ある推理漫画の1コマ


 

                 とある民家にて・・・

              さっきまで金庫の中に大切に保管されていた宝石が消えた!

              事件がおこってから家から出た人はいない。

              つまり犯人はまだ家の中にいて、宝石も家の中のどこかに隠しているはず。

              家中を探し回る関係者一同。

              数時間後、捜索を始めてから何回目かの時報を振り子時計が告げた時、

              名探偵は気付いた。

              「この家に来た時には正確に時を刻んでいた振り子時計が、この数時間は

               一時間あたり1分ずつ遅れてきている。

               その理由は一つ!何かで振り子が重くなってきているに違いない!」

               そして彼は振り子時計の振り子のウラに貼り付けられていた宝石を

              発見したのだった・・・

                                   

                                ↑振り子時計の図


               ・・・という話を先日見たのですよ。

             いやあ、すごいですね。

             さすが名探偵。

             こんな些細なことで隠し場所に気付くとは!感心、感心。

             「よもや振り子のウラまでは探さないだろう」

             という犯人の計算も、彼にかかっては完全に裏目に出てしまったわけですな。

 

              だが、しかし。 

 

             確か振り子時計のような単振り子の場合、周期には振り子の重さは関係なく、

             振り子が吊り下げられている糸なり棒なりの長さだけで決まるはず。

             高2のときT先生が授業でいってました。間違いありません。

             確か「振り子の等時性」ってやつです。

             こんな性質があるのだから、

             宝石を貼り付けて振り子を重くしたところで時計は遅れたりしないのでは?

 

             この事件を解決した名探偵は

             「体は子供、頭脳は大人」

             というややこしいひとですが、実年齢は高校二年生のはず。

             ひょっとしたら、まだ「振り子の等時性」を学校で習っていないのではないでしょうか?

 

             いやいや、そんなはずはない。

              私は彼の活躍をそれほど知っているわけではありませんが、

             それでも様々な知識を駆使して事件を解決しているのは知っています。

             劇中で頻繁に「なんでこんなことこんな子供が知ってんだ?」という感じの

             セリフが出てきますが、彼は子供どころか普通の大人でも持ち合わせていないであろう

             知識を持ち合わせています。

             そんな彼が自分の学年で習うことがらを知らないなんて考えられません。

             たとえまだ授業でふれていなくとも、彼ならば独学で予習しているものと思われます。

 

             もう一度よく考えてみることにしましょう。

              むむっ!

             宝石の重みで引張られ、振り子を吊り下げている糸なり棒なりが伸びるじゃないか!

             (劇中では振り子は平べったい木の棒のようなものに吊り下げられていたので以降

              吊り下げているのは棒とします)

             棒の長さが変われば周期も変化します。時計は遅れる!

              やはりコナ○くんは正しかった!

 

              さて振り子の周期の二乗は棒の長さに比例します。

             「一時間あたり1分時計が遅れる」ということは

             「周期が61/60倍になった」

              ということですから長さは宝石を貼り付けたことで3721/3600倍になっているはずです。

              約3パーセント伸びたわけですね。普通モノはこんなに伸びないので心配ですが、気にしない。

             また宝石の重さと棒の伸びの関係式から、

 

              (宝石の重さ)×(重力加速度)÷棒の断面積=(棒のヤング率)×(どれだけ棒が伸びたか)÷(棒の元の長さ)

 

             という関係が成り立ちます。ヤング率とはどのくらい棒が伸びやすいかを示す数字です。

             棒は画面で見た感じではどんなに細く見積もっても横2センチ、縦0.5センチはあるでしょう。きっともっと太いけど。

             伸びやすさは木の種類で決まるので、この木がなんの木か非常に気になるところです(木だけにね)。

             手元にチークとケヤキの二種類のデータがあり、いずれも1.2〜1.3×10の10乗パスカルであることから

             棒の伸びやすさもこのくらいであると仮定します。

             すると盗まれた宝石の重さはなんと・・・

   

                   約4トン

 

              これだけの宝石を盗める状況におかれたら私も盗むだろうな。

             こんな宝石持てた犯人は怪力。自分が犯人だとばれて暴れだしたらヤバイのでは?

             でもコ○ンくんも宝石見つけたとき「ホラ、あったでしょ」なんて無邪気に手のひらに

             乗せてたし大丈夫か。未曾有の怪力バトルが拝めるでしょう。

             振り子に宝石を貼り付けることが出来たセロハンテープの粘着力もスゲェ!

             重みで割れなかった木の棒も根性あるぞ!

             そして根性といえば、わけのわからない計算を読み飛ばさずに最後まで読んだあなたも根性抜群だ!