私は実家に連れ戻された。
実家は、東京から1時間ほどだ。
会社は辞めた。
もう、何も考えられず、何も出来なかった。
彼と離れていなければ、理性が保てなかった。

彼は私を支えようと努力してくれた。
下北沢の心療内科にも、一緒に足を運んでくれた。
けれど、私は落ち着かなかった。
そして、何も考えられず、何も出来なかった。
ドクターから、彼と距離を置くように、アドバイスされた。

私は彼と会うのをやめた。
電話もメールもしなかった。
市内で有名な心療内科に通院するようになった。
やぎぬま心療内科という病院だった。
その病院は、とても安心できる場所だった。
ドクターのやぎぬま先生は私を安定させた。
下北沢のドクターも私は安心させてくれたが、やぎぬま先生は私を癒してくれた。
やぎぬま先生と話すことは私を落ち着かせた。
私は、病院に行き先生と話す事を好んだ。
自分自身を安定させたかった。

それでも、まだ「死」への欲求はおさまらなかった。
また自殺を図った。
また救急車で病院に運ばれた。
また失敗した。
けれど、私はもう「死」への欲求は消えたように感じた。

そして、私は少しずつ自分を取り戻していった。
高校時代からの友人へ、自分の現状を伝える事ができるようになった。
彼女たちは、私を安定させた。

自動車学校へ通うことにした。
1ヶ月の間、毎日通った。
車を運転する事を覚える事はとても楽しかった。
私は何かを始められるようになっていた。
免許をとった。

やぎぬま先生のもとへは週に一回行く事にした。
私は、いろんな事を考え、いろんな事にチャレンジできるようになった。
彼と別れた事も自分なりに納得できた。
ただ、自分を許す事は、まだ出来なかった。