浅草神谷バーの 電気ブラン
名物にうまいものなし、とゆいますが、これもそんな目をむくほどうまいもんじゃあない。聞けば昔、ブランデーが遙かなる高嶺の花であった頃、その味を何とか作り出そうと安酒を混ぜ繰り返して拵えたのが電気ブランとか。ブランはブランデーの略、電気は当時ハイカラでインパクトがあったものだから、というからその時代が伺えます。こういうものは味わうと言うよりもムードを楽しむものと承知しているのですが、如何なものでしょうか。神谷バーの筆頭名物といえばこの電気ブランですが、私にはそれよりもお気に入りがあった。平日の昼だけに供されるビアランチというものがそれ。昔風に丹念に拵えたクリームコロッケとマカロニサラダかなんかがついて、確かライスかなんかもついて、他に何か二三品がお皿に盛り合わせてあって、一口ビアというのがついて、それで当時650円くらいだった。安いもんだったなぁ。一口ビアというのが、なんだか浅草らしくて、おもてなしのちょっとした気持ちのように思われて、妙に嬉しかったのをよく覚えています。あれ食べたさに講義の隙間に浅草にいって一杯ひっかけて浅草をふらついてそのあと大学に帰ったり帰らなかったり。いい(加減な)学生時代でした。