榊とルタム そのA

「んじゃーまずはメシの捕り方。オレらネコはオメーら人間と違って、どこでもメシにありつけるワケじゃない。」

そう言うとルタムは細くて薄暗い道に入っていった。

何やらチューチュー聞こえる。

(まさか、メシって・・・。)榊の予感は的中した。

普段の何倍も大きいネズミが現れたのだ。

「いいか・・・。まず姿勢を低くして・・・。」「キャー!!」

榊は思わず叫んだ。

その声にびっくりしたネズミは全力疾走で逃げていった。

「あーもう!お前が大声あげるから逃げられたじゃないか!!」

「すいません・・・。でも私ネズミは・・・。」

「全く。人間てのはよくばりな生き物だ。ついて来い。」

ルタムと榊はさっきの道とは反対に人がいっぱいいる所まで来た。

色々な店が立ち並んでいて、かなり活気のある場所のようだ。

「あのパン屋だ。」

ルタムはあごでパン屋を指した。

「・・・・え?」

だがそのパン屋は道路の向こう側にあった。

走っていく車も、すごく大きく感じる。

「かなり危険だがあそこまでいくにはここを渡るしかない。1、2の3で一気に駆け抜けるぞ。」

「待って。信号が赤。」

「何?シンゴー?」

(あ、そうか。ネコが信号なんて知るはずないか。)

「えーっと信号っていうのは、あのランプが青くなった時に渡れるって言う・・・。」

「なんだそれ?」

ルタムはまだわかっていない様子。

「まぁ見てて・・・。」

信号が青になった。そして車が止まった。

「おおっ!すげー!!」

ルタムのリアクションを見て榊は思わず(心の中で)笑った。

「今なら渡れる・・・。ルタさん早く。」

「お・・・おう。」

2人、いや2匹は、なんとか道路を横断した。