ブーメラン〜特徴と本来の目的との二律背反〜
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ブーメランと言えば恐らく誰でも一度は聞いたことがあると思います。 投げたら大きな弧を描き投げた人の元に戻ってくるあれです。
さて、話は変わって・・・ 日本人初のメジャーリーガー、野茂英雄投手が最初に在籍した メジャー球団、ドジャーズのホームスタジアムには名物おじさんがいました。 仮にボブとしましょう。 ボブはポップコーン売りです。 今日も元気にポップコーンを売っています。 そんな彼にはるか上方の客席から注文が。 「ヘイ!ボブ、ポップコーンひとつ頼むぜ。」 「オーケー。・・・それ!」 なんとボブはポップコーンをお客に向かって投げたのです。 一つ間違えば大惨事ですが、ボブのコントロールは完璧。 寸分の狂いもなく、見事にポップコーンはお客のもとへ。 文句なくストライクです。 そう、彼はそのメジャー級の投ポップコーン能力で 離れた客にポップコーンを届ける名物おじさんだったのです。
話は再びブーメランへ。 ブーメランはオーストラリアの原住民アボリジニーの人々の狩りの道具です。 ブーメランは獲物を外しても手元に戻ってきます。 弓矢のように使い捨てではありません。 非常に省資源な、地球にやさしい武器と言えるでしょう。 ・・・しかし獲物に当たった時には戻ってきません。 獲物といっしょに拾いに行きます・・・
「いつもながらすごいぞ、ボブ!」 「これを見に来てるみたいなもんだからねえ」 周囲からの惜しみない賛辞を受け、ボブは誇らしげです。 誰の目にも彼はまぶしく映ります。 しかし、彼はその後観客をかき分け、 先ほどの客に代金をもらいに行かねばなりません・・・
こういっちゃなんですが、マヌケですね。 ブーメランを獲物に命中させた人もボブも。
どうせ客のところへ行かなきゃいけないんだったら そのときポップコーン渡せばいいのに。 まあ客は待つことなくポップコーンが食べられるからいいんだろうけど。 なんだかちょっとね・・・ ボブからポップコーンを買った客が代金を投げてよこしたら万事オーケー。 でもその場合ボブもすごいが客もすごい。 ボブのすごさは相対的にランクダウンし、名物おじさんではなくなってしまうかも。
ブーメランの人は命中させてしまったことでブーメランの最大の特徴 「投げたら手元に戻ってくる」 を無駄にしてしまってる。 これはもったいない。弓矢と大差なし。 「命中したら獲物ごと戻ってくる」くらいやってくれたら拍手喝采ものなのに・・・
というわけで、今回の考察は・・・ 「(獲物ごと戻ってくるまでは無理としても) 獲物に命中しても戻ってくるためには ブーメランをどのくらいの速度、回転数で投げればいいのか」
をやる予定だったんですが・・ そのために必要なデータが全然見つからない。 原理的な説明(コリオリの力やジャイロ効果)にふれている文章は あるんですが実際の回転数や速度、ブーメランの重さなどの数字が 見当たらんのですよ。 それでもあきらめずブーメランに関して調べていたところ気になる記述が見つかりました。
「ブーメランが手元に戻ってくるようにするためには作り方ももちろん、 投げ方にも相当の熟練を要する」
これはどういうことか? 「外れたら戻ってくる」という特性を得るためには かなりの練習が必要だと言うことではないですか!!
ブーメランは狩りの道具です。その目的は獲物に命中させることのはず。 当然命中させる練習をするべきでしょう。 にもかかわらず外したときの練習を相当せねばならんとは!
おそらくブーメランは作るのもかなりめんどくさいでしょう。 変な風に飛んでなくさないように、 使い始めのうちは外した時のための練習を主にやるんでしょうなあ。 なんて思考が後ろ向きな道具なんでしょう・・・
柔道の試合の前日に受身の練習ばかりする選手がいたら その人のあだ名は「ブーメラン君」に決定です。 勝つための練習をしなさい!!ブーメラン君!!
もうひとつ気になることがあります。 数年前英会話学校のCMで、 西条秀樹さんが自分の曲を 「ブーメラン、ブーメラン!!」と歌っていると、英語教師の外人さんが現れ、 「ノウノウ。ブーメレェング」 と発音を直す、というのがありました。
ところがなんとアボリジニーはブーメランのことを 「カーリー」 と呼んでいるそうです。 ・・・全然違うじゃないか。 どうもブーメランというのは外人さんの聞き間違え(勘違い?)のようです。 一文字もあってません。 間違え過ぎだろ・・・
というわけであのCMは正しくは 秀樹「ブーメラン、ブーメラン!!」 英語教師「ノウノウ。ブーメレェング」 アボリジニー「ノウノウノウ。カーリー」 となるべきだったんですね。
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