変わらないもの
この世の中に変わらないものなんてあるんだろうか。
心変わりする、気持ちが変わる、記憶が薄れていく・・・
人とのかかわりもそんなふうに変わってしまうもの、
僕はずっとそう思っていた。
だけど、
「変わらないものがある」
そう信じたいと思うようになったんだ。
誰かと出会い、その人の何かにふれたとき、
心に残るものがある。
その人の姿、声や顔、言葉、雰囲気、性格、
あるいはその人と過ごした時間、
共にした空間、空気・・・
そういったものに無意識に何かを感じ、
自分の心に残ったその何かというものは、
変わらないんじゃないだろうか。
僕はそんなふうに思う。
僕の父親は、その人が誰なのか
人の認識ができなくなってる。
僕と会っても、僕のことはわかってないと思う。
父の記憶から僕は消え、自分の子供である
僕のことを思う気持ちもなくなってると思う。
だけど、父の心の中には僕について感じた何かが残っていて、
それはずっと変わらないんじゃないかって思うんだ。
いや、ただ単に僕がそう思いたいだけかもしれないけど。
記憶なら忘れてしまうかもしれない。
何かを思った気持ちもなくなってしまうかもしれない。
だけど、意識を超えて心で感じ取ったもの、
心に残ったもの、それは変わらない。
形は変わっても変わらない。
「変わらないものがある」
僕はそう信じたいんだ。