鶏レバアジア風
ほんとうにアジアにこういうのがあるのかはわかりません。が、そこはかとなくアジアです。
大粒のニンニクを用意して下さい。それからぶっとい葱。あととても重要なのが保温調理鍋なんですが、まぁなければ普通の鍋を毛布でくるんでやったりして保温調理を試みてやって下さい。それに真面目な肉屋で買ってきたいきのいい鶏レバ。もやし、それから青みが欲しければニラ。
にんにくは薄皮を向いて根本の硬いのをとってやったらそのまんまごろごろ鍋に入れます。葱はぶつ切り。それから塩とお醤油とでいいあんばいの煮汁をつくっておいてやります。にんにくと葱の持ち味が出るようにぐつぐつ煮立ててやりましょう。丈夫な連中ですから荒っぽいくらいの方がよろしい。また煮汁なので「ちょっとしょっぱすぎやしないかね」という位がよろしい。さて鶏レバのお世話です。鶏レバは下ゆでをしてやると親切です。ぐらぐらのお湯に鶏レバを放り込み、表面が白っぽくなるくらいまで待っててやって下さい。ざるに開け、ぶつ切りにします。私の流儀としては、ハツは縦に半分、レバの方は腑分けの気分に従い三つばかりに。血がまみれますがそれもまた一興です。ハツの中に血の固まりなぞが見つかった場合、ドイツの血のソーセージみたいと喜んで見るもよし、うへぇとなって慌てて指でほじり出すもよし。始末の終わったレバを件の煮汁に放り込んでやります。沸騰するまでの間、時々煮汁を味見して、レバの油が混じって悦楽的になりゆくのを堪能して下さい。沸騰して二分もしたところで、それっと鍋を火からおろし、保温調理に入ります。保温調理鍋なら保温のお鍋に入れてやり、そうでないなら厳重に毛布かなんかでくるみ、さらに魚屋のトロ箱に入れてやるのもよろしい。まぁ30分は置いといてやって下さい。私なぞは場合によっては1時間は放っておきます。それから蓋を開けると、ニンニクと葱のまろやかにして強かな香りがあなたの顔を包み、美しく済んだ煮汁が目に飛び込んでくるでしょう。それを再び火にかけ、ここでもやしと、場合によってはニラを投入。もやしは水洗いするばかり、にらはぶつぶつと切ってやっておいて下さい。別に火にかけてからでもかまいません。もやしが弾けんばかりに豊かに味わいを帯びた頃、深い藍色の鉢にでもよそってやって下さい。うまいです。
こうしてやると、どうしてか煮直してもレバが硬くなりません。レバの硬いのは誠に恨めしいものですが、保温調理では免れるのです。