なんで他のヤツばっか見てんだよ?
俺の事も見ろよ・・・



愛してるってそんな言葉



「振られちゃった・・・」

んな泣きそうな顔で俺を見んな

「そっか」

優しく声を掛ける俺。
違う。ホントはどっかで安心している俺が居る。
安心してる嫌な俺が居る。

ならすぐに良い奴見つけられるって」
(居るじゃん、目の前に)

「そ、そうかな・・・」
(だから居るって)

「当たり前だろ!俺が保証してやる」
(お前の幸せ保証してやるから)

「うん・・・。そだね、ありがと!エド。また・・・相談乗ってくれる?」

「おう!好きな時に来い」
(頼むから、俺を見てくれ)


『好きな奴が幸せになってくれればそれでいい』

誰かがそんな事言うもんだけど
じゃあ俺の幸せは?って汚い俺が叫び出す。

は惚れやすい。
ちょっと優しくされただけでスグ「好き」という単語が頭に浮かぶらしい。
好きになったその度に俺の所へ来て相談して、暫く経ってから泣いて帰ってくる。
その繰り返し。

相談される事は嬉しい。
信頼されてるってことだしな。
いや、でも・・・。そうじゃなくて、もっとこう・・・特別な存在になるということは難しい
事なのだろうか?
・・・訂正。難し過ぎるくらいだ。
でも、俺はの特別な存在になりたい。

どうしたらお前は俺を見る?
どうしたら・・・。

「好きになっちゃった」

ある日突然そんな言葉をは口に出す。
勿論好きになった相手が俺ではないことは重々承知。

「ふ、ふーん。今度は誰なんだよ?」

出来るだけ平静を保とうと頑張る。
でも、実際は身体の中がどうにかなりそうな位、怖い。
そんな事も気づかず、無責任には言う。

「ハボックさん」

っと。

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「えへへ、また遊びに来ちゃいました」

「おお!ちゃん。それに大将達もお揃いで」

いつも通りに笑顔で迎えるハボック少尉。
口にいつもくわえている煙草の臭いが鼻につく。
前はこの臭いを何となく大人の感じがして好きだった。
だが、最近はこの臭いを嗅ぐと胃がムカムカする。

・・・が少尉を好きって言ってからだ。

「んー、大将?どうした。具合でもわりぃーのか?」

少尉が気に掛けて俺の顔をのぞき込む。
でも俺は

「何でもねぇよ!」

っと、ぶっきらぼうに少尉との居る部屋を後にする。
きっと今頃二人そろってキョトンとしてるんだろうな。

分かっている。
少尉は悪くない。
分かっている。
が惚れっぽいこと。
分かってる分かってる分かってる分かってる・・・

分かっているけど許せぬ我が狭い心。

(大丈夫、どうせいつも通りが振られれば事は済むんだ)

ハッとする。
今自分が思ったことに対して
に対して・・・罪悪感を覚える。

「チキショ!!」

傍にあった椅子を蹴飛ばす。
椅子は音を立てて床に転げていった。

「なんで・・・だよ。ちくしょ・・・」

好きなんだ・・・
気付よ。

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「エド!!聞いて!!あたしハボックさんと付き合う事になっちゃった!!」

が俺に言う。
俺の頭は真っ白になる。
でも、言え。条件反射に口は動く。

「オメデトウ」っと。

「うん!ありがとう!!」

今までに見たこともないような笑顔では去ってく。
俺に振り向きもしないで・・・。

見ろ。
これは罪の証だ。
お前の不幸を望んだ俺へのお前からの呪い。

それでもお前を好きな俺が居る。
前よりももっと苦しくなる俺が居る。

なんでもっと早く言わなかったのか?
なんでもっと早く手にいれなかったのか?

後悔だけが心に刻まれる。

どうしてお前を好きになったのか。