達。声変わりは敵だ。


ケム川のほとりを散策。冬にもかかわらず、パンティングに挑戦する人多数。
長い棒で川底をつつき、細長い浅い船を進めるのです。棒を川底にストンと落とす。ぐいっとつくと、船はおもむろに滑り出す。ゆっくりと棒を引き上げ、ころあいを見計らってまた川底に差す。この動作の繰り返しで船はゆっくりと行く。実に優雅だ。…上手い人がこげば。

多くの観光客は右に行ったり左に行ったりもう大騒ぎ。その中で1人物凄い勢いでさっささっさと船を進めるおじいちゃん。本職ですか。

パンティング、8月の行事で一度試したきりで、もう一回漕いでみたい気がするけれど、きっと上手くデキナイし、自分だけで漕ぎ出た日には一生帰ってこれないのでおとなしく陸にいました。




2004年3月5日

手短に報告。

料理上手なホストマザーがマレーシアから帰国し、私はベイクドビーンズから解放されたようです。今まで、21歳の男の子が彼女の代わりに夕飯を作ってくれていたのでした。まぁ一般的な大学生の男の子が作る料理がどんなものであるかは、想像してください。

ラーメンが週に3回ってすごいぞ。量もたっぷりあった。




2004年3月8日

湖水地方へウサギ狩りに行く。
この地方は、イギリスでは珍しく高い山が連なる地形で、湖も多い。有名な観光地なので行ったことのある方も多いと思います。ピータラビットの作者が住んでいたところ。スコットランドのハイランドをややスケールダウンしたような土地で、スコットランド出身のC先生によれば、ハイランドに行ったなら湖水地方には行く必要がないとのこと…。

街中で使われている英語は訛りがあります。エジンバラほどではありませんがやはり苦労します。

この地方は観光か牧羊が主な産業であるらしく――この地方以外もこのほかの産業があるようには思えないんだけれど――、至る所に羊がいる。エスケープしたのか、道路を散歩している羊も多い。道路は細く、車と羊がすれちがうのがやっとなので、私達はしばしば止まらなくてはなりませんでした。羊急停車のため、後部座席もシートベルトが必要。
羊といっても、いろいろな種類のものがいます。大きく分けて、全身及び顔が白いの(コイツがいちばん悩みのなさそうな顔をしている)、顔と足だけ黒いの、毛も黒いの、くるんとしたツノが生えているものがいるらしい。羊って本当に幸せそうに草を食べる。生えている草を少しずつ前進しながら食べているのもいれば、刈草の山に半身つっこんでがつがつと食べているのもいる。
食べているときはわりと無防備で、人が近づいたことに気づかない。しかし一旦気づくと実に逃げ足が速い。

車の窓からラムネで餌付けにチャレンジするが、失敗。対向車は羊に夢中になっている私達を静かに待ってくれました。こういうことに関してイギリスは優しい。
羊にタックルし、数本の毛を抜いた人もいた模様。私も追いかけてみましたが、全然ダメでした。

湖のほとりで白鳥に威嚇される。実に攻撃的な白鳥で、長い首を駆使して服のすそに食らいつこうとする。鼻息も荒く、今にも関西弁をしゃべりそう。私は写真が撮りたかっただけなのに。コッツウォルズでも白鳥に足をかまれたんだけれど(歯などはないので特に実害はない)、白鳥って攻撃的な性格なのかな?


ウインダミアの展望台に登る。イギリスにしては高い山なのだけれど、湖と山の組み合わせがなんとも日本チック。丘しか見たことのないイギリス人はこの景色でエキサイトするだろうけれど、私にはごく通常のきれいな観光地の景色という感じでした。なんだか日本みたいだねえ、ともらしたところ、うわ言っちゃいましたね、といわれる。本当のことは言ってはいけない。湖水地方が日本人に人気なのは、その景色が日本に似ていることと、「湖水地方」という名前がロマンチックだからだと思う。


ウサギさんを捕獲して帰る。




2004年3月9日

授業でびじねすぷらんを発表せよ、とのこと。資本金100万円、3ヶ月以内に採算を取ること、ってそんな才能あったら今の職場にいないのだ。

仕方ないので、私達のチームはおにぎりをロンドンで売る計画を立てる。日本米を使い、おにぎりの中身はしゃけ。これが一番イギリス人に違和感がないだろうから。まずはサウスバンクで売り始める。ロンドンの中でも新しいものに対しあまり抵抗を持たなさそうな地域だから。販売は屋台で行う。もし上手くいかなかった場合、土地を変えるのが簡単だから。
原価はなぜか17p(30円強程度)。これを50p(100円強)で売ることにする。サンドイッチが600円もするロンドンでは激安だ。しかもおいしい。ここが最大のメリット。スシがポピュラーなロンドンでは、お米に対する違和感はないと思われる。

「おにぎり」というものを知らないであろうイギリス人のため、宣伝はおにぎり型のポストカードを配ることにする。

お店の名前は「Oh! Nigiri」。


…友人の力作ロゴのおかげもあり、一等になる。他2組の案に現実味がなさすぎたため、ともいう。先生のコメントは「キミはどうして火星で携帯電話を売るのかね」だもん。



このびじねすプラン、誰か実現してくれませんか。もっとも労働コストや輸送費、売れ残りがあることは計算にはいっていません。1時間で100個のおにぎりを作ることはギリギリ現実的?




2004年3月16日

形式至上主義といいたいほどに形式だけを整えるお役所仕事があって、しばらく立ち直れませんでした。こんなことにめげてるようじゃ、これから先やっていけませんね。

さ、土日の報告。

サウスケンジントンの自然史博物館へ。以前宮殿だったものを博物館に改装したように見えますが、これはもとから博物館として建てられたものです。その証拠に、柱頭飾り等の細部を見てみましょう。小鳥や魚、昆虫が見られるはずです。私が気に入ったのは、恐竜の骨が展示してある大ホールのアーチ。良く見ると一定間隔にサルがいます。そう、サルが一生懸命アーチをのぼっているのです。

ダーウィン館では動物の進化を扱い、地球ギャラリーでは鉱物、火山、地震の仕組みを扱っている。地震の部では神戸の震災が大きく取り上げられていました。今回のメンバーの中に、家族全員を失った方がいることを知ったばかりで――自分だけは東京で働いているので助かった、ニュースを知ってとりあえず実家に駆けつけたらすべてが灰になっていて、中から人数分の遺骨がみつかったという――もう何も言えませんでした。

これが東京だったらどうなっていたんだろう。あんまり都心に住むのは賢くないんじゃないか、高いばかりで環境は悪いし、過密なだけに何かあったときに危険が倍増するし、利点といえば通勤時間が短いことと遊びに出るのに便利なこと。子供を持つならなおさら野山があったほうがいいのでは? 大人になってから虫にビビルのはなさけないんじゃないか? 今の楽しみのために将来の安全対策をないがしろにしてもいいのか? などと妙なことも考えたのでした。

庭園史博物館に行くも、3月末まで休館中。前庭の水仙は見事に咲き誇っていた。

テートギャラリーからテートモダンまでの水上バスに乗る。国会議事堂のビッグベンやロンドンアイを撮りまくる。晴天なり。


日曜日はナショナルギャラリー。企画展のエルグレコを見たあと常設展へ。だいたいどこに何があるか覚えられたので見たいものだけを見る。北方ルネサンスの部屋で過ごす。緻密に描きこみながらも詩情がある。のびやかさがある。原寸大の精緻な印刷が手に入るなら、いずれ部屋に飾りたいなとも思う。他に観客がいないのをいいことに、真ん前に立ち尽くして、絵の中に何人いるか数えたりする。何やってるんだ、私。

こんな生活もあと2週間でおしまい。生涯で一番恵まれた8ヶ月かもしれない。




2004年3月18日

学校のあと、5人がロンドンに出没。

ちょっと素敵なレストランであわただしく夕飯を食べ、劇場街へ向かう。ちらりと見えたタワーブリッジはきれいにライトアップされていた。ロンドンに来ても暗くなったらホテルに閉じこもってしまうし、このところは日帰り(美術館は6時くらいで閉まるので夜遅くまでロンドンにいる理由はないのだ)だったので、私はロンドンの夜景を知らない。外国の夜を1人でぶらぶらするのはさすがにこわいのですよ。

えにうぇい、楽器(?)のパフォーマンス「STOMP」を見に行く。
身近なものがいかに打楽器として使えるかという点を追求したものです。というのは公式なレポート用の表現。

金たらいをたたいたり、ごみバケツをたたいたり、めちゃくちゃうるさいのですが、小ネタを織り交ぜて一気にみせます。
物をたたくことで音が出る。リズムをつけ、強弱をつけることにより、ただの音がしだいに音楽になってゆく。箒やマッチ箱、新聞紙、どうやって演奏するか知ってます? 何種類の音が出せますか。なんと台所のシンク(ポータブルシンク!!って何だ???)でも演奏。女性のほうがウケていたのは当然なのか。私もやってみたいと思ったことでした。

役者サンの指揮で観客も演奏することになります。かなり観客参加型のパフォーマンスではないでしょうか。皆で一斉に足を踏み鳴らしたら、床が揺れていました。建物古いのに…。

世界一大きな缶ポックリも登場。なんじゃそりゃ、と思った方はロンドンまでいらしてください。

それから、席は2階席の前のほうを取ること。1階席はやめたほうがいいです。物を激しく叩くので、上演中のハプニングは多い。また、ごみや塵が飛んできます。水もかかるし、バナナの皮も飛んでいたみたい。

あと、お子さんと一緒にご覧になることもぜったいにお勧めしません。家中がうるさくなり、いろいろなものが破壊されるでしょう。高校生以下、元気の良いタイプなら高校生以上でも見せないほうがいいかもしれない。ある意味18禁ですね。




2004年3月22日

帰国前ほとんど最後の週末。
土曜日、リージェントストリートでお土産を購入してそのままぶらぶら歩き、フォートナムメイソンだのウェッジウッドのひやかしながら日本国大使館の前も通りすぎる。やめておけばいいのにこのままパークレーンのヒルトンホテルを見ておこうと思い立つ。たいした理由はない。この建物がロンドンでは初めての高層ビルということになっているからである。なぜか知らないが道の両脇に警官が増えてきた。10メートルおきに2人ずつ立っている。何かあるのか、テロ対策か。ヘリコプターもバルバルとうるさい。

ヒルトンホテルは簡単に見つかった。さて次はナショナルギャラリーでも行こうかな、と思ったとき、どどどんどどどんという音が近づいて来て、????と立ち止まっているあいだにデモ隊の登場。長い、長い。手に手にプラカードをもってトニーブレア反対といっている。それほど荒々しいデモ隊ではないけれども、かなり混み合っているし、中には血の気の多い人もいるようなので近づきたくない感じ。爆弾に倒れる芝居をする人。風が強いのに砂をばら撒くので埃っぽい。内容は間違っていないと思うけれど、迷惑です。
おまわりさんに確かめたら、このデモ隊はトラファルガー広場に集まるというのでナショナルギャラリーに行くのは中止。裏道を通り、グリーンパークから地下鉄に乗る。脱出成功。

ピムリコでおりてテートギャラリーへ。ショップでついにバーンジョーンズの画集を見つける。ラファエル前派やロセッティの本は多いけれど、この人に焦点を当てたものになるとぐっと少なくなる。

久しぶりにテートギャラリーをゆっくり見て帰る。ターナーよりもラファエル前派が好き。


日曜日も同じくロンドン行き。昨日にひきつづきお土産を買ったあと、今度はセントパンクラス駅へ。駅舎の外に出て、上を見上げる。おおっ。これは素晴らしい。青空にそびえたつ赤レンガの駅舎。ハリーポッター2の始めのシーンで、ハリーとロンが汽車に乗り遅れ、空飛ぶ車でホグワーツを目指すシーンがあるでしょう。たしかにここから汽車に乗ったなら魔法の国に連れてゆかれそうだ。見上げるとなんともいえない高揚感を感じる。

そのままお隣の大英図書館へ。ここのギャラリーを見るのが目的だったが、つい本屋にも立ち寄ってしまう。もう荷物を送ってしまったので大きい買い物はしないと決めていたのに、神よ仏よなぜ今になってこのようなものにめぐりあわせるのですか。世界のメトロマップ集。かなり画期的なテーマでしょう?
 各都市がいかに見やすいメトロマップを作ろうとしたか、どのような傾向があるのか紹介した本です。昨日はロンドンの地下鉄マップのデザインの歴史の本を見つけ、でもやっぱり専門的すぎるなぁと思いとどまったのに、今日はこんなものに出会ってしまった。うううと悩んで、お店を一周して、でもやっぱり欲しかったので買ってしまった。この本を馬鹿にする人はいるかもしれないが、それはその人がそこまでなのだと思う。




2004年3月24日

昨晩は以前のステイ先に夕飯に招待してもらった。とてもあたたかい家庭で、久しぶりに話ができて楽しかった。この家とは相性が合うのか、それとも彼らがステイの受け入れに慣れているのか、非常に話しやすい。語彙力が足りないかなと思う話題でもこの家庭だとなぜか話せる。特にお父さんの話し方が絶妙で、ゆっくり話してくれるし、難しい単語は巧みに避けてくれる。しかも相手を話す気にさせる。話しながら次の文章が自動的に頭の中に浮かぶ感覚をこの家ではじめて味わった。なんとも思い出深い家庭です。


午前中はTOEIC。結果についてはねばーまいんど。
午後はパブランチ。車で隣の村まで行ったのですが、イギリスの春は美しい。青い空、緑の丘、煉瓦造りの家、黄色い水仙。色と形のバランスがお見事。なんでこんなにきれいなんだ。今は街にステイしているので、余計に村の素晴らしさが感じられる。住めば不便でしょうがないのだけれど、便利便利を追いかけて忙しい生活を送るより、多少の不便さは我慢しつつ、きれいな風景の中でのんびり暮らすのもアリだと思う。村の人は道をゆずってくれたりすることが多いのだが、これはこの穏やかな風景のなせるわざではないか。

ランチを終えて学校に戻ったら、中庭にカモが3羽きていたので餌をやる。隣の池から出勤してきたらしい。1羽がすばしっこく、他の2羽の分まで食べてしまうので平等にするのが大変だった。


本日は内示を受ける人多数。メールをみてぎゃっと叫んでいる生徒もいれば、そのままフリーズしているのもいる。希望がかなった人もいれば、思いもよらぬところへ異動になった人も。欧州担当の人は学校にまた来られるかな〜なんて言うけれど、出張の規程が厳しいので、イギリスに来たとしてもこの村までこられるかどうか。


楽しい時間もあとわずか。今回はメンバー構成が良くて和気藹々としている。東京に戻れば皆ばらばらになってしまう。お互い忙しくなってめったに会えなくなるだろう。きれいな村から灰色の街へ。日本に戻るというより現実に戻る感じだ。




2004年3月26日

卒業証書をもらい、ファイナルスピーチ。自分の失敗談を披露して笑いを取る人もいれば、スピーチの途中で泣き出してしまう人も。最初は涙をこらえていても、ある人の顔を見た瞬間にこらえきれなくなる。友人とはまた会えるけれど、お世話になった先生方や職員の方に会うのは難しい。特にお茶と清掃担当のおばあちゃんには家族同様に温かく迎えてもらって、いつのまにか自分の祖母であるかのように感じていた人も多かったのじゃないか。

その後は教室の片付け。記念撮影。卒業アルバム作り。動画で先生のインタビューを撮ったりする。人前ではなすことは慣れているだろうのに、カメラで撮られるのは恥ずかしいのか、ちょっと照れているのがかわいらしい。こんな一面もあったのだ、と今になって発見することも。


夕方にはだいたいのことが終わり、まったりしていたらみんなの日本語が怪しいことに気づいた。例えば、「それちょっとメンションしといて」。←何のことだかわかりますか? mention つまり、「ちょっと話しておいて」ってことです。同席したイギリス在住歴15年の彼は「普通でしょう。普通に使いますよ」って言うけれど、日本に住んでいる日本人だったらぜーったいに使いません。イヤミ先生以上にキザです。これが怪しいと気づけないのは相当まずいです。こんなんで職場にもどれるのだろうか。



というわけで月曜日には成田に参上します。





2004年3月31日

空港まで数人の人に送ってもらい、チェックインしてちょっとお茶をする。あと数時間で別れなければならないと思うと話もはずまない。この人たちと知りあえて本当に良かったと思う。昨年のメンバーもこんなことを感じながらイギリスを後にしたのだろうと思いつつ、出国。

免税店で軽く買い物をしてゲートに向かう。私の8ヶ月ももう終わりなんだ、意外と短かったな。空港はどこも無国籍であまり感慨がおこらない。離陸した後に誰かが「またくるからね」とイギリスの土地に向かって言ったのが印象的だった。

さてさて飛行機はヴァージン。スクリーンが個別についていて映画も大量にあるので片端から見まくろうと思っていたのに、あまり集中できず、まともに見たのは「Lost in Translation」くらい。東京の街が撮影に使われています。主に新宿が舞台ですが、我が家の真ん前もほんのちょっとだけ使われていました。びっくりした。他、職場の近くも出てくるので懐かしいようなイヤなような。

飛行時間は12時間ですが、お昼過ぎに飛び立って12時間経ったとしても夜中すぎ。眠れるわけがありません。機内のセットになぜか靴下がついていたのですが、かかと部の形状がない靴下なので、「これは本当に靴下なのか? じつは便座カバーではないのか?」と真剣に議論。海外旅行における便座カバーの必要性について各自思うところを発表しあう。前の席に座っていた卒業旅行らしき数人の女性が私たちのことをどう思っていたかは知らない。


何事もなく着陸。うわー帰ってきてしまった。暑い。



翌日は出勤。お土産を持ってあちこちに挨拶。また、エライ人に連れられてもっとエライ人たちに挨拶。ここでは実に表向きのことを言う。それにしても「トラブルの対処法を身につけてきました」というBサン、カード取られるわ、リコンファーム忘れてフライトはキャンセルされるわ、靴を買ったら左用が2つはいっているわ、バスの中にスーツを忘れるわ、いろんなことがありましたね(笑)。
「ボク、今日、ベルトしてないんです」。 別送品がまだ届いていないのだそうです。
でも、理由はそれだけですか。


イギリスの報告はおしまい。長々とおつきあいくださり、ありがとうございました。



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