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ある日彼が聞いた。
「もし俺があと3ヶ月の命だったらどうする?」
私には答えがあったが、敢えて言わなかった。
けれど、彼は気付いたようだった。
そう、私は彼の子供を宿したかった。
普段私は、シングルマザーにはとてもなれないからと彼に言っていた。
けれど、すでに彼がいなくてはもう生きていけないと思い始めていた。
だから、彼の血を受け継いだ存在が必要だと思った。
クリスマスは土曜日だった。
イブは二人で私の家で静かに過ごした。
私は週末に独りでツリーを飾っておいた。
そして二人で私が作ったローストチキンを食べ、ケーキを食べ、ドイツ製のワインを飲んだ。
私はいつも外で私と長電話をする彼のためにコーチの手袋をプレゼントした。
クリスマスには、彼の奥さんのピアノの発表会があった。
特に奥さんに興味を持ったことはなかった。
彼が私を100パーセント愛してくれているなら、ほかの事はただどうでもいい事にすぎない。
ただ、クリスマスはその発表会に彼も行かなくてはならなかった。
「5時までには銀座に行けるから」と彼は言った。
「5時に銀座で」と約束をした。
けれど、私は退屈だった。
そしてその発表会とやらを見に行く事にした。
目的地は都内のホテル。
ホテルの中を見てまわったが、会場には入れそうになかった。
とりあえず、終わりそうな時間を見計らって、ロビーでお茶をする事にした。
ホテルは全てクリスマス仕様にされていて孤独感が増した。
しばらく経つと、7、8人のグループが入ってきた。
そこには彼の姿もあった。
隣にいる女性が彼の奥さんだろう。
ふとした瞬間、彼は私に気付いた。
そして何気なく外へ出て行った。
私のケータイが鳴った。

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