僕は姿勢が悪い。

親にも「せっかく背が高いのに、もっと姿勢を良くしなさい」と

よく言われていたものだった。

こんなことを言われるようになったのは小6の頃から。

その頃から胸が膨らみ始めてきたからだ。

僕は少しでも膨らみがわかるのがイヤで、いつもそれを気にして

目立たないように背中を丸くしていた。


人からすればそんなに目立つような胸ではなかったと思う。

僕の胸の発育はそんなにいいほうではないだろうから。

中学生になって同級生の女の子がそろそろ○ラジャーを

付け始めるようになっても、僕には関係のないことだった。

というか、必要だと思ったことが全然なかった。

付けてなかったらなかったで、そのままでスポーツをすると

微かに胸が揺れるのが気持ち悪くてイヤだったけれど・・・。


高校生になった時も最初のうちは同じだった。

でも、ある日、「あの子○ラジャーしてないよ」と部活の女の先輩たちが

体操服姿の僕を見てコソコソ話しているのを耳にした。

部活の時はTシャツで薄着になる。高1にもなれば、女なら背中に下着の線が

浮き出てるはずなのに、僕はそうじゃなかったから変だったんだろう。

先輩たちから変に思われてると思った僕は、それが気になって

慌てて親に下着を買ってもらって付けるようになった。

その頃の僕にとっては、人から変に思われるということが、

自分は変なんだと思うことにつながってしまっていたから、

変に思われないようにしなければいけないという気持ちがかなり強かった。

そんな気持ちはそれ以後もずっと自分につきまとっていた。

人から変に思われるかもしれないということに敏感だったし怖かった。

本当の自分を出して自分をわかってもらおうとするよりも、

人から変に思われないようにするということに気を遣っていた。

変に思われることで人に、特に自分の親に迷惑がかかることを恐れた。

自分のことで親まで変なふうに思われるのは絶対に避けたかった。

そんな気持ちは、いろんな意味で、また、あらゆる場面で

自分を偽るということにつながっていった。


僕はあまり胸が大きいほうではない。

今はエアロビ用のタンクトップで潰している。

それで十分潰れて目立たないとは思うけれど、

でも僕には気になって仕方がない。やっぱりイヤだ。

人からすれば「胸がある」と気にするほどではないのかもしれない。

それでもどうしても気になる。イヤだ。

だから少しでも目立たないように背中を丸めてしまう。

胸を潰していても気になるからついつい猫背になる。

それはもう昔から身についてる癖みたいなものだ。


暑い夏、Tシャツ1枚で胸を気にせずに歩けるようになりたい。

家の中ではTシャツやタンクトップ1枚でいるときもある。

でも、外に出るときはシャツの下にエアロビ用のタンクトップを着る。

エアロビ用のタンクトップは「防弾チョッキ」と呼ぶくらい結構分厚いから、

冬はいいとしても夏場はその上にTシャツを着るとかなり暑い。それが難点。

その点を考えれば「なべシャツ」を着ればいいのだろうけど、

形的に「なべシャツ」よりもタンクトップのほうが僕は好きだから仕方ない。

本当は何も締めつけることなく胸を気にせずにいられるほうがいいに決まってる。

胸なんかいらない。

上半身裸になっても自分の身体から目を背けずにいられるようになりたい。

胸があるから男じゃないとか、胸を取れば男だとか、そんなふうに僕は思ってはいない。

だけど、たとえ小さくてもこの胸が僕を苦しめていることには違いない。




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