子育ては、ほんとうのわが子をまず認めてから
タイトルから私が想像したのは、教育心理学に通じ深い英知と経験とに裏打ちされた愛情深い女性教師が書いたような内容だった。ページを開いて見たものは?!脳生理学や遺伝学を視野に入れた、優生学ぎりぎりと言ってもいいだろう概念群だった。ご存じの通り優生学はとってもアブナイ学問で、ナチスドイツや大日本帝国ご愛用、血統を重んじ、悪しき形質からは悪しき子孫しか生まれないという考えのもとにユダヤ人や障害者や同性愛者やらを断種しまくったのは記憶に新しい。以来人間の遺伝学とも言うべき優生学は一種封印され、近しい表現も表だってはなされないような状況が長く続いた。が、人間が生物であり、そしてその形質は遺伝子に基づいており、遺伝子は子孫の形質を決定するというのもまた事実なのである。タイトルにいう「ほんとうのわが子」とは、フロイト式心理学などでいう「この子は幼少の頃の周囲の待遇によって傷ついてこのような振る舞いをなしているが、本来はそういう子供ではない」式の表現ではない。あなた自身の、またはあなたの配偶者自身の持つ遺伝子を受け継ぐ生物としての「わが子」、生物という本性を文明などで覆すことのできない存在としての「わが子」という意味の表現であり、人間が文化よりも持って生まれた遺伝子によってよほど支配される存在であるということを、シビアな程の研究結果の提示によって証明している本なのだ。