水をください
喉の渇きが消える水を...
遠い昔の寂しい僕ら
「錬金術、教えて?」
ある日突然、が俺に言った。
「あ?どうした?突然」
「へへ...なんか知りたくなっちゃって。だめ?」
「いや...」
当然可愛い恋人のお願いに俺は断れる筈もなく
「頑張るならな」
っと、そっけなく一言で言った。
ヤッタ!っとは俺に抱き付いてきた。
「ねー、エド。ここの方式はどうなってるの?」
時間の合間には俺に聞いてきた。
「あー、ここ?ここはだなー...」
俺も教える。それをは真剣な顔してそれを聞く。
は覚えが早くて、俺も驚いた位だ。
「そういえば、」
「え?何」
「何でお前、いきなり錬金術習いたいなんて言ってきた訳?」
「え。そ、それは...」
「何?なんかやましい事な訳?俺に言えないこと?」
「・・・ごめん」
「どうしても?」
「・・・もう少ししたら...もう少ししたら絶対教えるから。だからお願い!!
まだ錬金術教えて!!」
「・・・」
「お願い!!必ず・・・言うから・・・」
泣きそうな顔では言う。
「ん...分かった。でも危険な事、すんなよ?」
俺はぐしゃっとの頭を撫でて笑った。
”ありがとう”っとは俺に言って静かに抱き付いてきた。
何であの時、震えたに気づかなかったのか...
それからも、俺はに教え続けた。
が何をする為に錬金術を教わってるか話してくれることを信じて・・・
それが、俺を後悔の道へ導いた。
「ー?っかしいなー・・・あいつどこ行ったんだ?」
いつもならとっくにが走って聞きに来る時間の筈なのに・・・
今日は一番大切なことを教えようとエドは思っていた。
錬金術の法則『等価交換』の最も一番大切なことを。
これさえ教えれば、はほぼ完璧な練金術師だ。
そう、これさえ・・・教えれば。アイツに理由を聞ける。
その思いで頭がいっぱいになっていた。
しかし、アルの悲痛な叫び声でそれはかき消された。
「兄さん!!大変!!が・・・!!」
その後は何がどうだか覚えていない。
ただ、次に俺の目に映ったものがこの世で一番残酷だと思った。
「!!」
血だらけのがそこには・・・
「エ・・・ド・・・」 居た。
手と足。両手両手どちらもなくなっていた。
倒れているの下には大きな・・・錬成陣。
「な・・・何でだ?・・・何でだ!!」
俺は・・・俺は。
「ご、めん・・・。エド」
錬金術を教えてたのか!?
「クソっ!!」
着ていたコートをビリっ破き、包帯代わりにに巻く。
「エ・・・ド」
「喋るな!!」
「お、願い・・・聞いて」
「軍の病院に連れて行く!!大丈夫だ!!絶対助かるから!!」
そういってを抱きかかえようとする。
しかし、それはの苦しそうな、悲しそうな表情で止められた。
「聞いて・・・おねが、い。ね・・・?」
「・・・!!・・・・・・分かった・・・」
ゆっくりとを破けたコートの上に寝かせる。
「ありが・・・と」
「・・・ああ」
空気は静かにに息をさせる。
涙は静かに俺の心の中にあふれる。
アルは黙って部屋を出て行った。
「私・・・ね
人体錬成で、生まれ変わった人間なの・・・」
「!!」
俺は驚いて息を飲む。
が?嘘だろ?
「え、へへ・・・エド驚いてる・・・」
は可笑しそうに笑う。
「何、で・・・黙ってたんだよ」
「・・・嫌われると・・・思った」
「そんなこと・・・あるわけないだろう?」
「うん・・・ごめん。でも・・・怖かった」
「・・・」
「私の人体錬成で使われた人・・・2人なの・・・。
運良く・・・奇跡的、に錬成は成功された・・・」
「どこも・・・はどこも失わずに済んだのか?」
「・・・みょう・・・」
「え?」
「寿命が・・・ね。そんなに長くないの・・・、私」
「なっ・・・!!」
「もうすぐで・・・死ぬの、私。どっちにしろ・・・」
「んなこと・・・言うなよ・・・」
「私、ね。・・・エドが好き」
「うん・・・」
「だから、最後に賢者の石錬成して・・・エド達を喜ばしたかった・・・」
「・・・!!」
「賢者の石に必要なのは・・・生きた人間3人・・・
私と・・・私の中で生き続ける二人を使えば・・・出来ると思ったんだけどな・・・」
へへっとは笑う。
「馬鹿野郎・・・そんな事しなくたって、俺は・・・」
「役に立ちたかったの・・・」
「俺は・・・!!」
言葉が続かなかった。
涙で目が潰れた。
「エド・・・ごめん。ごめん、ね?」
「謝んな・・・」
ぎゅっとを抱きしめる。
俺の涙がの血と混じる。
「エド・・・名前、呼んで。沢山・・・呼んで」
「・・・」
「もっと」
「」
「もっと・・・」
「・・・」
「っと・・・」
「・・・
好きだ。一番・・・愛してる」
「・・・」
「・・・目ぇ、開けろよ・・・」
「・・・」
「まだお前に錬金術を教えきってねぇんだぞ・・・?」
−−−・・・!!−−−
風が俺の水を乾かす。
それでも、この気持ちから流れた血は一生乾きはしないだろう。
俺は、お前が居ない明日からの日々をどうすればいい?
教えてくれ・・・。
もう一度俺に・・・笑ってくれ...。