時は西暦205X年、私たち人類は異星人の侵略により全人類の1000分の1に満たない数になった。私たちの科学力を持ってしても
異星人たちの科学力を超えるとは出来ず私たちは逃げ回ることしか許されなかった。しかし、私たち人類の希望となったのはあの人の存在だった。
あの人というのはこの星を異星人の手から守り更に私たちに生きる勇気と希望を与えてくれた伝説と呼ぶにふさわしい男である。
 その男の名は誰も知らない。しかし、自分のことを『リュウ』と呼んでくれといっていたのは覚えている。その男は異星人の科学力を
逆に利用しようと言うなんとも大胆な発想の持ち主であった。そのお陰で今の技術があるのかもしれないが。とにかくリュウは人の考えつかない
ような考えをもっていた。
 まず始めに取り掛かったのが異星人の戦闘機の破片を集めることだ。その破片から、何の物質で機体が構成されているのかなどを知ることが出来た。
 次に異星人の戦闘情報を徹底的に調べ上げることだ。それによって敵のさまざまな攻撃パターンを読み取ることが出来た。直線的な攻撃を仕掛けてくる
α(アルファ)グループ、主に援護攻撃を行うβ(ベータ)グループ、変則的な動きで敵を錯乱させるγ(ガンマ)グループ、
指揮官的存在のδ(デルタ)グループなどのグループに分けられる
ことがわかった。しかも、1つの小隊あたりにそれぞれ一機ずつ。四機一小隊で成り立っている。
 さらに、異星人の技術力を応用して新しい戦闘機を作り上げた。そのパイロットはもちろんリュウだ。リュウにはパイロットとしての素質もあった。
並外れた反射神経と直感の良さ、広範囲に気を配れる集中力、どれをとっても非の打ち所が無かった。
 私たちはこの男に賭けた。異星人たちを倒してくれることを望んで。
 ここからは、リュウを主人公として話を続けたいと思う。それでは、また、次の話の中で・・・・。

 俺はリュウ。しかし本当の名前は自分でもわからない。異星人からの襲撃で強く頭をぶつけたらしく俺は記憶喪失になってしまったのだ。
俺が目覚めた時、俺の立っていた町はメチャメチャになっていた。自分は何者なのか、前は何をしていたのか、すべてわからなかった。
 奇跡的に助かった俺は、とにかく人間のいる町を探した。いくつもの町を歩き回った。人間のいる町は無い。どこにいっても死体ばかりだ。
異臭が漂う中、俺は瓦礫の下に人間がいるのを発見した。その人間はひどく流血していて、青白い顔をしている。その人間は俺に何か言った。
「リュウ・・・・、リュウなのか・・・・?助けてくれ・・・・。・・・み、水をくれ・・・・。」
俺は怖くなった。自分がリュウという人物かどうか自分でもわからないのに助けを求められている。水をやりたいが水が無い。
それに、水があったとしても、水をやるときっとこの人はショック死してしまう。
「・・・水を・・・・・。」
そう言ってその人間は何も言わなくなった。俺は自分の無力さを嘆いた。それから俺はリュウと名乗ることにした。
俺は人間のいるところにたどり着くまでのどの渇きを人間の血で補っていた。食糧は人肉だ。幸い、ライターがあったので火には困らなかった。
何日も何日も歩き回った末、小さな村に行き着いた。村の人口はだいたい30人あまりだ。その村は食料が少ない中、俺を歓迎してくれた。
その村は湖の近くで水には困ってないらしく小さな畑もあった。戦闘機もあった。
俺はおもむろに戦闘機に近づくと戦闘機のパイロット自動感知機が俺に反応した。パイロット自動感知機とは、言葉の通り、
戦闘機についている機械でパイロットが近づくと自動的に乗り込み口が開くシステムになっている。
俺は、その戦闘機に乗った。すると戦闘機が作動しだした。それを見ていた村長が話し始めた。
「この戦闘機は、20年前にこの村に落ちてきました。自動感知機は反応しましたが、あなたはどう見ても20代です。
 なぜ反応したのでしょうか。誰にも反応したことは無かったのに。」
「僕にもわかりません。僕もこの戦闘機は見た事ありませんから。そういえば、このあたりに敵の戦闘機が墜落したことはありませんか。」
「あるが、それがどうかしたのか?」
「僕にいい考えがあります。とりあえず、その場所に案内してください。」
村長は俺の顔を見つめたあと、ついて来いという合図をした後、歩き始めた。
俺は戦闘機から降りて村長についていった。ずいぶん険しい道のりで足はドロドロになった。
着いた先には見覚えのある戦闘機だった。
「・・・・・・・。」
何を呟いたかわからない。無意識に言葉が出た。村長にも聞こえてなかった。
村長は、墜落した戦闘機について詳しく話し始めた。
「これは、さっきあった戦闘機と同じ時に落ちてきたものです。二機の戦闘機が絡み合うように墜落したのです。
 地球軍の戦闘機は、異星人の戦闘機の攻撃を受け墜落しかかったところを何とか保ち、異星人側の戦闘機にぶつけて道ずれにしたのです。」
そういって、我に帰ったように、話を変えた。
「こちらは、敵の戦闘機なので修理していませんし、もう20年も経ちます。修理しても使い物にならないでしょう。」
俺は、話の急激な変わりに少々戸惑ったが、村長の質問にすぐに答えた。
「いえ、修理するつもりはありません。むしろ分解するのです。」
村長は驚きながら質問した。
「まさか、この戦闘機を分析しようというのではないでしょうね。」
「そのまさかです。この戦闘機を分解して、研究し、構成物質や、マザーコンピュータへのアクセス方法などを調べます。」
「無理です。今までいろんな研究者が、分析しようとしましたが、特殊なバリアがはってあって近づけません。」
「ほう、それも面白い研究材料ですね。」
「無茶です。いままで、あれに近づいて焼死したのは10人を超えます。」
俺は、その忠告を聞かずにバリアに触れた。
「あぁ・・・。」
村長は、目をつぶった。俺が死ぬと思ったのだろう。しかし、村長が目を開けると俺は死んでいなかった。俺は、ファイバースコープをつけて、
バリアにあいた穴から内側へと入り込んでいた。
「あなたは読めない人だ。今までの人なら私の言うことを聞かずバリアに触れて焼け死んでいました。あなたもそうかと思ったら、
 そんな物をつけてやすやすと進入しているのですから。ホントに読めない人だ。」
俺はそんなつまらないことには耳も傾けず、分析に没頭していた。
「このパーツがバリアの主電源か・・・・。あれ?これ何だ?あぁ、そうか。これがパイロット自動探知機の役割をしているのか・・・。」
そんなことを言いながら何日も何日も。
そして、すべて分析しきって村に戻った。研究したことすべてを覚えていることが自分でも驚いている。
研究の結果から、相手の艦に通信機の役割が無いことがわかった。それから、バリアの一部がもろいこともわかった。
バリアの構成物質は透過性金属で、宇宙でもまれな素材である。透過性金属と言うのは、とてつもなく硬い金属で
その上固体の状態でもかなりの高熱を発する。バリアの一部がもろいと言うのはバリアを発生させる時に必ず
透過性金属の熱が加わるはずだ。そのためパイロットのコクピットの周りは薄い透過性金属になっている。
一番守らなければならないパイロットを攻撃してくださいと言っているようなものだ。機体の側面にαのような文字が書かれていたので
この機体をαと呼ぶことにした。通信機が無かったことがどうも引っかかる。合図せずにどうやってあんなコンビネーションを
使うことが出来るのだろうか。異星人はテレパシーみたいなので仲間と合図しているのだろうか。仮説を立てるぐらいなら誰でも出来るが
それを証明しようと言うと少し無理がある。なぜなら俺たちは、テレパシーなどは使えないからだ。
テレパシーを使うと言うのはあくまで俺の仮説だが。
 そうしているうちに、警報が鳴った。第一級警報。敵にここの場所がばれたのだ。その中には、俺が調べに調べぬいた
α機もあった。村のみんなは防空壕に隠れていた。俺はというと、何を思ったか乗ったこともない戦闘機の方へ走っていった。
パイロット自動探知機が作動し、俺が乗りやすいようになった。戦闘機に乗り込んだ。頭の中に操縦の仕方が入り込んでくる。
俺は操縦桿を握った。古い型の機体だったので、ちゃんと動くかどうか心配だったが、とても元気に動いてくれた。
一番初めにやってくるのはα機。攻撃しやすい行動を取る。α機のビ−ム攻撃。回転させながら避けた。続いて後続機が更なる攻撃を仕掛けてくる。
急上昇して紙一重で避けた。バルカンで様子見をする。敵は全く避ける気も無くバリアで防ぐ。違う機体が変則的な動きをする。
戦闘機に突っ込んできたと思ったら鋭角に曲がってターゲットをそらす。小隊をまとめている機体がある。一番バランスの整った機体だ。
「上っ!!」
とっさに気づいた。俺の戦闘機の真上にα機が来ていた。急速転換するとバリアの薄くなっているコクピットに集中砲火を浴びせた。
α機撃墜。すると他の機体は退却していった。小さな村だとあなどって、1小隊しか送り込まなかったのだろう。
しかし、ここの場所がばれたのは紛れもない事実だ。この村にあるものすべてを捨てなければならない。それは、誰のせいでもない。
 燃料が残り少なかった戦闘機は今の戦闘で燃料をすべてなくなって歩いて他の村に行かなければならなくなった。
数日歩き続けて、軍の基地を見つけた。俺たちはそこの施設に保護されることになった。外からでは土の色と同じでほとんどばれることはない。
そんな中、またしても異星人の戦闘機が現われた。先日村に来た異星人の数とは比べ物にならないくらいの数だった。
村の人たちは軍の施設の中で安心していた。しかし、俺だけは妙な胸騒ぎがしていた。
その胸騒ぎは次の瞬間の出来事で明確になった。俺たちが保護されていた施設の近くに異星人の放ったレーザーが落ちた。
村人たちは急いで外に出た。そのせいで施設がばれてしまった。迷彩用にコーティングされていたので防御性能が悪い。
そのため、逃げ遅れた村人たちは全員跡形もなくレーザーで焼かれた。逃げた村人も何人か死傷者が出た。俺も左足に傷を負ってしまった。
なんとか異星人を追い払った軍は俺たちの手当てを急いだ。俺の足はレーザーでかすめただけだったのだが、皮膚の80%が焦げていて、
歩くことさえままならなかった。そのため、俺は足を切断することになった。その後、俺の足は義足になった。
村人で残ったのは、俺の他に5人。男3人に女2人だ。残りは全員・・・・・・・。
生き残った村人たちは涙を流すことはなく、ただ、呆然とうつむくだけだった。目に光が無く、何か呪文をかけられたように。
俺はというと、軍の基地の中を案内してもらい軍の訓練を受けることになった。この時代の義足は自分の意志で動かせるようになっていたので
訓練に支障は無かった。
救世主の誕生
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