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Snow 外伝:あの日、交わした約束 2
Truuuu・・・
「はい、桜木です。」
そういって、電話を取ったのは、和葉である。
『あのー。私、杉本と言いますが、正広さんいらっしゃいますか?』
電話の相手は、一週間前に会った、クリスの父:千鶴である。
「正広ですね。 少々、お待ちくださいね。」
和葉、そういうと正広が仕事をしている部屋のドアをたたいた。
すると、部屋の中から正広は、顔を出した。
「何? 俺に電話?」
「そうなのよ。正広さん、杉本さんって言う人から。」
「先輩から? なんだろう、分かった。ありがとう」
そう、和に言うと、部屋に戻りその電話に出た。
和葉は、彼に電話を渡すと作りかけていた昼食をまた作り始めた。
部屋のほうでは、正広が電話で話をしている。
「先輩のほうから、電話してくるなんて、珍しいこともあるんですね。」
『そうだな。 いつもは、お前のほうから、電話してきたんだったよな。』
「そうですよ。」
正広と千鶴は、そんな話をしていると10分がたった。
せけん話みたいな話をしていたとき、正広が
「ところで、先輩? 何か、俺に用なんじゃないんですか?」
そう聞かれた千鶴は、正広に用があったことを思い出し
『そう、そうなんだよ。忘れるところだったよ。
ところで、スーちゃんだっけ?』
少し、けげんな感じの言い方で千鶴が切り出すと、
「もしかして、スーが何がしたんじゃ・・・」
『そうなんじゃないんだよ。今度さ、オレの企画で、子供の服を
雑誌で特集するんだけど、そのモデルに、スーちゃんをって思ったんだけど』
「スーをですか?」
正広は、千鶴の言い出したことに対して、少しとまどった風で、
「本人に、聞いてからでもいいですか? そのモデルの件。」
『そうか、分かった。いい返事待ってるからな。それじゃ』
千鶴は、そういうと電話を切った。
「スーにモデルの仕事ねぇ〜。」
そういいながら、しばらくその場で受話器を見ながらたたずんでいた。
「しょうがない、先輩の頼みだ。
やるかやらないかは、本人しだいだしな。聞いてみるとするか。」
そういうと、正広はリビングの方に向かった。
リビングのほうでは、光る・スーはテレビを見ていた。
そこへ、めでるのことを聞こうと、スーのところに行こうとしたとき
「さぁ、お昼にしましょうか。光、直を呼んできてちょうだい、
部屋にいると思うから。」
和葉にそういわれると、光は直の部屋のドアをたたき、お昼ご飯の合図をした
しばらくすると、呼ばれた直は部屋から出てきて、テーブルについた。
正広は、ご飯を食べているスーに、
「なぁ、スー。ちょっといいか?」
「な〜に。」
「スー、お前、子供服のモデルやらないか?
知り合いに子供服を特集企画があるんだけど、やってみるか?」
スーは、正広にそういわれると、少しビックリした表情で父のほうを
見ていた。
“子供服のモデル”と言う言葉を聞いた、直と光は同時に
「スーが、モデル!?」
ビックリしたような声を出したとき、和葉は、
「ちょっと、正広さん。」
そう切り出した和葉のほうを正広は振り向いて
「何?」
と言いながら、和葉のほうを見ると、
「スーに、モデルの仕事。大丈夫なの?」
「それは大丈夫。 俺もついてくし、ようはスーのやる気しだいだよ。」
そんな話をしているとき、直と光はスーに「やってみれば」なんて、
言っていた。
スーは、少し考えて、
「それって、私だけしか出来ないこと?」
少し不安そうに言い出すと、
「スーに、ぜひやってほしいってさ。これは、スーにしか出来ないことなんだよ。」
正広のその言葉にスーは、嬉しそうに笑って、
「私にしか出来ないこと? そうだったら、私やってみる。」
「そうか、仕事があるときは、パパもついてってやるから
心配しなくてもいいぞ。」
「うん♪」
正広は、昼食を食べ終わった後、すぐに千鶴に電話をかけた。
千鶴は、モデルの件 OKと聞くと、正広と仕事の打ち合わせを電話越しで
始めた。
次の日
正広につけられて、千鶴の待っているスタジオの
近くの廊下をスーが歩いていると
「あっ、スーちゃん」
と後ろの方でスーを呼ぶ声に気づき、振り返ると、そこには・・・・。
その頃、家に帰ってきた光は、部屋で仕事をしている
和葉のところに行き、ドアをたたき、部屋の中に入っていった。
「お母さん。スー、撮影 大丈夫だよね。」
「お父さんがついているから大丈夫。心配ないでしょう。」
「そうだね。大丈夫だよね。じゃあ、私 出かけてくるね。」
「いってらっしゃい、暗くなる前に帰ってくるのよ。」
「はーい。」
和葉は、光にそういうと、外に遊びに行ってしまった。
部屋に残った和葉は、
「大丈夫だよね。」
後ろのほうで、自分を呼ぶ声に気づいたスーは、後ろを
振り向くと、そこにはクリスがいた。
「なーんだ、クリスくんか。でも、どうした?」
「今日、僕ここで、お写真を撮ってもらうんだ。」
クリスのいったことに、ビックリした顔のスーが
「え〜。私も、今日ここで写真を撮ってもらうんだよ。」
「もしかして、それって、子供の服の写真?」
「うん、そうだよ。」
「本当に? それ僕もなんだよ。」
「じゃあ、一緒だ。」
スーは、嬉しそうにいうと、クリスが笑って、
「それじゃあ、一緒にスタジオまで行こうよ」
「うん。」
それから、正広・スー・クリスの3人は、撮影をするスタジオ
Aスタジオに向かった。
Aスタジオの中では、今日の撮影のための準備がされていた。
そのスタジオのドアが、音を立てて開いた。
「おはようございまーす。」
スーとクリスは、声を合わせて中で作業をしているスタッフに
あいさつをした。
「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」
正広は、スーとクリスの後にそうスタッフの人たちに言うと、
スタッフが
「おはようございます。」
といって、三人を迎えた。
そのあと、スーとクリスに1人の女性のスタッフが近づいてきて、
「今日の撮影がんばろうね。 私は、“前田 香子”。よろしくね。」
香子は、ロングの髪を後ろで縛って、服装はパンツ姿をしていた。
彼女は、モデルのスタイリストだが、彼女自身はモデルとあまり変わらない身長と、
とても大人の女性と言う言葉が似合うくらいの
きれいな女性である。
スーは、そんな女性を母以外の人に会ったことがなく、
しばしの間、香子に見とれていた。
「杉本 クリスです。よろしくお願いします。」
スーは、香子に自己紹介しているクリスの声で、我に返り、
それでも、少し照れながら、自分の顔を覗き込んでいる香子に、
「桜木 スーです。よろしくお願いします。」
「ヨロシクね、スーちゃん・クリスくん。」
香子は、そういうと、スーとクリスの手をつかんで、
「それじゃあ、今日撮影する服に着替えようか。」
スタジオの近くに設置された、控え室に着替えのため入っていった。
スーとクリスが着替えに入った頃、スタジオでは正広と千鶴が
今日の打ち合わせと、来週もう一回ある撮影の打ち合わせをしていた。
「先輩、今日はよろしくお願いします。」
「おう、こちらこそゴメンな。いきなりこんなことを頼んで。」
「いえいえ。」
「それと、今日の撮影なんだが・・・。」
千鶴と正広が打ち合わせをしているその15分後、
着替え部屋のドアが開くと、香子が嬉しそうなこえで、
「すごくかわいく出来ました。」
香子の声にスタッフのみんなの顔がいっせいに部屋のドアのほうに向いた。
すると、ドアからは、かわいい子供服を着たスーと、
そのかわいい服に合わせたかっこいい服を着たクリスが出てきた。
(スーとクリスが着ているのは、結婚式で着るドレスとタキシードである。)
それを見たスタッフの中から“かわいい”と言う声と、
“お似合いのカップルだな”としみじみ言う声が出てきた。
スタッフの“かわいい”といった声に、スーとクリスの2人は、テレながら、
笑顔で、お互いを見た。
すると、そこへ千鶴から、今回の特集のために集められたスタッフの紹介
を始めた。
2人は、「よろしくお願いします。」と一人一人に言った。
千鶴は紹介を終えると、
「さあ、撮影を始めましょう。皆さんよろしくお願いしますね。」
そういうと、スーとクリスを男性のスタッフが
カメラの前へと、2人を誘導した。
カシャ カシャ
カメラの音と、千鶴の指示がスタジオの中響いた
スーとクリスは、千鶴が出す指示に素直に従った
そんなやり取りが、約2時間半ほどの撮影が終わった。
その中で、スーとクリスは約10回の服のチェンジをした
スーとクリスの一人づつの写真と、2人一緒の写真を撮った
正広は、スーたちの撮影が終わったのを見届け、
帰る支度をしていた、そんな正広を見かけた千鶴は、
「正広、今日は助かったよ。
それに、スーちゃんイメージどおりだったよ。ありがとうな。」
「いえいえ。次の撮影は、来週ですね。」
「それと、この封筒に今日撮影した写真が何枚か入ってるから
スーちゃんとでも、あとで見てくれよ。」
千鶴は、そう言うと正広に一つの封筒を渡した。
「これは、どうも。」
「スーちゃん、じゃあ、また来週な」
「うん♪ じゃあね、クリスくん・千鶴おじちゃん」
スーは、千鶴の横にいるクリスに声をかけると、スタジオを出て行こうとした。
クリスは、出て行こうとするスーに手を振りながら、
「ウン、バイバイ。 スーちゃん、また来週ね。」
クリスにそういわれたスーは、振り返って、手を振った。
「父さん、スーちゃんと仕事するのあと1回なの?」
少しさびしい声で、隣にいた千鶴に声をかけた。
「なんだ、クリス。 スーちゃんと会えなくなるのが、さびしいのか?」
千鶴は、さびしそうな声を出したクリスにそういうと
「うん、さびしい。」
そんな、クリスの素直な言葉に千鶴は、少しびっくりして、
でも、さびしそうな声と表情をしているクリスの
頭を"ポン ポン"と軽く叩き、前にかがみこみながら、
「この仕事が、終わっても、またスタジオとかで会えるさ
そんな、さびしそうな顔すんな。」
千鶴の言った事に対して、クリスは少し表情が戻り、
「そうだよね。」
その頃、正広に手をひかれながらスーは、
「ねぇ〜。 パパ?」
「何だい、スー?」
「今日見たいなのは、あと1回なの?」
「そうだよ、あと一回だけ撮れば、終わりだよ。」
正広はそういうと隣にいるスーの顔を見ると、スーはしょんぼりした表情を見せた
正広は、そんなスーの前にかがみこみ
「スーは、クリスくんに会えなくなるのは、さびしいか?」
「うん。」
「だいじょうぶ。」
「何で?」
「クリスくんとは、あと1回の一緒のお仕事だけど、
スタジオに遊びにくれば、いつか会えるよ。だから、そんな顔するな。」
正広は、ニコリと笑ってスーの顔を見ると、
さびしそうな顔をしていたスーに、笑顔が戻ったのを見た正広は
「やっぱり、スーは笑顔が一番だな」
そういって、正広はスーの頭をなでた。