辺りはもうすっかり暗くなっていた。
「オレがお前に色々とわからせるつもりが・・・オレの方が学んじまったな・・・。」
「そんなことない・・・私もネコの大変さが身にしみてわかった。ありがとうルタさん。」
「オレからも言っとくぜ。ありがとうサカキ・・・・。」
ルタムがそう言うと榊の体が光った。
とっさに榊は自分の手を見た。人間の手になっている。元に戻ったのだ。
ルタムは軽くお辞儀をすると後ろを向いて走っていった・・・。
「ジリリリリリリ・・・!!」
目覚まし時計が鳴り響く。
「ゆ・・・夢・・・?」
榊は不思議な気持ちで朝食をすませ、家を出た。
その瞬間、何かがぶつかった音がした。
そこには一匹のネコが血を流していた。どうやら車に轢かれたらしい。
しかも、なぜかそのネコは夢に出てきたルタムにそっくりだった。
「ル・・・ルタさん・・・?」
だが、そのネコはもう息をしていなかった。
「そんな・・・。」
辺りは静まり返っていて、小鳥の鳴く声すら聞こえない。
榊はハッとした。
(そうだ、いつまでも落ち込んでちゃルタさんに申し訳ない・・・。)
榊は澄んだ顔で、青空を見た。
(さようなら・・・ルタさん・・・。)
その一年後、榊はルタムと種類も性格も全く違うネコ、「マヤー」に出会う。
だがその「マヤー」にはどこかルタムの面影があった・・・。