やってみよう縄文人生活


NHKが世界に誇る(といってもどこぞの国には既に原型の番組があるのやも知らんが)「ようこそ先輩」シリーズの書籍版。番組自体の着眼点・企画が非常に素晴らしいところにもってきて、書籍版では放映を補う形で様々な情報を付与しているので、わかりやすく、深く、多角的に放送内容を理解することができる良書。「やってみよう縄文人生活」では書名の通り考古学研究における研究と行政との交錯点におられる岡村道雄氏を先生に招き、遺跡の中で縄文人としての衣食住を体験するという大変うらやましい授業の様子が記されている。氏のプロフィール、実際に行われた授業の様子、舞台となった遺跡の資料、氏自らが記した来歴、そして収録前後の氏へのインタビューなど、「ようこそ先輩」という番組の全てがここに凝縮されていると言っても過言ではない。書籍というのは繰り返し読めるという点で名著ほど一期一会という概念から遠くなってゆくものだ。一方で放送されるテレビ番組というのは再放送があるとはいえ本質は一期一会である。その中でも「ようこそ先輩」のシリーズは、卒業生による母校での授業という非常に一期一会的な性質の強い番組なのだが(おそらく幸運な子供たちの数は極めて限られており、そしてしかもそれは一生に一度のことであるに違いない)、書籍に纏められたことで、凍結した薔薇の花のように、非常に希有な、「一期一会という永遠」が実現することとなった。面白く読みやすい本である。なお、この授業の行われた小学校では、収録をきっかけに学校主催による「ようこそ先輩」の授業が行われるようになったという。他の学校にも真似してほしいものだ。

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