Promise
「龍麻…」 声をかけると相手はゆっくりと瞳を開いて。 「あー!!!寝過ごした!紅葉、今何時?」 何とも色気のない返事をする。 それでも構わないと思う。 とりあえずこうして一緒にいることは事実なので。 「なんでいつも起こしてくれないんだよ!」 「龍麻。寝ている時だけかわいいから。起こすとうるさいし」 「なっ!てめー料理に睡眠薬とか入れてるんじゃないだろうな?」 そこまで僕は悪質ではないと思うけど…。 「ほら、時間に遅れるぞ。翡翠に怒られちまう」 「ね、龍麻?」 「なんだよ!?」 今夜は如月さんのうちに行って村雨さんと4人で徹夜麻雀をする 予定になっていた。 「麻雀なら2人でもできるよ。今日は行くのやめよう」 精一杯の笑顔で。普段そんな表情をしないから難しい。 「なんだよー。我侭言うなよ」 龍麻はムッとした表情で振り返る。 「龍麻?ずっと一緒にいてくれるかい?」 「いいよ」 本気なのだか冗談なのだか。いつも簡単に龍麻は返事をする。 「今の所完全に信用出来無いんだよね」 「なら疑ってろよ。『疑って申し訳ありませんでした』って土下座  させてやるさ」 彼はいつも強気だ。そんな所が羨ましくもある。 「龍麻はいつも僕の頼みを聞いてくれるから。きっとそうやって誰  かの願いを聞いて僕の前から去ってしまうかもしれないだろ?」 「別に俺はみんなの頼みをほいほい聞いているわけじゃねーよ…。  ただ、紅葉の頼みは迷う余地がないってだけだよ」 「龍麻」 「大体さ。俺のほうが不安なんだよ!お前いつも無愛想で何考えて  るか分からないし、仕事だとかいって出ていったきり帰ってこな  いかもしれないじゃないか!!寝てる時だっていつもお前の気配  探りながら寝てるんだよ…気付けよバーカ」 驚いた。いつも幸せそうに大の字になって寝ている彼がそんなこと を思っていたとは。 「僕はどこにもいかないよ」 「絶対だからな」 「約束する」 「じゃ、ついでの俺のお願い聞いてくれよ」 「いいよ。なんだい?」 「麻雀しに行こうよ〜〜」 「……分かったよ……」 本当は二人っきりで過ごしたかったけれど。 龍麻が言うなら仕方がない。惚れた弱みか。 I'm with you どんなときも I'm with you どこにいても 今以上 そばにいるよ 愛しさに 負けないほどに… 前は理解に苦しんだ歌の文句も今なら分かる気がする。 「あ、ついでにもうひとつ」 「はいはい」 「ひーちゃんvvって呼んでみて?」 「それは悪いけど出来ないよ…」 「なんでだよー!」 「なんか恥ずかしいし」 「紅葉がひーちゃんって呼んでくれないなら地獄の果てまで  ついて行ってやる」 「龍麻…僕は地獄に落ちるのかい?」 こんなどうでも良い会話も心地よい。 龍麻も同じことを思っていてくれている?
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