アンティーク総合
アート&クラフト art & craft 美術の工業化を目論んだロンドン大博覧会の後、あまりにマスプロ化された工芸品に対し、手作りの良さを見直そうと起った工芸復興運動。
詩人かつ工芸家だったウイリアム・モリスらが先導して1875年くらいから小さな工房が幾つも興った。モリスを始め、デゥ・モーガン、ムーアクロフトなどが有名。志は宜しかったが、時代を飛び越えた革新的デザインが徒となったか工場の多くは10年ほどの期間しか存続出来なかった。
アール・デコ art deco 1920年代から30年代にかけ、直線と単純な曲線の組み合わせを生かしたデザインをメインに欧米を風靡した美術様式。その名称はパリで開催された装飾工業美術博覧会を略したもので、他にも25年モードとか機能芸術とか色々な呼び方があった。
アール・デコは実に様々なものから影響を受けている。キュービスム、バウハウス、古代エジプト美術、アステカ寺院装飾、ロシアのバレエなど。バレエが何でと思われるだろうがファッションとそれをモデルにした彫刻が対象となっているようだ。デコと言えばチャールストンと思っていたが。
いずれ幅広いインスピレーションを得ながら、世間の認知はワンパターンであり、またアール・デコそのものも殻に閉じこもってしまった気がする。
アール・デコで有名どころはガラスのラリックやモーリス・マリノ、キプロス、プライスを始めとする象牙とブロンズを合わせた彫像、ピュアフォルカの銀器、陶器ではクラリス・クリフ、スージークーパーなどが挙げられる。家具も多くの作家がいるが、あまり日本には入っていない。
アール・ヌーボー art nouveau 普通1890年から第一次大戦前(1914年)までとするが、その最盛期は1895年から1905年までと案外短い。ゆえにデコ同様、時代のあだ花として過少評価する向きも(欧米には)少なくない。
しかし美術史的にみてもその役割は小さいものではなく、特に日本における西洋アンティークの普及に関して言えば貢献度は極めて大きい。
19世紀の後半から新しい工芸デザインを探ろうとする運動は始まっていた。アート&クラフト運動はその代表格だが世間に受け入れられず、試行錯誤して生まれたのがアール・ヌーボーと聞けば誰もが思い浮べる、一般大衆からすれば甘美な曲線であり、へそ曲がり美術評論家に言わせれば「スパゲティ芸術」あるいは「ミミズのノタクッた」パターンなのだ。
この様式は爆発的人気を得たが萎むのも急速だった。あまりに類型化して飽きられたのである。この反省からアール・デコの登場となるが、結果は同じ、というよりヌーボー以上に紋切パターンとなって早足で時代を駆け抜けてしまった。
ヌーボーの巨人と言われるエミール・ガレはガラス工芸のみならず、家具や陶器に優れた足跡を残している。宝石商の御曹司ルイス・C・テイファニーはガラス工芸と金工の分野で高い評価を得た。その他家具のマジョレル、ガラスのドーム兄弟など大勢の作家・工房がこの時代に活躍し、工芸文化に寄与した。
アンティーク antiques ルネッサンスの頃に古代ギリシャ・ローマの美術品を示す言葉として生まれた。
ラテン語で古いものの意味。現在では製造から百年以上経た美術工芸品を言う。関税法では厳密に百年を区切るが一般では柔軟に解釈されており、通常アールデコまではアンティークとして通っている。
絵画や彫刻は普通ファイン・アートとして別に分類され、年代を区切られることもない。ただし美術工芸品でも特に装飾性の高い物はファイン・アートと呼ばれることもある。英国BBCの「西洋アンティーク鑑定会(原題・ANTIQUES
ROADSHOW)」でも絵画・彫刻も取り上げていたし、この辺りの分類は実社会では多分に主観的、細かく定めているのは法律だけだ。関税法にアンティークの定義があるのは絵画・彫刻同様、無税扱いとされているからである。昔の税関は「こんな贅沢品、意地でも無税で通すものか」という態度であったが、近頃はオークション・カタログでも証明書類として認められるようなので、この特典を逃すことはない。
アンティクァティ antiquity 古代美術工芸。元々アンティークは古代もの、ギリシャ・ローマなどの古典美術を言った。ところが近代(19世紀後半と思われる)になって100年以上を経た工芸美術品全般をアンティークと称するようになってから、それら古代美術品にはアンティクァティの言葉を当てるようになった。ギリシャ・ローマを除いたアンティークで市場に出てくるものはせいぜいが15世紀以降。一緒にするのもどうかといったところか。
アンティークとアンティクァティは別物、というのではなく、アンティークの一ジャンルにアンティクァティがあるということ。
アンティーク・ガゼット antiques gazette 英国の骨董専門新聞。英国全土のオークション情報、骨董フェア、それにオークションで落札された高価なもの、変わったものなど取り上げている。水曜日発売で、大きなスタンドやカムデン・パッセージのアンティーク・マーケットに午前中に行けば売り子が廻っているが、日本からの定期講読も出来る。
アンティーク・フェア antiques fair 不定期に開催される骨董市。英国ではシティ・センターなど大きな建物を借りて行われる比較的大掛かりなものと、ホテルの一角で行われる小規模のフェアがある。いずれも価格的な掘り出し物は少ないが、前者は数が多いのでコレクターの探し物に便利。後者は毎週日曜にロンドンのどこかのホテルで行われるので日曜の散策ついでによい。いずれもほとんどが入場料を取られる。情報はアンティーク・ガゼットで。
アンティーク・マーケット antiques market 毎週特定の曜日に開催される骨董市。朝一番に行かないと掘り出し物はない、などと言われるが、朝一番でも近年そのような幸運に巡り合ったことはない。ただ一万円位の相場のものが千円とか数百円で入手出来るなどはたまにはある。近頃は混雑がひどく、特にポートベロのような利便の良い所は午後には歩くことも出来なくなるので、朝一はともかく、午前中には見終えるくらいにしておいた方が良い。
インターネット・オークション internet auction 実物を見れないインターネットでは美術工芸品の売買は難しいと考えていたのだが、今や最大のネット・オークション、イーベイではアンティークだけでも常時数万点がアメリカを中心に世界中から出品されている。ライブ・オークションの雄、サザビーでもネット・オークションを始めたくらいだ。(日本からの入札は出来ない)
イーベイなど一般出品オークション成功の鍵は評加点制度で、出品者に対して落札者が満足した場合はプラス評価点を与える。逆に不満(虚偽の商品説明など)があった場合はマイナスの評価点を与える事が出来る。評加点は「ひどくいい加減な梱包で壊れて着いた」などという内容ともども残されるので出品者も迂闊なことは出来ない。
ただし安心してはいけない。「ガレ。サイン入」などとあっても9割はコピー商品。「本物と思って落札したのだが、これはルーマニア製じゃないか。返品する」などと言っても通らない。どこにも「オリジナル・ガレであることを保証します」とは書いてないからだ。マイセン人形で「ヒビも欠けもなし」とあったが修理が施されていた、という場合も同様。たとえ「修理もなし」も書かれていても、「済みません。気付きませんでした。返品しますか?」となれば、返品にかかる手数料や手間暇を考えるとよほど悪質な場合でもないかぎり矛先を収めざるを得ない。
専門知識を持った業者やコレクターでも、コンピューター画像と説明文の約束事に馴れてないと思わぬ失敗の危険性がある。ネット・オークションでの購入を考えるなら十分に画面に馴れておくことである。最初はライブ・オークション同様、日本での腕試しをお勧めする。日本ではヤフーでアンティークが多く出品されている。
ヴィクトリア & アルバート博物館 Victoria and Albert museum ロンドンにある世界で最も充実した工芸博物館。
当初ヴィクトリア女王の夫アルバート公が主催したロンドン大博覧会の展示品をメインに装飾美術館として開館。万博から六年後には数々のコレクションを加え、サウスケンジントン博物館と命名されて再出発。その後も次々と展示品を購入し、寄贈されて規模を大きくしていった。おおよそ半世紀後、博物館が手狭になって新築されることになったときにヴィクトリア
& アルバート博物館の名称になった。
V&Aが他の大手博物館と一味違うのは、ピンはもちろんキリに至るまでコレクションが充実していることで、オークションでも数十万円、どうかすると十万円以下、我々でも食費を削れば手が届く程度のシロモノまで網羅していることだ。だから骨董屋やコレクターにとっては学校的存在である。
ヴィクトリアン Victorian ヴィクトリア女王在位期間。アンティーク用語では主にその期間に作られた製品の年代表示として使われる。1837年から1901年と長いので業者には便利な言葉である。つまり少しでも古そうなものなら何でもかんでもヴィクトリアンと称しておけば当たらずといえども遠からず。間違いなく古いものなら初期ヴィクトリアン、あるいはその前のジョージアンと能書き垂れる。(途中にウィリアム王がいるが、在位が短いので無視される)なお、ヴィクトリアンには時代区分だけでなく、例えば「ロココ」のように美術様式を意味することがある。多くは家具で、他に装身具、銀製品といったものに見られるが、ロココのような強い個性はなく、幾つかの折衷様式といった色合いが濃い。
また陶磁器ガラスでは19世紀末から数多く作られた庶民用品を漠然と称することが多い。つまり「その他」の様式をまとめてヴィクトリアンに仕立てた訳で、英国で骨董屋に「これはヴィクトリアンだ」と言われたら、新品ではないらしいが時代はわからないのだな、と思って間違いないくらいだ。
ヴィンテージ vintage 年代もの。古い名車、たとえば1930年のロールス・ロイスといえどもアンティークと表現できない。工芸品ではないし、時代も足りないからだ。さりとてジャンクではあんまり。そこで古い高級ワインを表現するヴィンテージの呼称を借りて「ヴィンテージ・カー」と称した。これがジーンズなどファッション関係にも普及し、更には陶磁器ガラスの中古品に至るまで使われるようになっている。
陶磁器ガラスの場合は普通1940年頃までアンティークで通るので、ヴィンテージなどと呼ばれるのは50年代以降70年までくらいが多い。
この時期のは他にヒフティーズ(’50)とかシクスティーズ(’60)などとも呼ばれるが、正統アンティークよりはコレクタブル・アイテムが多い。
オークション auction 競売。その始まりがいつの時代になるのか分らないが、そうとうに古いのは間違いない。古代を描いた映画の「奴隷のオークション」はお馴染みのシーンだ。「人類最古の職業」とやらがあるらしいが、それだってオークションされたかも知れない。すると人類最古の競売、になるが。
オークションで美術品が扱われるようになったのは17世紀のことで、次の世紀には現在最大のオークション会社サザビーが1744年に、双璧のクリスティーが1766年にそれぞれ創立されている。オークションで扱われる品物は美術品に限らず家、自動車、ワインなどがある。オークション・ハウス(会社)の数はアメリカで130前後、英国で200前後。20年前の記録だが大きな違いはないと思う。ただしアメリカのはもっと増えているかもしれない。サザビーもロンドンからニューヨークに本店を移してしまったことだし。
会社といえども規模はさまざまで、ローカルの零細オークションでは洗濯機だのバケツだのと、まるでガレージ・セールのような模様が展開される。
オークションに参加するには、欧米の場合は直前にクレジット・カードを提示して申し込めば誰でも参加出来る。日本では会員登録が必要で年会費も取られるが、その分親切で融通が利く。また概して欧米オークションの進行は早く、幾らで落札されかのか、自分が落札出来たのかどうかなどわからない場合も出てくることもあるので、まずは日本のオークションで腕試しされることをお勧めしておく。
なお、近頃ではインターネット・オークションも盛んになり、これと区別する為に会場で開催される競売をライブ・オークションと呼ぶこともある。
グランド・ツアー grand tour 18世紀を中心に、英国貴族の御曹司たちをフランス・イタリアに外遊させることが流行った。文化先進国の語学や立ち振る舞い、そして美術の教養など身につけさせるためである。
語学の代わりに遊びを覚え、女を見る審美眼だけは身についた、なんて例も多かったらしいが、特筆すべきはそのお土産。一人で九百点近い美術品を持ち帰った伯爵もいて、美術品がすべてイギリスに運ばれるのではないかと言う勢い。ただし、そこは海千山千の業者たち。いいようにカモられたイギリス紳士も多かったようである。まるでバブル期のどこかの国のお話。
ともあれ。グランド・ツアーが紳士の育成にどれだけ役立ったかは知らないが、英国のアンティーク市場の形成に役立ったのは間違いなさそうだ。
コピー copy 写し。対象物を忠実に写したもの。アンティークの場合、意匠登録などなかったし、あったとしても切れているからどこの工場・工房でデザインをコピーしようが基本的に問題ないと思う・・・法律のことは良く知らないが、いずれ問題のないコピーでもオリジナルのサインやマークまで入れればその時点でニセモノとなる。もちろん骨董屋がサインの無いコピーを本物として販売した場合も同様。
ダイヤモンドに模したガラスを作っても罪にならない。だがそれにダイヤとしての鑑別書を付けたり、ダイヤとして販売した時点で罪になる。つまりコピーそのものは無垢だが、本物に化けようとした時点で贋物の汚名を被ることになる。
コレクター collector 収集家。概して一代で財を成した人物は成金趣味に陥りやすい。美術的素養を育む暇などなかったことが最たる理由だが、本能的に美術さえも身を守るため、あるいは敵を威嚇するための道具としてしまうことも一因だろう。そのくらいの心構えでないと創業など覚束ないともいえるが。
ロビーに巨大な象牙やトラの剥製など置いてある会社は要注意、と何かで読んだことがあるが、少なくとも創業者が現役ならば心配ない。悪趣味であればあるほどそれは会社のパワーであって、むしろ趣味の良い民芸品などであれば後継者に道を譲るよう進言されるが良い。二代目となれば概して趣味はよくなる。良い学校で良い友人に恵まれ、デートの場所も展覧会や音楽会など教養溢れる環境で育つからだ。ただし初代の凄さも苦労も知っている二代目は決して無理をしないから企業家としても美術コレクターとしても食い足りない。
無茶をしないコレクターには第一級のコレクションは為し得ない。コレクターあがりの骨董屋で「二流の品で商売して一流品は自分のコレクションにする」という例が見られるが、これは孫の生活の足しにはなっても博物館が嬉しがるような優れたコレクションに至ることはない。一流コレクションは経済観念を超えたところにあるし、まがいなりにも経済活動である骨董屋がその概念から飛躍するのは難しいからだ。もっとも「無茶な買い物」の98パーセントはそのまま無茶で終るので誤解なきよう。
さて、戦後復興を為した初代はほとんど引退、二代目の時代に至るも遺憾ながらセンスの良さを活かせる経済状態にない。そこで三代目に期待したい。唐様で「売家」と書くのも三代目なら復興の祖と謳われるのも三代目。二代目で培われたセンスの良さと隔世遺伝の度胸をもって大いなるコレクターの道を邁進して欲しい。成功するもコケルのも派手な方が面白いのだ。端から見てる分には。
コレクタブル collectables 本来は収集品全般の意味だが、アンティーク用語としてはいささかアンティークの概念から外れた収集対象品に使われることが多い。少し昔はテディベアやブリキのおもちゃがコレクタブルだったが今では立派なアンティークに昇格している。現在のコレクタブルといえば主に古道具で、カメラやミシン、タイプライターといった機械もの、ワイン抜きやブリキ缶、ボトル、ジョウロなどの日常品、他に勲章コイン帽子ボタン貯金箱レコードなど切りがない。むしろ収集対象となってない品物を探す方が難しい。トイレット・ペーパーだって有名なコレクターがいる。
コンディション condition 品物の状態。現物を手に取って見ることの出来るライブ(会場)オークションはいいとしても画像だけのインターネット・オークションでは商品状態の解説が重要になってくる。ところがアンティークの場合、細かい状態は説明し辛い物もある。そこでオモチャの分野で使われていたコンディション説明用語を流用している。
「ミント mint 」・・・新品同様。
「エクセレント excellent」・・・目立たない擦り傷などあるがとても良い状態。
「グッドgood」・・・少し傷など見られるが欠けやヒビなどはない。
オモチャ用語ではこの下に、傷みは多いが捨てるには惜しいという「フェアfair」と、まったく価値はないが誰かモノ好きはおらんかという「プアpoor」があるが、たとえ実態がそうでもオークションで使う馬鹿はいない。
ジャンク jank ガラクタ。機械ものでは中古品をジャンクと表現することもあるようだが、陶磁器ガラス等では使わない。そういうのはもっぱらヴィンテージだ。
ジョージアン Georgian アンティーク用語ではジョージV世とその息子W世の時代に製造された品を言い、1760年から1830年。この時代区分は家具および銀器に使われるくらいで他のアンティークに使われることはあまり無い。
ジョージアン様式という特定のスタイルが他では見られず、また同時代のアンティークなら
ヴィクトリアンのような冠を被せずとも通用するからだろう。
シノワズリー Chinoiserie フランス語で中国趣味のこと。あくまで西洋人が捉えた中国様式で、中国製品やその忠実なコピーには使われない。日本趣味はジャポネズリーだが、日本人から見るとシノワズリーだったりする。
ハウス・セール house sale 貴族や資産家の没後、あるいは資金繰りの為に行われるオークションの一つで、家も美術品も丸ごと売り払ってしまう。(競売はそれぞれ別に行われる)これは下見会が面白く、小物は一個所に集められる場合が多いが、家具などはだいたいそのままになっているから持ち主の生活が覗ける。概してクルマがないと大変に不便な場所で行われることが多い。また、感情移入してしまうのか、著名な人物はもちろん、そうでない場合でも相対的に高くなりがちだ。
フィギュア figure 陶磁器ガラス金属プラスチックその他もろもの製人形。人間でも動物でも、群像も壷などに付いたのも含まれる。ただし装飾用人形で、ビスク・ドールやマネキンなど玩具や実用目的の人形は一般的には含まれない。
なお、フィギュリン figurine とは、元々は古代エジプトに見られるような小さな人形を指していたが、アメリカでフィギュアの意味で使われはじめ、現在では樹脂製のキャラクター人形などと区別する為に特に陶磁器製人形をフィギュアでなくフィギュリンと呼ぶことが増えている。
フェイク fake 悪意のある改造品か複製品、または捏造品。悪意、というのは本物と間違えられることを期待して作られたもの。つまりマークまで同じものを使ったような場合を差す。例えばヴィクトリアン家具の脚に虫食いがあったので同じ型の新しい脚をつけた。これは善意の修復。この際だからと一世代前のジョージアン風の脚にして当時の有名作家のサインを添えた。これがフェイク。
「ミロのヴィーナス」には腕が無い。これに腕をつけようとの議論が沸いたことがある。結局いい加減な腕をつけたらフェイクになってしまうとのことで取りやめた。善意の修復であっても無知や技量不足のためにフェイクになってしまう場合もあるのだ。
フォージェリー forgery 贋作。本物を複製または捏造してたもので、フェイクと違って改造品を意味することはない。つまり純粋な贋物。
フリー・マーケット fray market フリー、自由に何でも売り買いしていいよ、との意味ではなく、フレィ、ぼろ布の市場、つまりボロ市だ。日本のフリマもそうだが、骨董品を探してもまず良いものに出会えることはない。また、たまにあっても却って相場より高かったりする。それでも本当にごく希に掘り出し物があり、知人は20万円は下らないガレのエナメル彩を5百円で手に入れたことがある。ただし、彼がそれを見つけるまでに費やした時間と労力を考えれば、宝くじを買う方が効率は良い。
ミラーの骨董価格ガイド MILLER'S ANTIQUES PRICE GUIDE ほとんどすべてのアンティークを網羅した価格ガイド。毎年発行で主に英国のオークションでの予想値を表示している。それぞれ写真もあって大変便利なようだが実はあんまり参考にならない。というのも英国人コレクター向けなので、たとえば全700ページの中でヌーボーのガラスは4ページ、その代わりに日本では殆ど見ることのないスタッフォードシャー陶製人形は60ページといった具合。ただ家具や陶磁器など充実してるのでごく大雑把に価格体系を把握するのにはいいだろう。
同シリーズで機械製品や人形オモチャなどコレクタブル専門書もある(MILLER'S Collectables PRICE GUIDE)。いずれも洋書屋で注文できる。英国内価格で3千〜4千円で、輸入価格はその倍くらいに考えておけばいいだろう。
ただしくれぐれも日本と同じ相場とは限らないことを肝に銘じておく必要がある。英国のオークションなら40万円は下らない18世紀のワイングラスが、日本のオークションで5万円で落札されていた。当然その逆もあり得る。
ミニアチュール miniature 同じスペルだがミニチュアというと縮小されたもの全般。ミニアチュールと発音すると細密画で、ブローチなど装身具にも使われる。昔の紙では画面が荒れる為に磨いた薄い象牙板に描かれた物が多い。近年のまがい物は樹脂板に転写し、上から筆跡を付けている。ミニアチュールのコレクターは欧米に多く、専門のオークションも開かれるが日本では品物も愛好者も少ない。
モノグラム monogram 組み合わせ文字のこと。二字、あるいはそれ以上のアルファベットを重ねて図案化したもので、文字そのものに花柄などのデザインを施す事もある。モノグラムは銀器に所有者のイニシャルを入れたり、陶磁器のマークに使用したりする。後者で有名なのはセーブル窯のダブルL字マークとマイセンのARマーク。
リプロダクション reproduction 再生産品。復刻版。原則的には同じ工場が作った製造を中止していた製品を言う。オリジナル工場の許可を得て作られることもある。いずれ元の工場が関与していなければリプロとは言えず、だからデザインだけを真似した他工場製品をリプロと表示するのは過ち。あくまでコピーである。
例外としては時代的に括られる物。例えばヴィクトリア時代の家具や銀細工などを現在再現した品などは、ヴィクトリアン・リプロダクションとして問題ない。オリジナル・デザインの特定が困難だからだ。
ロンドン大博覧会 Great Exhibition of the Works of Industry of All Nations 1851年に開催された世界で初めての万国博覧会。工業製品が主体で、彫刻は動力工具の使用サンプルの意味で出展されたが絵画は外された。そんなことも手伝って「英国人の趣味の悪さを全世界に披露した」との陰口も叩かれた。確かに大艦巨砲主義、美術工芸品に関しても「どうだ恐れ入ったか」というまでに装飾華美になってはいるが、そんなギリギリまでの作品を発表する機会は作り手には有難かっただろう。事実この博覧会の後に台頭した工場も少なくない。
英国産業界以外でも、たとえばヘレンドなどはこの時にヴィクトリア女王の注文を受けて飛躍を遂げている。いずれその後のデザイン界に多大な影響を与え、また美術工芸品の大衆化への一歩であったことは否めない。
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